ジャンブー島その5 〈無色界〉

文字数 773文字

これら、〈“欲望なく姿形のみある神々の世界=色界”をも上回る神々の世界〉がある。
〈姿形もない神々の世界=無色界〉である。

〈無色界〉は〈色界〉の上空にはない。
姿形を上回っているので、どこにもなく、どこにも遍在するのだ。
〈色究竟天〉を超えて最初にあるのは、〈空処智天(空無辺処)〉である。
〈三千大千世界〉の広さを持つ、〈無雲天〉以上の「九天」といえども、“虚空が無辺である”というこの天にはかなうべくもない。
これら“〈空〉を知る神々”の住まうのが〈空処智天〉である。

〈空無辺処天〉を超えて次にあるのは、〈識処智天(識無辺処)〉である。
いかに“虚空が無辺”であろうとも、その虚空を“識る”ことが極まりなければ、かなうべくもない。
これら“〈識〉を知る神々”の住まうのが〈識処智天〉である。

〈識無辺処天〉を超えて次にあるのは、〈無所有処智天(無所有処)〉である。
いかに“識が無辺”であろうとも、“有ることそのもの”がなければ、かなうべくもない。
これら“〈無所有〉を知る神々”の住まうのが〈無所有処智天〉である。

〈無所有処天〉を超えて最後にあるのは、〈有想無想処智天(非想非非想処)〉である。
そして“何もない境地”の上には、“想うことも、想わないこともない境地”が横たわっている。
これら“〈有想無想〉を知る神々”の住まうのが〈有想無想処智天〉である。


これら〈欲界〉〈色界〉〈無色界〉の〈三界〉は、等しく「迷いの生存にある生き物たちの世界」と名づけられる。
全ての生き物たちは“生まれ、老い、病に倒れ、死す”という苦しみがつきまとう。
因縁により、その命を受けるのだ。
このことより逃れられる者など、いない。


そして、〈無色界〉をも超えて、これら〈三界〉をも超えたところに、“仏の世界”たる〈涅槃界〉があるのだ。
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