四誓偈

文字数 1,196文字

釈迦牟尼仏は、アーナンダに続けて語られる。
「すべての誓願を説き終えられた時に
〈修行者・法蔵菩薩〉は、“世自在王仏よりの威力”によって「美しい詩頌(四誓偈・しせいげ)」をうたいあげたのです。


『私は建てたのだ、“世を超えた最上の誓願”を!
 かくなる上は、必ずや“無上なる道”へと至らん!
 この願いを満たさないのならば、誓って正覚を成し遂げて〈仏陀〉となることはない。

 私は量り知れない時の中で
 “大いなる施し主”となり
 普く〈生き物たちの貧しさや苦しみの数々〉を救い取ろう!
 もしそうならないならば、誓って正覚を成し遂げて〈仏陀〉となることはない。

 私が“仏の道を完成させる時”に至れば
 〈私の名前〉というものが十方の御仏たちの国々へと轟き渡り
 すみずみまで聞こえてあるように!
 もしそうならないならば、誓って正覚を成し遂げて〈仏陀〉となることはない。

 私は愛欲を離れ
 正しく「身体と感受と心理と真理」とを深く念じて
 〈清らかなる梵行〉を修行して〈浄らかなる智慧〉を開き、“無上なる道”を志し求めよう!
 そうして人々と神々とを導く師となろうぞ!


  世自在王仏様。
  世尊(あなたさま)は“神力ある大いなる光”を放たれて
  普く際限なく国土を照らし
  〈三垢(貪り、怒り、愚かさの三つの煩悩による垢)の冥(やみ)〉を消し去って
  広く生き物たちを“地獄の苦しみ”からお救いになられました。

  世尊は
  かの“美しき智慧の眼(まなこ)”を開いて
  この〈愚かさの中をさ迷う我々の闇〉を滅ぼし
  “様々な悪への道”をふさぎ閉ざされて
  “天国への門”を開いて下さりました。

  世尊は
  〈福あふれる功徳〉を完成させて、“威光”は十方に輝きます。
  その光は“日と月を合わせた輝き”にも勝り
  “神々の光”も影をひそめてしまうほどです。

  世尊は
  あらゆる生き物のために〈仏法の蔵の扉〉を開いて広く〈功徳の宝〉を施されました。
  常に人々の中において、“獅子の吼え声のごとき説法”を轟かせておられます。

  世尊もかつては
  すべての御仏方を供養されて、〈諸々の功徳の根本〉を身に備えられました。
  〈仏となるための数々の誓願と様々な智慧〉
  そのすべてを成し終えられたからこそ、“三界の雄”たる〈仏〉となられたのです。


 世尊よ。
  あなたが〈さまたげなき智慧〉をお持ちのように
  私も〈勝れた智慧の力〉を備えて、あらゆる物事に通じ
  すべてを照らすことができますように
  ――“最勝尊たる世自在王仏様”と等しき身となりますように!


 もしこの「願い」が叶って私が〈仏〉となるのならば
 大千世界よ
 感応して大地を揺り動かせ!
 虚空に満ちる天人たちよ、
 花の雨を降らせるがよい!』」
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