第12話 ムッツリ武闘家とお漏らし魔導士

文字数 4,568文字

  他にも、プルガの拷問は数多くあった。
 冒険者にはサバイバル技術が必要と、崖に連れていかれた。
 地上まで何十メートルあるか分からない。
 しかもこの時はまだ、浮遊魔法を完全にマスターしていなかった。
 崖から見ると、地平線まで森が続いている。
 素っ裸で四肢を縄で拘束され、口に切れ味悪いナイフ一本だけを咥えさせられ、

「日が暮れるまでに戻ってこなければ、逃亡とみなして殺す」
 
 と脅されてから、崖から蹴り落された。

 森の中には、魔物までいた。
 あらゆる魔法を使って森を踏破し、テロスへの帰路を見つけた。
 生への異常なまでの執念と、持って生まれた魔法使いとしての才能がなせる芸当だった。
 テロスに着いた頃には、すでに意識が飛んでいたが、衛兵達が大騒ぎしていたのは覚えている。
 縄は解いたものの、口にナイフをくわえたままだった。
 素っ裸で、体中に傷を負って出血し、口にナイフをくわえた少年が現れたのだ。
 騒ぎになるのは当然だ。

 戻ったグランにプルガは一言、

「弟子ならもっと早く戻ってこい」

 と言っただけだった。
 日暮れまでに、随分と余裕を残したのに。

 プルガには常に殺意を覚えていたが、実行には移せなかった。
 移せば死刑で、自分が全てを失うのは分かっていた。
 ただ、それだけではなかった。
 黒魔術の実践鍛錬は、プルガと戦う。
 いくら光以外の魔法属性を全て持ち、黒魔導士としての才能に恵まれたとはいえ、相手は百戦錬磨の高等黒魔導士だ。
 いいように嬲られた。
 猛烈に襲いかかる睡魔を打ち払って魔法書から得た魔法を駆使しなければ、本当に殺されてしまう。



 もはやセレナとクロエは感情が麻痺したかのように、無表情で話を聞いている。
 理解の容量を遥かに超える内容なので、無理はない。



 そんな地獄の日々を生き抜く度に、グランは着実に強くなった。
 当たり前だ。
 強くならければ、本当に殺されてしまう。
 そうして、ついに魔法使いとしてプルガに追いつく日がきた。
 追い抜く日がきた。
 事故に見せかけて、殺そうと思った。
 だが、(したた)かな女で、隙を見せなった。
 また、その頃になると、神殿の兵士が数人、修練場に配置された。
 明らかにプルガの護衛だった。
 プルガを殺す機会を失った。



 セレナとクロエに話したのは、ここまでだ。
 だが、続きがある。



 プルガを殺さなかった理由は、他に二つある。
 まず、首尾よく殺して逃亡できたとしても、きっと最後に帰り着く先は故郷――サウス村だという確信があった。
 村には、もう絶対に帰りたくない。
 村民達は自分を化け物扱いし、冷遇した。
 リーナ以外は。
 実の母親でさえ、自分を憎悪していた。
 出産時に、彼女の夫――自分の父親を殺したので、文句は言えないが。
 それにテロスに来て、一つの真理と出会った。
 街が大きければ大きいほど、素人女は美しくなり、その絶対数は増える。
 それに比例して、娼館のレベルは上がる。
 つまり生まれ育った田舎村と違い、いい女がたくさんいるのだ。
 リーナを除いて。
 そう、憎悪しかない田舎村でも、リーナとの始まりの地なのだ。
 だからどれだけ憎くても、戻ってしまう恐れがある。

 もう一つは……やはり、リーナだ。
 幼馴染で、唯一、大切な人。
 勇者として、必ず大成している確信があった。
 彼女と同じ時間を少しでも長く過ごし、鑑賞したい。
 そしていつの日か必ず、自分だけのものにしたい。
 幼い日、自分達は同じ風呂に入り、川遊びをした。
 互いの秘所を見せ合った。
 「アレ」は、俺だけのモノだ。



