『復活の地』

文字数 685文字

『復活の地(全3巻)』/小川一水

2004年の作品です。

つまり、東関東大震災も津波も原発の事故もまだなかった時代に書かれた、超弩級災害小説。


よくSF作家は見たこともない未来をまるで見てきたかのように書いたりしますが、ほんと、そんな感覚です。あの生々しい震災の記憶どおりに、(別の惑星の、はるか未来の出来事ですが)大震災が人々の暮らしを直撃し、多くの人が巻き込まれ、ある者は傷つき、ある者達は生き別れになり、ある者は死に。。。未曾有の大災害に対して、ケシ粒のような人間たちがどう戦うのか。克明に描き切った大作です。


おそらく阪神大震災の経験から書かれた作品だとおもうのですが、それにしてもよくもまあここまでマクロな災害視点から陰謀・策略の渦巻く政治の世界、そしてミクロな個人視点まで仔細に描けるものだと感心してしまいました。1巻では災害描写が克明すぎて、かなりキツかったりもしましたけど、、目をそらすわけにはいかない! なんて思いながら読み進めましたですよ。

で、突然の大災害に為す術もなくやられっぱなしだった人々が、タイトルの通り復活していく様は国家としての成長物語のようなカタルシスがあって、最後にはぷるぷる震えながら読んでました。いいですよーw

(おまけのひとこと)

古いSFファンなら、タイトルであの有名な小松左京の名作を思い出すんじゃないかしら。こんなタイトルですから、もちろんソレのオマージュであるのだとおもいますが、残念ながらあちらは小さい頃に読もうとして断念した覚えだけがあります。古本ででも探して読んでみようかなー?

Original Post:2015/08/23


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