第21話 もうすぐ日が落ちる古宇利島

文字数 350文字

なぜだか
売店がない方の橋のたもとに行く事が多い

どこまで遠くに枝を刺せるか
寄せる波と勝負する
年甲斐もなくわちゃわちゃしてたら
息子らが挑んでくる

単純なルールほど性格が現れる
慎重に手前から進む二男
一気に大きく進もうとする長男
大の大人の靴が徐々に濡れていく

「よっしゃ勝ちやろ!」

引き波に乗じたボクの刺した枝はかなり遠い
「俺の方が前」
二男が濡れながら10センチほど遠くに刺す
「勝った! うわぁ」
長男は足首まで波にさらわれて更に遠くに刺した

ずぶ濡れの靴を指さして
「あほや」『アホや』「アホやな」 『何してんのアホ』
参加していない妻は呆れている

アホでも、キーちゃんの勝ちやんか
二男の長女(孫娘)が叫ぶ
彼女は長男が大好きだから怒った

「アホや、とは思ってるんやぁ」と長男

夕日も見えない夕暮れのビーチで
みんなで笑った
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み