極楽浄土の瞑想 第四〈宝樹観〉

文字数 1,199文字

「〈地想〉が終われば、つぎに〈宝の樹〉を観想して下さい。


 まず一つの〈宝樹〉を観想し、
 そして〈七重に並ぶ宝樹の並木〉を観想するのです。

 樹の高さは、それぞれ八千ヨージャナ(1ヨージャナは7km,11km,15kmなど諸説ある。7kmと仮定すると、56000km。地球1周半弱、といったところ)あります。

 それぞれの〈宝樹〉には、〈七宝の花と葉〉が花咲き、繁っています。
 そして、それぞれの花と葉は、みな異なった宝の色をしているのです。
 瑠璃色の中から金色の光を発しているものや、
 玻璃(ハリ・水晶。透き通った)色の中から紅色の光を発しているもの、
 また瑪瑙色の中からシャコ(白いシャコ貝)の光を発するもの、
 シャコの色の中から緑真珠の光を発しているものなどで、
 それらは珊瑚、琥珀などの一切の宝によって飾られ、輝いているのです。

 また、〈真珠の精妙な網〉が〈宝の樹〉の上を覆っています。
 一つ一つの〈宝の樹〉の上に七重もの網が覆いかぶさっているのです。
 その一つ一つの精妙なる網のあいだには、
〈清らかな神々・梵天〉の宮殿のような、五百億もの〈花の宮殿〉があります。
 
 そのなかには、〈天の童子たち〉がいらっしゃいます。
 童子たちはみな、五百億の〈思い通りのものを生み出す摩尼珠〉を飾りにしていらっしゃいます。
 その摩尼珠の光は百ヨージャナ(約700km。おおよそ東京から岡山まで)の彼方まで照らします。
 その光は“百億の太陽と月とを合わせたよう”で、語り尽くすことも出来ません。

 この〈宝樹〉のさまは、数々の宝石が入り混じり、
 およそ色彩のなかでも極上のものを発しているのです。


宝樹の並木は触れ合い、葉と葉が連なっています。
 多くの葉と葉のあいだには花が咲いており、
 花の上には七宝の果実が実っています。

 葉の大きさはどれも縦横ともに等しく、
 二十五ヨージャナ(約175km。おおよそ四国の東西の幅)あります。
 一枚の葉に千の色彩があり、
 また百種の模様をそなえていて、
 まるで〈神々の装身具〉のようです。

 花は〈紫がかった金色〉で、
 炎の輪のように葉のあいだを回転しています。

 果実を実らせる様子は、
 “望みのものが湧き出る帝釈天の宝瓶のよう”です。

 その果実は〈大いなる光明〉を発します。
 その〈大いなる光明〉は、
〈天を支える幢〉と〈天を覆い尽くす宝の傘(天蓋)〉に変化します。
 その〈天蓋〉のなかに、〈三千大千世界のすべての御仏方の成し遂げられた功徳の数々〉が映し出され、
 また〈成し遂げられた功徳によって作られた十方の仏国土(浄土)〉も映し出されるのです。


 順々に樹の幹、枝、葉、花、果実のそれぞれを明瞭に観想してゆきます。


 これを成し得ることが、第四の瞑想たる〈樹想〉です。
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