ジャンブー島その10 〈アノクダツ池(前篇)〉

文字数 681文字

〈ウツゼンナ湖〉から遠くないところに、〈ウツゼン山〉がある。
この山は樹木が美しく厳かに茂っている。
花咲き乱れ、果実もたわわに実って、馥郁(ふくいく)たる香りに満ちている。
そして、ありとあらゆる動物たちが住んでいる。

〈ウツゼン山〉から遠くないところに、〈金壁〉という名の山がある。
この〈金壁山(こんぺきざん)〉には八万もの岩窟がある。
この岩窟には、〈八万頭の象王たち〉が住んでいる。
その体は皆純白で、頭だけは様々な色の光を発しているのだ。
皆、六本の牙を持ち、口から金の光を放っている。

〈金壁山〉も過ぎたところに、〈雪山(せっせん・ヒマラヤ)〉がある。
その高さもすそ野の広がりも、500ヨージャナ(約3500km)まで続いて東西の海へと入り込んでいる。
〈雪山〉の中ほどに〈宝山〉がある。
〈宝山〉は、〈雪山〉よりさらに20ヨージャナ(約140km)高くそびえている。
雪山には、高さ100ヨージャナ(約700km)の丘もそびえている。


この山の頂上に、〈アノクダツ池〉という池がある。広さ50ヨージャナ(約350km)四方。
その水は清らかで、冷たく澄み渡ってけがれない。
七宝で出来た堰に囲われ、それぞれ七宝で出来ていて、様々に輝きを放つのだ。
金の堰は銀に輝く。
銀の堰は金に輝く。
瑠璃の堰は水晶の光に、
水晶の堰は瑠璃の光に、
赤真珠の堰は瑪瑙の光に…といった具合である。
同様に、
金の薄網には銀の鈴が輝き、
銀の薄網には金の鈴が、
また
金や銀や水晶のターラ樹並木には銀や金や瑠璃の枝や葉、花や実がなる、といった具合である。
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