第15話 名護岳の御嶽

文字数 877文字

NHKで紹介された名護岳に登ってみた。
番組の通りに、麓の名護城神社に先にお参りして神様にご挨拶をしたのだけれど、思いの外に格式を感じる神社でパワースポットと言うより、不浄を払う神気に溢れていて、番組内で歌手の”上間綾乃”さんが言うように「畏れ多い」場所が多くて、何も知らずに軽々しく歩き回るような参拝はできない。特に拝殿右側の道は観光気分で行くものじゃない空気が漂っていて、上にある神社の御嶽にお参りするならば、拝殿を左へ進んだところに立派な階段があるから、こちらを登らなければならない。

さて
小雨が降り出したけれど、名護岳の頂上へ歩を進める。番組では沢を登っていたようだが、あいにくの天気と僕の膝では無理があるように思えたので、安全なルートで登ることにする。
ただ、このルートも安全なだけで楽な道のりではなくて沖縄には珍しい冷たい風の吹く中を、時折、傘を杖代わりにして頂上へ向かう。季節的にハブの心配はないが、雨と風で体温が奪われ、急坂を登る汗でさらに体が冷やされるから、思ったより過酷なと登山になってしまった。

そんな凹み気味の気分も、360℃のパノラマが見える標高345mに到達すると晴れるのだろうと、思っていたが、小雨の天気は雲が低く景色が晴れることはなかった。
ただ、頂上から少し下がったところにある登山道の真ん中にある小岩は、麓の名護城神社に呼応して上名護グスク(いいなんぐすく)と呼ばれる御嶽の香炉だと言う。
登山者に足蹴にされるような所にあるけれど、頂上付近の小さな広場は、まさに祭祀の執り行われる御嶽そのもので、”奥宮”と言ってもいいのかも知れない。
香炉の前で拝むと、この山が御神体であるのだと感じるし、感じなければならないと思う。

神社の本殿に土足で入るような真似なんて誰もしたくはないのに、登山道の中央に香炉を置くのもどうかと思うけれど、”知る文化”が継承されていないのかも知れない。

神社と御嶽の参拝で、肩や首の痛みが無くなったので、何らかの不浄が祓われたように感じたけれど、小雨の寒い日に登るのは止めたほうがイイ。

冷え切ったせいで風邪ひいた。
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