『別式』
文字数 1,198文字
かわいく、かっこよく、そして儚く、せつない。
そんな素敵なコミックを見つけました。
時は江戸時代、武芸で身を立てていた女性剣士「別式(べつしき)」のお話。
てっきりファンタジー的な女体化設定だと思っていたら、現実に存在したんですね。Wikipediaにも「別式」という項目があってびっくり。そして、主人公のモデルになった「佐々木累」って人のページまであって、史実だったんだあ。と、ちょっと鳥肌たってます今。
かつて池波正太郎の小説にも書かれていたようなので知ってる方はご存じだったのでしょうけれど、私はこのマンガを読むまでぜんぜん知りませんでした。
あ、私のような無知の人は、本編を読む前にWiki検索はしないようにしましょうね。軽くネタバレ(というわけでもないかな?)してますゆえ。
とはいえ、プロローグ部分で結末らしきエピソードがいきなりでているので、お話的には最初にラストがわかってしまっているのですが。
こんなふうに最後を明かして、それでも読ませる漫画ってなかなかスゴイですよね。ストーリー構成がよほどしっかりしていないといけません。でももちろんまったく問題なし。ぐいぐいと読ませてくれます。
絵も綺麗だしキャラクターもかわいいし個性的だし無駄がなくてしっかりと生きています。ほんとよいです。
こんなかわいい絵柄でどうやって最初に見せたようなシビアなラストへ向かうのかと心配しつつ読み進めれば、一見してほんわかムードのガールズコメディ時代劇(かなり現代オタク的な要素が紛れ込んでいて笑えます)が続き、かわいく格好良いキャラクターたちの魅力に、みんなまとめて愛らしくなってきます。
そしてそんな平穏がいつまでも続けばいいなと読者も感じるころ、じょじょに、それでも容赦なく歴史と運命が彼女たちの上に覆いかぶさってくるのです。。。
この、コメディからシリアスにつながるお話の流れがほんっとに自然でうまいんですよーぅ。
かわいらしい絵柄や時代劇だということで敬遠されちゃう方こそぜひ読んでほしい、実はけっこうヘビーなお話です。ちょっとえっちいしバイオレンスなところもあるのでお子様にはおすすめできませんが、ある程度人生を経験されたことのある方にはちょーおすすめ! 泣けます!
いまのところ4巻まで出ています。あー、先が読みたいっ!!
(おまけのひとこと)
2019年11月22日に最終巻五巻が発売されました。即日ポチって一気読み!
いやぁ、四巻目でだいたい想像はできていましたが、うーん。ヘビー。かわいらしい絵柄なのになんて重い、ずっしりとした読了感……。でも、良いです。重いけど素晴らしい。
それにしても、こんなに込み入った人間関係(因縁とか呪いと表現されてますが)をよく描き切ったものです。
作者のTAGROさんの力量は本当にすごいですね。
お疲れ様でした。