第148話 話が長くなるのは僕に聞いたからだ

文字数 1,126文字

「そうそう、世界遺産に登録されてるよ」

  



「全部じゃないよ、今帰仁、座喜味、勝蓮と中城やったか?」

  



「違う違う、同じじゃないよ、今帰仁城はいわゆる”山城”だね、統一される前の北山の中心的な城だっただけに祭祀の場所と言うより砦としての城かな。戦いの”守り”に特化してる感があるかな。規模は全然違うのに万里の長城みたい!って、叫ぶと思うよ。谷を挟んで御嶽があるから、祭祀としての側面を感じる事ができれば、内地のお城との違いを実感できるよ。ガイドさんに連れて行ってもらうのも良いと思うよ。
次に座喜味城かな、ひと言で伝えるなら”美しい城”ですって言い方になるね。城壁が曲線で角のあたりは上部も横も少し尖っているの。中国のお城をイメージすると良いね。なんで角っこがとんがっているのって調べたら ”カッコいいから” らしいよ。三国志の英傑が髭面な人が多いのと、感覚的には近いのかなと思う。中国的だよね。
でも、ロケーションの美しさなら勝蓮城でしょう。資料館なんてない頃は階段の下まで車で行けたのだけれど、今は、結構、駐車場から歩かないと行けないようですね。でも、行くべき城の一つだと思います。人って、階段を登る時はどうしても下向き加減になるじゃないですか、だからこそ、登り切って顔を上げた時に広がる太平洋の広さと美しさ。目の前の景色に気を呑まれた後で気づく ”パノラマ大世界” に心が湧き上がるの。阿麻和利と百十踏揚の二人について予習してから行くのがオススメ。
中城はね規模が大きいと言うのも魅力なんだけど、言うなれば ”歴史的建造物” だわけ。城壁の石の積み方には、自然石のまま積み上げる ”野面積み” や豆腐のように加工して積む ”布積み”、多角形に加工した石を噛み合うように積む ”相方積み” なんかがあるんだけれど、この中城はその技術の全てを見る事ができるの。勝連城や座喜味城も手がけた稀代の天才築城家「護佐丸」を感じながら巡るとさらに楽しいと思うよ。
それにね世界遺産に登録された城だけでなくて、祭祀的な意味合いを強く感じられる ”玉城” や "名護城"に行くと、沖縄独特で「お城」でなく「グスク」に触れることができるよ、"浦添城 " なんて ”ようどれ資料館” のガイドさんと回ると、天孫”英祖王”と言った琉球古代史と沖縄のレッドクリフ前田高地って近代沖縄の惨状も聞き応えがあるよ。
たとえばね・・え?もう十分聞いたって。ちょっと話が長かったかな? まぁ、こんな事を僕に聞く時は気をつけてね、話が長くなるからね」
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み