第41話 ランチしながら決意表明とか、オサレ過ぎてもう。

文字数 839文字

「やっぱよお、鬱陶しい梅雨は、カレーに限るな」

 万人に理解不能な北条論を無視し、上杉とレナは各々の昼食を口に運ぶ。

 北条はチラチラとレナの胸部を盗み見ながら、それをオカズにカレーを『飲んで』いた。
 イメクラに興味はない。
 よって婦警の制服はどうでもいい。
 北条のハートを奪って離さないのは、レナの愛くるしい顔立ちと、冥王星まで行けそうなロケットオッパイ。
 NASA最高傑作をオカズに食べるカレーは、最高のコクだ。

 福井県警地下一階の食堂。
 上杉とレナは、周囲から針のような視線をいくつも浴びていた。
 日替わりランチ特上を上品に口に運ぶ、スーツで決めた上杉。
 お弁当を、体育会系らしく、元気いっぱい食べる制服姿のレナ。
 カレー大盛りをむさぼる、スカジャンにカーゴパンツの北条。

 そんな異質な組み合わせは、他の警官にとって好奇の的だった。

 後に『更正組の特命』と呼ばれる事件から、一ヶ月が過ぎた。

 明智の死亡により、全てが闇に葬り去られた。
 突然、銃火器のダブつきがなくなった。
 木島の死亡は、心不全とされた。
 何と分かりやすい捏造。

 明智がいたホテルで、北条と上杉が倒した連中は、機捜が到着する前に姿を消した。
 山本の轢き逃げは、形ばかりの捜査が続いている。
 さすがに明智の射殺は、特別捜査本部が設置された。
 今なお捜査中だ。
 現職警官の殺害に、警察は全力を投じる。
 
 しかし、『暴走組による犯行』として、捜査権がハムに全権委任された。
 うやむやにされた挙句、迷宮入りで幕引き。
 そんな出切レース。
 北条も上杉も、それは分かっている。
 
 二人で話し合ったわけではない。
 だが、結論は同じだった。
 
 組織は組織で勝手に事を進めればいい。

 自分達で真相を掴み、暴露する。

 どれだけ時間がかかろうが。
 どれだけ味方がいなかろうが。
 どれだけ障害が立ちはだかろうが。
 どれだけ自分を犠牲にしても。
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