極楽浄土の瞑想 第七〈華座想〉

文字数 1,361文字

「かの無量寿仏を観ることを望む者は、まずこの観想より始めて下さい。

七宝の大地の上に蓮華が咲いている、と思うのです。

その花びら一枚一枚に、百宝の色が溢れています。
花びらには、八万四千ものすじが通っていて、あたかも天の紋様のごとくです。
すじには八万四千の光があります。

それらを一つ一つ明瞭に想い描いて、目の前にあるかの如くになさって下さい。
小さな花びらでも、縦横の大きさは二百五十ヨージャナ(1ヨージャナを約7kmとすると約1750km。日本の本州と九州を合わせたくらいの長さ)です。

この蓮華には、八万四千もの花びらがあるのです。
一枚一枚の花びらの間それぞれに、百億もの〈摩尼珠の王〉があり、それによって輝かしく飾られているのです。

一つ一つの〈摩尼珠の王〉は千の光を放っています。
その光は空いっぱいの傘のようになって七宝を生みだしてゆき、
しかもその七宝によって飾られ、あまねく極楽の大地を覆うのです。


また、この蓮華を支える〈台〉は、〈シャクラアビラグナ摩尼宝(自在に様々なものを生みだす宝珠)〉で出来ています。
そしてさらに〈台〉は、〈八万の金剛(ダイヤモンド)〉と〈キンシュカ樹の花のような赤い宝石〉と〈清らかな摩尼宝〉、そして〈妙なる真珠の網〉とによって、巧みに飾られているのです。

この花開く〈蓮華の台〉の上には、おのずから四柱の〈宝の幢〉が現れます。
一つ一つの〈宝の幢〉は、“百千万億のスメール山”を重ねたようです。

幢の上に現れる〈宝の幔(とばり)〉は、“夜摩天宮のごとき美しさ”です。
五百億もの〈こまやかで妙なる宝珠〉によって飾られています。
この一つ一つの〈宝珠〉は八万四千の光を放っています。
さらにその一つ一つの光は、八万四千もの異なった金色に輝くのです。
そしてこの一つ一つの金色の光が、この極楽の宝土にあまねく行き渡るのです。


金色の光はそれぞれの場所に応じて、違った姿へと変化します。
あるいは〈揺るがない金剛の台座〉となります。
またあるいは〈真実の珠よりなる網〉となって覆い、包みます。
またあるいは〈様々な華の雲〉となって極楽を飾ります。

このように、十方のあらゆる所で、それぞれにふさわしく変化して現れ
“仏としての施し”を為すのです。

これが、第七の瞑想たる〈華座想〉です。」


仏陀はアーナンダに向かって、重ねてお告げになられる。

「このような〈妙なる大蓮華の座〉とは
もともと阿弥陀仏が修行時代、“法蔵比丘”と呼ばれていたころに建てた数々の〈誓願の力〉によって生まれたものです。
かの阿弥陀仏を念じようとする者は
まずこの〈誓願力によって完成された蓮華座の観想〉をなすべきなのです。

観想する時は、この順番通り、丁寧にしなければなりません。

一つ一つの花びら
一つ一つの珠
一つ一つの光
一つ一つの台の様子
一つ一つの幢も

鏡に写った自分の姿を見るように、すべて明瞭に想い描かねばなりません。


このように〈観想〉を成し終われば
〈五万劫の生死の罪〉も滅ぼし尽くすことが出来ますので
必ず極楽世界に生まれることが出来るのです。

これこそが〈極楽の正しい観法〉なのです。
このようでなければ、それらは〈邪法〉に過ぎません」
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