第83話 宝物を見て反省する話

文字数 490文字

15年ほど前に古謝美佐子さんのコンサート(古謝さんは唄会と表現しますが)
に、沖縄に特別興味のない妻の両親を連れて行ったのですが
義父が
「言葉の意味はようわからんけど、何を伝えたいのかはわかる」
と私の予想に反して一睡もせずに聴き入っておりました
有名な”童神”ですら知らない義父を感動させるのですから
本物の音楽ってスゴイもんですね。

でもね
僕が嬉しかったのは、唄会後のサイン会です
売店で購入したCDやグッズを手にして並ぶ人の列から離れ
ひとり駐車場まで猛ダッシュをします
妻と両親を列に置いて車まで猛ダッシュです

寒風吹く階段を駆け下り
暗闇の道路を駆け抜け
トランクに置いてあった”三線ケース”を引っ掴み、来た道をダッシュ
古謝さんの僅か手間まで進んでいた義父が手を振っています

でっかい持込品にサインをお願いしたのに
嫌な顔どころか、笑いながらサインをしてくれました
「わざわざ、取りに行ったわけ」なんて

三線と共に宝物ができた瞬間ですが
ケースに書かれた日付を見るたびに反省します

三線が上手くなる方法は知っています
簡単な方法ですが、”簡単”が一番難しいです。
今では、人前で宝物のケースを持ち歩けません・・
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