『スーパーカブ』

文字数 774文字

『スーパーカブ』/トネ・コーケン

ネットのコミックを見て、気になって手に取った原作本です。

最初の部分のストーリーはコミックで読んでしまっていたということもあり、なんというか、なんにもない平坦な道をとろとろと自転車以下のスピードで走っているかのような小説だわねーと思っていました。(カブだけに平凡で予定調和がいいのかな、みたいな)


でも、ところどころでぐっと光るポイントがあるのですヨ。

冒頭から平凡中の平凡、そしてとにかくなんにも持っていなかった少女がスーパーカブを手に入れるまで、たんなる日常の描写に過ぎなかった文章だったのですが、そこに突然あらわれる、「ないないの女の子はこれから、世界で最も優れたバイクと一緒に暮らし始める。」というワンフレーズ。

私はこれにもうぐっときてしまいました。この平凡な描写からの飛躍が上手いわあ。


その後、カブ友との友情、(その子のエピソードが主人公置いといてとても熱いです。私はそっちに感情移入してしまいました。が、まあそれは置いといて)カブと一緒だからこそ得られた経験と青春の1ページが冒頭から続く丁寧な文体でさわやかに語られています。


バイクをテーマにした成長モノ、といえるかも。成長した結果かな、主人公の女の子の性格も後半は随分最初と変わっている気がします。(カブに乗って本性がでてきただけかもですけど?w)


1958年の販売開始から累計一億台に達するという名作バイクの一台にのった女の子の、平凡中の平凡だけれど、そんな彼女だけの物語。

バイクってそんな物語をつれてきてくれる素敵な相棒なんですよね。よいわあ☆

(おまけのひとこと)

冒頭で読んじゃったと書いていたWebコミックはこちらです。表紙やイラストを書かれている博さんのイメージを損なわずにうまいこと漫画化してますね~。

Original Post:2018/05/16
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