「話を聞いているだけだったのに、少し疲れた。仮眠をとろう」

 セレナの号令で、仮眠が始まった。


 
 警戒が、二番手であるグランとクロエの番になった。
 自分達に声をかける前、岩陰に隠れて、ミンとオルグは熱い抱擁とキスを交わしていた。
 それを使い魔越しに、グランは目撃した。
 ボーイッシュなミンと乙女チックなオルグなら、有り得る関係だ。
 だが、グランは沸点に達した。
 自分以外の男に、いい女が抱かれることを許せない。
 まして、相手は去勢野郎だ。
 ただし、オルグはカザマン王暗殺に使い道がありそうなので、命は助けてやる。
 ミンだ。
 あの鼻っ柱の強い武闘家を、服従させてやる。



 ミンとオルグの逢引きを見て、グランの精力は臨界に達した。
 荒野の中央までは、クロエと静かに歩いた。
 が、大きな岩の近くに来ると、後ろから唐突にクロエの巨乳を荒々しく揉みしだく。

「い。いけません! 他のメンバーが目を……」

「メンバーの目は気にするが、もう神どうこうは口にしなくなったか」

 手から乳肉が溢れるほどの巨乳を揉み、乳首をローブ越しに摘まみ上げる。

「アッ、ウンッ……や、やっぱり……いけんません、他のメンバー……」

「つい先程、俺達を起こしたミンとオルグでさえ、絶対に起きない」

 グランはクロエの耳を舐め、耳たぶを甘噛みする。
 クロエの口から甘い吐息が洩れる。

「わ、悪い人です……眠りの魔法を使ったのですね……。
 私は全く気付きませんでした……あっ、ああ……ウム、グチュムゥッ……」

 グランにうなじを舐めて吸われ、唇を唇で塞がれた。
 舌が口内に入ってきて、凶暴に暴れる。
 かと思えば、器用に舌を吸われる。
 送り込まれた唾液を、迷わず飲んでしまう自分がいる。
 キスだけで、クロエは感じてしまう。
 キスだけで、クロエはパンティを濡らしてしまう。
 徐々に快楽が高まるなか、クロエは改めてグランの、世界一位の黒魔導士の実力を知る。

 パーティメンバー全員に、魔法防壁をかけておいた。
 それでも貫通するほどの魔法攻撃に備え、指揮を執るパーティリーダーのセレナと、治癒魔法の使い手である自分には二重に魔法防壁をかけた。
 さらに、敵意ある魔力が接近すれば気付ける急襲阻止の魔法も四方に張っておいたのに。
 それを呆気なく、グランは飛び越えてくる。
 天賦の才か、プルガの拷問じみた鍛錬の賜物か。
 おそらく、両方だろう。

 魔法について考察していると、

「前回は、乱暴に犯したからな」

 そう言いながら、グランがクロエのローブを乱暴に剥ぎ取る。

「今回はもっと乱暴に犯してやる」

 筋が通らない傍若無人ぶりだが、それがクロエを高揚させる。
 神殿の男達は、礼儀正しく清い者達ばかりだ。
 グランのように乱暴な男は、新鮮で刺激的だった。
 パンティ一枚にされたクロエは、股を肩幅に開いて立つよう命令される。
 パンティ越しに秘部を撫で、こすられる。
 それだけで声が出そうなほど、気持ちがいい。

「神とやらに仕える神殿の聖女様が、こんなにパンティを濡らすとは驚いた。
 小便を漏らしたのか?」

 (おとし)める発言を耳にしても、不快に思わない。
 私はもしかして、いじめられて喜ぶ女なの……新しい自分を見つけ出しそうな予兆に、興奮と恐怖がない交ぜになる。

「アッ」

 グランが、パンティを膝までズリ下す。
 グランの闇に匹敵するほど、股間に漆黒の闇を築く剛毛が丸見えになる。
 前回の小屋と違い、ここは広大な荒野だ。
 夜とはいえ、人の目を気にせずにいられない。
 その恥ずかしさがまた、興奮を加速させる。

