第29話 そうだ生活安全課の課長に聞こう! 雑魚はブッコロで!

文字数 689文字

 生安の部屋に入るなり、そこにいた刑事達はまず驚愕し、そして殺気立った。
 入り口に立っている北条の前に、刑事達が殺到する。
 ブ厚い人壁ができる。

「テメエか! 明智の野郎と、こそこそやってんのは!」

「てめえも更正組なんだろ! 所詮クズはクズなんだよ!」

「クソガキみてえな服装しやがって! 補導してやろうか!」

 壁から罵詈荘厳が次々飛んでくる。

 歯を食いしばって、北条は耐えた。
 探していた。
 生安の課長を。
 デスクにはいない。
 だが室内にいるのは確実。
 直前に、内線ワン切りで確認済み。

 (どこだ?……いた!)

 背を丸めて、給湯室へ逃げ込もうとしている。

 北条が、黙って人壁をすり抜けようとしたとき。

 「都落ちのSAT崩れが! よう未成年射殺して平気な顔でおれるんやのう」

 無精髭の刑事が言ってしまった。
 
 ブチリッ!
 
 北条の脳内で、何かの線が切れる音がした。
 直立の姿勢のまま、右脚が上がる。
 その踵が無精髭の頭上に叩き落される。

 ズドン! 

 破滅的な衝撃音。
 その破壊力、崖崩れの如し。
 無精髭は白目をむき、泡を吹いて膝から崩れ落ちる。
 
 周囲の生安の刑事達は、目の前で何が起きたのか分からない。

 「どけ! コラ!」

 北条が、直近にいた刑事の腹を蹴りながら吠える。
 集まるのも早いが、解散も早いのが福井県警・生活安全課の特徴らしい。
 いきなり、目の前が開けた。

 給湯室へ一直線。
 屈んでいた生安課長の背中がビクリと震える。

「安心しろ。殺しゃしねえ。確認してえことがある」
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