第23話 クースーさん「あの時ボクは若かった」

文字数 398文字

後悔には色んな種類があって今回のソレは
じわーっと、何度も押し寄せるタイプです

はじめて
玉泉洞に行ったのは30年足らず前
湿った通路の一画にある階段のような棚に
いくつもの甕が置かれていた

『なんだこれ?』と近づいてみると
甕の中には泡盛が入れられていて
洞窟の中で貯蔵され古酒と呼ばれるようになるんだとか

値段を見ると、当時のボクにはお高く感じた
それに
「沖縄なんて、今度いつ来ることができるのかわからない」

まさかや・・・・
20年後には毎年行くようになっているとは思いもしなかった

『あの時、仕込んでいれば最高の泡盛に』 という想い

「そんなもん違うで!」 突然、妻が言い出した
「あたしなんか学生の時やってんで!43年もののクースーやで」

そもそも
 アンタは酒を飲まないだろ
 18歳の学生が泡盛を買わないだろ
 その次に沖縄に行くまで20年以上経ってただろ

と、思っても言わない

「その頃は、若かったからな」  とだけ告げた

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