「おいおい、どんどんスケベ汁が垂れてくるぞ。
 スケベ汁と魔力が比例するなら、お前も俺のように、
 無限の魔力を持つ白魔道士になれる」

 からかいながら、グランはクロエの秘部に手を伸ばす。
 すでに愛液が溢れた秘部の中に、二本指を入れる。

「アウッ!」

「喘ぐのは早い。これからだ」

 どこまでも冷たく下卑(げび)たグランの声が、またクロエの性欲を刺激する。
 秘部の奥まで突き刺した二本指の先端を柔らかく曲げる。
 その形で、指を出し入れする。

「あっ、あっ、あんっ……だ、ダメですッ……そ、それは、アンッ……ダメッ」

「何がダメだ。下の口はスケベな汁で洪水が起きてるぞ。
 洪水の被災者を救うのが、お前のような神殿の聖職者の役目だろう」

 グランがピストンを早める。

「あああああああんっ!」

 股間から全身を痺れさせる快感の波に、クロエは辺り(はばか)らず悦びの声をあげる。
 ドピュッドピュッと秘部から飛び出る愛液に、

「お前の乳は人外のデカさだ。けどな、こんな低身長の体のどこに、
 これだけ愛液が貯蔵されてるんだ? いい勉強になるよ」

 これはグランの本音だった。
 脱水してもおかしくないほど、股間から愛液を溢れさせている。
 医学書にも、この仕組みは載っていなかった。
 無論、プルガも教えてくれなかった。

 いい声で鳴くクロエに、

「ロリ顔は変わらないが、処女の時より女の顔になったな」

 と褒めてやる。

 これは牝の心理だ。
 処女であるとき、牝はただの子どもだ。
 男を知って初めて、女になれる。
 本物の女への道を歩き始める。
 女の(いただ)きに辿り着けるかどうかは、どれだけいい男に犯されたかがモノを言う。

「俺がお前を、女の頂きに連れていってやる」

 そう言うと、グランはいきなり秘部から指を抜いた。

「アッグウゥ!」

 クロエは一際いい声で鳴き、下半身をガクガクッと痙攣させる。
 その時。
 チョロチョロチョロ……ジョッー! 
 クロエの股間から、やや黄色味がかった液体が、幾筋もの線を描きながら放出される。
 壊れたシャワーのように。

「い、いや、いやだ……おし、オシッコ漏らしちゃった……。
 赤ちゃんみたいに、オシッコ漏らしちゃった……」

 恥辱で顔を真っ赤にしているが、表情は恍惚としている。

「見事な漏らしっぷりだ。お前には奴隷の才能がある」

 地面に出来た水たまりを見下ろしながら、グランが称賛する。

「ご褒美にしゃぶらせてやる……しゃがめ!」

 話しかけても、失禁でやや放心状態だったクロエに、強めの口調で命じる。
 クロエは恥ずかし気に目を逸らしながらも、ゆっくりと腰を落としていく。
 しゃがみ終えると、まだまだ慣れない手つきで、グランの下半身のローブをほどき始める。
 グランはそこに、性への熱意を感じた。

「いい流れだ。今まで、神だの神殿だの聖女だのに囚われていた。
 自分の(うち)なる淫乱な正体から目を背けてきたが、
 今は少しづつ真正面から対峙しつつある」

 下肢のローブがはだける。
 途端に、グワッ! と反り上がった巨大な筋肉の棒が飛び出す。
 青筋が浮かび上がった逞しいそれは、天空を向き、凶悪にして甘美な不思議なオーラを発している。
 クロエは恐る恐る手を伸ばし、その根本を掴む。
 クロエの小さな手では、根本の半周も握れないが。
 グランの男根は熱かった。
 火傷しそうだ。
 地上に生きる全ての牝を焼き殺すほどの熱量を放っている。
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