緒言にかえて~監修者のひとりごと

文字数 1,765文字


2010-01-01 00:00:00 | お知らせ
 ご来訪いただきました皆さま、明けましておめでとうございます。

 このブログでこれから公開してゆく予定の仏教経典の現代語訳について、西川隆範先生からお話をいただいたのは、去る2009年の夏に西川先生と風濤社より『絵本 極楽』を出版してからのことでした。
 学生時代に先生とご縁をいただいて以来、ほぼ十年ぶりに差し上げた手紙から始まった絵本作りでしたが、いまだに不思議なお導きであったとしか思えません。なにせ、シュタイナーに傾倒して不躾にもその翻訳者に手紙を差し出す学生から浄土宗僧侶となった私が、真言律宗の僧籍をお持ちながら百冊以上ものシュタイナー精神学や宗教関連の書籍を翻訳・著述なさっている大家でいらっしゃる西川先生のお手伝いをさせて頂けたのですから。(しかも、畏れ多くも「監修」ですって!)
 今回の『21世紀新訳・仏教経典(抄)』も、西川先生が1998年以来温めて来られた志であり原稿であります。より多くの方々に仏教の全体像を平易に、かつ正確に、そして楽しく理解していただけることを意図されていらっしゃると思うのですが、絵本作りが終わってから、私は先生からこの原稿をいただいたのでした。
そのメールに「手直しして下さい」と書かれてあったのですが、とても畏れ多くて、その時は有り難く拝読させて頂くばかりでした。


 ところが、秋になり先生から頂戴したメールには具体的にブログとして公開されたい旨がつづられていました。

〉仏教の新たな興隆のために、どのような手段が今は最も有効なのかを考えると、
 読むことで完結する書籍よりも、交流が可能なインターネットを入り口にするほうがよいかと考えるのですが、
 僕は十分な時間が取れないので、貴君がご尽力くださればありがたく思うのです。

先生の尊い志は、同じ僧侶として、私も強く共感するところでありました。実際により多くの人々に向けて仏教の素晴らしさを発信するために、微力ながら私も全力を尽くさせて頂こうと決意したのでした。


先生の原稿は梵文・巴利文・漢訳・西蔵訳にほぼ忠実な内容であり、簡潔でやわらかな文章です。ただ、先生の意図される

〉とくに仏教信者むけではなく、一般の方々に仏教経典に触れる機会を提供して、
 -「お経」って、けっこう面白いじゃないか。
 -「お経」って、小説みたいに読めるのね。
 と思っていただけるよう、配慮したつもりである。

というお気持ちには、まだ少し専門用語も多く、一般の方々には遠いかな?と感じましたので、(かなり)思い切って私なりに手を入れさせて頂くことにしたのでした。先生の原稿に手を入れることは大変に畏れ多いことではありますが…。
 しかし、やるからには、
〈より多くの人に、「お経」をわかりやすく、楽しく、そして(専門用語で煙に巻くことなく、全体として整合性を持つように)正確に伝わるように〉
表現してみたつもりです。
 ただ、広大な仏教の世界に対してまだまだ不勉強な青二才のすることですから、場合によっては伝統的な解釈と大いに相違しているかもしれません。ですから、それぞれの「お経」の専門の僧侶がご覧になった時に「勝手にこんな解釈をしてるぞ」「この言葉は普通こういう意味だろ」と思われるところがあるかもしれません。大切な理解の仕方を損ねているかもしれません。
その全ての責任は、監修である私・桝田英伸にあります。
 ただ、
――とらわれなく「お経」そのものが語る内容に忠実であろう
ということにだけは腐心しているつもりです。


 本文の公開は、1月18日の初観音の日から始める予定です。
それぞれの「お経」を数回に分けて、だいたい週に一回のペースで公開して行ければ、と考えております。
(「お経」は全文ではありません。西川先生が選び取られた部分の「抄訳」です。この点、ご承知置き下さい。)

 また、公開の順番は目次のとおりではなく、監修者の気の向いた順です。
(なんてアバウトな…!西川先生、ごめんなさい。)

 コメント欄へ書き込みが出来るように致しますので、ご意見や質問などございましたらお知らせ下さい。
一方通行のブログとならないことを願っております。
合掌。
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