『アルテミス』上・下

文字数 884文字

『アルテミス』上・下 

 / アンディ・ウィアー(著)・小野田 和子 (翻訳)

あの『火星の人』(映画『オデッセイ』)を書いたスーパーNASAオタクの天才アンディ・ウィアーさんの第二作めです。

今回も地球外の過酷な天体上で、絶体絶命のピンチをユーモアと知恵で乗り切る主人公が活躍するSF。なのですが、火星ではなく今度の舞台は『月』。

そして、主人公は白人男性ではないアラブ系の女性、ジャズことジャスミン・バシャラ。一人称なことは前作同様ですが、女性視点であることがなかなか新鮮です。


前作は著者の分身的なキャラが主人公だったのですけど、今回は女性!? いったいどうなることかしらん? って心配しましたが全然問題なくてよかったですよー☆


ただ前作同様にやっぱり主人公は天才レベル。めちゃくちゃ頭の良い娘なのです。けれど、賢すぎる女子特有の、彼女と、その周囲との軋轢や関係性がなんというか理系女子あるあるというか、よく見てるなあってかんじです。


そんな彼女は物心ついた時には月に移住したため、この月の小型ドーム都市「アルテミス」が心のふるさとになっています。もう完全にルナリアン。

彼女の仕事はこの月の都市での運び屋(ポーター)。こっそり密輸なんて犯罪にも手を染めていたりもします。

頭がまわる分、ちょっと斜に構えてクールに、でも持ち前の正義感と信念で自分で決めたやっていいこととやっちゃいけないことの境界線はきっちり守る。そんな子です。


そんな主人公が、新たに引き受けた「仕事」がなにやらとてもヤバそうな件で……。というところから物語がスタート。どんどんヤバさが増していって危機&ピンチの連続。

ハラハラしっぱなしで上下巻一気読みでした♪


例によってとてもリアルな考証で描かれた月のドーム都市で、今回は対環境だけでなく対人間もありの知能戦。なかなかおもしろかったですよー☆

(おまけのひとこと)

女性キャラのしゃべり方や行動に違和感のない、男性作家のSFって珍しい気がするのです。原文も良いのでしょうけど、小野田 和子の訳がすばらしいのでしょうねー♪

Original Post:2018/10/13
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