『銀河乞食軍団 合本版』

文字数 1,839文字

『銀河乞食軍団 合本版①~②』/野田昌宏

家の本棚は常に満杯なので、これ以上大型本は買いたくないなあと思っている今日この頃なのですが、こればっかりは仕方がなく、やっぱり買ってしまった合本版の銀河乞食軍団です。

それにしてもなんと巨大な!

書類では使いますけど、あまり書籍では見かけない(つまり本棚に入らない)A4版です。2冊並べたらA3ですョ。とても持ち歩いてお外で読もうとは思えず、しかたなくお家でゆっくり読みました。(これ2巻でたっぷり文庫11冊分の内容がつまっています)

昔々の文庫本では一通り読んでたはずです。でも、読んだのは豆粒みたいに小さなころでしたので、面白かったー。って感触のみ憶えているものの内容はしっかりきっぱり忘れさっておりまして、あらためて新鮮な気持ちで読めました。えぇえぇ、やっぱりとってもおもしろかったですよ~☆


 ☆


それはそれはすてきな和風なスペースオペラなのです。今ではもう珍しくないかもしれないけれど、最初に出たころはけっこうインパクトあったのではないかしら。登場人物の人名はもちろん、地名や宇宙船の名前なんかが全部日本語、というか江戸弁というかのべらんめえ口調で、読んでいるとまるで名調子の講談か落語を聞いているような気分にさせてくれます。


『東銀河連邦の政府がおかれている星系〈星京〉(ほしのみやこ)、かつて王政期に主星系であった〈星古京〉(ほしのふるみやこ)など、連邦の主な大星系をつなぐ主要ルートからはるかに離れた辺鄙な自治星系、〈星涯〉(ほしのはて)……』なんて、もうこの舞台となる地名のネーミングセンスだけでうれしくなっちゃってご飯3杯ぐらいいけちゃうかんじの私です。


いいなあ、こういうの。


そして、その〈星涯〉(ほしのはて)星系のさらに片田舎の惑星・白沙(しろきすな)に拠点を置く中古宇宙船の解体修理業兼運送業者の〈星海企業〉。それこそは、このお話の主役というかタイトルにもなっている会社なのです。

〈星海企業〉は、そのおんぼろ宇宙船をやりくりする手腕や、その強きをくじき弱きをたすける社風ゆえか、いつしか『銀河乞食軍団』と呼ばれ、つねに弱い者いじめをする政府や軍から逃れた貧乏人が最後に助けを求めに行くセーフティーネット的な会社なのですね。

今回、そこを訪ねやってきたのは、女中奉公中に生まれ故郷のタンポポ村が星系軍によって閉鎖され、帰るに帰れなくなってしまったという少女パム。村で疫病が発生したためとかもっともらしいことを軍は言っているものの、どうやら軍による秘密の実験の結果、村ごとすっぽり「無くなって」しまったらしいのだとか。

彼女と、消えてしまったというタンポポ村を救うため、『銀河乞食軍団』は立ち上がります。

軍や政府や大企業を相手にとり、全社を挙げて、正義……というとなんだか気取っていて違う感じ?、そういうのは「照れくさくっていけねえや」って言いながら、火消しの親分が長屋に逃げ込んだ娘ッ子のために一肌脱ぐ的な、いまどき珍しい「人としてまっとうなこと」を、プロフェッショナル集団がもてる技術の粋をあつめ、そいでもって命をかけて、全力で弱いものの味方をするのです。かっこいい!


今の感覚からするとお話はよくある話だったり、ご都合主義と言われるかもしれません。

でも、そんな細かいことなど気にしないで、どっぷりお話に浸かって、時代劇を見るように『銀河乞食軍団』の活躍を楽しむのが最高に気持ち良いのです。だって、これは「スペースオペラ」なんですものね。そうでしょう? 野田さん♡

(おまけのひとこと)

内容をすっかり忘れていたクセになに言ってンだってかんじですが、読み直してみてはっと気がつきました。この銀河乞食軍団、私のSF(というかスぺオペ)の原体験だったかも。

こういうお話書きたくて小説書き始めたんですわ。そういえば……。


そしてそして、私がほんとにちっさいころですが、ご存命だった野田大元帥にリアルにお会いしたことあるんですよー、ちょっと自慢!

ガチャピン、、じゃなかったロケ松ッつぁんそっくりでめちゃくちゃ素敵なおじ様でしたねー。むつかしいことを子供にもわかるようにかみ砕いて説明してくれた、とっても優しい方でした。(もっともっといろんなこと教わりたかったなー。南無南無><)

(さらにおまけ)

この銀河乞食軍団の続編、というか前日譚を鷹見一幸さんが書かれてますね。そっちについてはこちらをどーぞ♪

Original Post: 2018/08/19
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