『CPUの創り方』
文字数 1,249文字
初歩のデジタル回路 動作の基本原理と製作 / 渡波 郁
知る人ぞ知る。知らない人はぜんぜん知らない。とてもピンポイントな名著です。
2003年9月に初版発行ということなので、もうかれこれ16年以上売られています。それもずっとベストセラー!
動きの速いAmazonの「コンピュータ・ITの周辺機器」部門でずううっと5位以内。何か新しい本が出ていないときはたいてい1位といえばすごさがわかるでしょうか。
「コンピュータの心臓部であるCPUを自分で作ってみたい!」(という人がどれだけいるのかは謎ですが)そんな人ならば、ほぼ確実に読んだことがある本と言えるでしょう。
自作したいって人じゃなくてもデジタル回路の初歩を知りたい方や、コンピュータの基本原理に興味がある人にも超おすすめ。
ものすんごく基礎からとっつきやすい平易な言葉でわかりやすく解説してくれます。
全般的にほんっとにわかりやすく書かれています。じゃがいもやレトルトカレーにデジタル回路をたとえたと思ったら、
『ロジック(論理)はもともと人間の心の中にしかない存在で、心の一部ともいえる。それをアナログ的にドロドロと動作している現実世界で動作させるために、アナログな材料で、ロジックという心の入れ物としてのデジタル回路がつくられた。(超省略した意訳)』
なんてかんじの名文もほいほい飛び出します。
エミュレータやFPGA(ロジック回路をプログラミングできるそれはそれですごい子)で回路を作るのではなく、実際に論理ゲートをはんだ付けしてCPUを作る理由として説明されている上の文を読んで、私はぐっときてふおおお~。って溜息をついちゃいましたね。
著者の方は照れ隠しからか「男のロマン」がその理由と言っておられますが(笑)
そのぐらい、読み物としてもとっても面白いのです。(まあ、心に刺さる層はほんとに狭いと思いますけれどw)
予備知識として、せいぜい中学校で学んだ(ハズの)オームの法則がわかっていればOK。十分読めます。
テスターという武器の使い方から部品の説明までほんと懇切丁寧にかかれていてとおおってもわかりやすいです。そして楽しい!
こんなに簡単にCPU作りに挑戦できちゃうなら、やってみようかな。という気持ちにさせてくれる、素敵な本なのでありました。(あくまで挑戦、ですけどねw)
この本で作れるようになるCPUはTD4という4ビットCPU。ラーメンタイマーぐらいの用途にしか使えない貧弱なCPUですが、それでもファンがたくさんいます。みんな「男のロマン」に魅せられて自作してしまうようですね。
で、最近見かけたファンの同人誌もオマケで紹介しておきます(下の写真)
なんとTD4を拡張して便利にした基板付き! 技術書典で売っていました。
でも使用しているICが、時代の流れかそろそろ秋葉原でも品切れになりつつあるそう。。
自作したい人は今のうちにゲットしておいたほうがよさそうです。