結語 ヴァイデーヒーの救い

文字数 1,291文字

仏陀がこれらの言葉を語り終えた時

ヴァイデーヒーは500人の侍女たちと共に
説かれた通りの
〈極楽世界のきめ細やかな美しい姿〉
を目の当たりにし

また
阿弥陀仏と二大菩薩の姿と
あい見(まみ)えることができたのだった。


それら極楽および仏身に見えることによって
彼女たちは未曾有の歓喜が心から溢れ出し

「今だかつて、感じたことのない喜びです!」

と感歎し合うのだった。


その歓喜の讃嘆を通して
ヴァイデーヒーは〈虚空と等しき大いなる悟り〉を開き
〈無生忍(“何ものも本来生じることはない”という真理の認識を甘受出来る境地)〉
を得たのだった。

また、
500人の侍女たちも
〈勝るものなき公平なる悟りを求める心〉
をおこして
かの極楽国へと生まれ変わることを願ったのだった。


世尊たる仏陀は、彼女たちに向かって
「皆さんも間違いなく極楽への往生を果たすでしょう。
極楽へと生まれ変わってから〈すべての仏が目の前に現れる三昧〉を得られるでしょう」
と予言し、約束なされた。

量り知れないほどの数の様々な神々も〈無上なる道心〉をおこしたのだった。


その時
アーナンダは自らの座から立ち上がった。
そして仏陀の前へと進み出て申し上げる。
「世尊よ。
今お話頂いた御教えは、何と名付けてお呼びすればよろしいでしょうか?
この法の要(かなめ)を、どう受け止めて持(たも)ち続ければよろしいでしょうか?」

仏陀はアーナンダに告げられる。
「この経は
名付けて

『極楽国土の無量寿仏と観世音菩薩と大勢至菩薩の観想』

と呼んでもよいでしょう。
また

『〈業の障り〉を浄め除いて諸々の仏の前に生まれる方法』

と名付けてもよいでしょう。

アーナンダよ。
あなたはこのことをしっかりと受け止め
よく保って忘れ去られることのないようになさって下さい。

これらの〈三昧〉を行ずる者は
この世にいながらにして無量寿仏および二大菩薩と見えることを得るのです。

行者とまではいかない善良なる人々でも
ただ阿弥陀仏の名と二大菩薩の名を聞くだけで(=その存在を知るだけで)
〈無量劫の間生死を繰り返す罪〉が除かれるのです。
ましてや
よく心に留めて念じ続けるならば、その功徳はなおさらです。

もしも
仏を念じ続けるならば
その人は人々のなかの

〈プンダリーカ(浄らなる白蓮華)〉

です。

観世音菩薩も大勢至菩薩も
その人の

〈勝れた友〉

となることでしょう。


そのようにお知り下さい。
まさに

瞑想修行の道場に座したまま
諸々の仏たちの家に生まれるのです」


仏陀はアーナンダに命じておっしゃった。
「アーナンダよ。
あなたはきちんとこの言葉を守り、伝えていって下さい。

その言葉とは

“無量寿仏の御名を持(たも)て”

ということです」


仏陀がこの言葉を説き終えられた時
マウドガリヤーヤナおよびアーナンダの両尊者
またヴァイデーヒーと500人の侍女たち
無量の神々ら
皆が
説かれた教えの素晴らしさに
深く、大きく歓喜したのだった。

(了)
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