極楽浄土の瞑想 第十一〈観大勢至色身想〉

文字数 1,406文字

さて
次には〈大勢至菩薩〉も観想なさって下さい。

この菩薩の身体の大きさも
また観世音菩薩と同じくらいです。

〈円光〉は各方面に百二十五由旬(約875km)の大きさで (直径が二百五十由旬の球状か)
周囲の二百五十由旬(約1750km)を照らしています。


この菩薩が立ち上がる時には
身体中から紫金色の光明が溢れ出し
十方の国々を照らします。

そして〈縁のあるものたち〉は全てこの光明に出会うのです。

この菩薩の
一つの毛穴から発せられるただ一筋の光でさえ出会うことが出来れば
すぐに〈十方の量り知れない仏たちの浄く妙なる光明〉に照らされるでしょう。

このゆえに

この菩薩を

『無辺光(はてしない光)』

と名付けるのです。


この〈智慧の光〉でもって
遍く一切の〈縁あるものたち〉を照らすのですが
照らされたものは〈三塗の苦しみ(怒り・貪り・愚かさの三大煩悩/地獄・餓鬼・畜生の世界)〉
を離れることが出来、
この上ない力に満たされるのです。

このゆえに

この菩薩を

『大勢至(“大いなる力”を得るに至るまで導くもの)』

と名付けるのです。


この菩薩の〈天冠〉には五百の〈宝華〉が咲いています。
一つの〈宝華〉には五百の〈宝の台〉があります。
そして一々の台の中に
〈十方のもろもろの仏たちの浄く妙なる国土〉の“広く果てしない様相”がことごとく現れるのです。

この菩薩の頭の上には蓮の花のような〈肉髻(肉が盛り上がってまげのようになっている)〉があります。

この〈肉髻〉の上には一つの〈宝の水瓶〉があり
様々な光を取り込んで
満たされると〈ありとあらゆる仏の施し〉を現し出すのです。


この他の様々な〈身体の相〉は観世音菩薩と等しくて
異なるところなどありません。


この菩薩が歩いて行く時は
十方の世界のどこであっても、驚き揺り動かされるのです。

そして
その揺り動かされた大地からは
五百億もの〈宝の華〉が咲き乱れます。

その〈宝の華〉は
たった一つでも高貴に飾り尽くされているため
あたかも極楽世界を眺めているかのような素晴らしさです。


この菩薩が自身の蓮華の玉座に就く時には
下は〈金光仏の国土〉から
上は〈光明王仏の国土〉に至るまで
〈七宝で彩られた仏国土全て〉が同時に揺れ動きます。

そして
あらゆる仏国土へ散らばっていた
〈量り知れないほど無数の化身の三尊ー化身の弥陀、化身の観音、化身の大勢至たち〉が
ことごとく極楽の国土に雲のように集まって来て
空中を隙間なく埋め尽くし

それぞれが立派な蓮華座へと座って
〈妙なる法〉を美しく解き明かし
苦しみに埋もれる人々や神々を救い取るのです。


これこそが〈正しい観法〉なのです。
このようでなければ、それらは〈邪法〉に過ぎません。


大勢至菩薩に見(まみ)えること。
これが第十一の瞑想たる〈大勢至菩薩の色身の観想〉です。


この菩薩を観想すれば
〈数え切れない時間の、量り知れないほどの生死の罪〉が除かれます。

この観想を成し遂げれば
〈六道輪廻の世界(苦しみ迷いの世界)〉に生まれることはありません。

常に〈もろもろの仏たちの浄く妙なる国土〉の間だけを行き交う身となりましょう。


これらの観想を完成させることを

〈観世音菩薩と大勢至菩薩の観想をつぶさに満たす〉

と呼ぶのです。
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