第137話 あげないから虎視眈々と狙われる

文字数 370文字

昔から、こんなに猫がいたっけ?
橋の袂でさかなとアーサを食べようとしたら
どこからともなく現れた猫が近づいてくる
明らかに彼らは餌として食べるてんぷらに慣れている

別のお店では屋外テーブルの上に飛び乗る猛者までいた
明らかに彼らは餌として与えられるてんぷらに慣れている

なのに
ぼくらはあげない

まだ、こんなに猫が多くなかった頃に
少しちぎって食べさせたことがあったけど
今にして思えば「そういうのがダメだった」

あげない僕らに彼らは甘えた声を出す
追払いはしないけど絶対にあげないオーラで対抗する
無駄を悟った彼らが少し離れた時
うっかり
さかなのてんぷらの最後のひと欠片を落とした
体を引いてボクが拾うより早く
彼が素早く餌と化したてんぷらを攫っていく

本気になった猫は早い
そして
少し離れた場所から様子を窺っている
『虎視眈々』 猫のくせに虎のようだ

あ、虎はネコ科だと気づく
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