『銀河のワールドカップ』
文字数 1,130文字
この人の書く青春小説大好きなのです。
そしてテーマもたいていは大好き。夏のロケットだったり川の名前だったり、ペンギンだったり数学宇宙だったり、どれもこれも興味をそそる題材ですごく良い! のですが、困ったことにサッカーは私ちんぷんかんぷんで、ついこないだも「サッカーに例えたらあなたの立ち位置はMF」とか言われてもさっぱりわからず、ゴメンナサイ何のことでしょう? なんて聞き返しちゃうぐらいのサッカー音痴。
なので、正直この本は面白さわかるのかなー。って不安で敬遠していたのです。
でも、パラパラとめくってみて、サッカーよりもお話の魅力にすぐとりつかれてしまいましたw
よっぱらいの元Jリーガー、天才すぎて居場所のない三つ子、天性の素質は無くとも努力家の少年、そして俊足の少女に太りぎみを気にする普通の女の子。登場人物たちの魅力と、書き込みの丁寧さ、なにより作者のテーマへの意気込みというか愛情というか、ホントにサッカー好きなんだって思いがばんばんつたわってきます。
そして上手い!! 私のようにサッカーのサの字もわからない者でも試合運びから足使い、チームメンバーの考えや息遣いが手に取るように読み取れ、スピード感ある正確な描写でぐいぐい引きこまれます。
一見普通の文章ですけど、このリードアビリティはすごい。コレはほんと上手いです。
タイトルの「銀河」は某超有名な世界一のプロサッカーチームのこと、そこに憧れる寄せ集め少年少女(とよっぱらいの)町内サッカーチームが地元の大会を、全国大会をこなし、そして海外遠征へ、着実にステップアップしていく成長譚がもう手に汗を握る展開でグッときっぱなし。
最後には本当にドリームマッチ!?ってことになるのですが、まあそれは読んでもらうとしてw
決して運や天賦の力だけでなく、「ありそう」「できそう」って思わせる理由と理屈付けもすばらしいです。
まあ、この著者さんなら、少年チームが宇宙船にのって銀河で戦うって展開でも「ありそう」とおもわせてくれそうな気もしますけどw
(最初、不安とある意味期待してたりしましたが)そういう超展開はありませんので、リアルサッカーファンも納得できるんじゃないかと。
モデルとなった現実のサッカーチームや選手達が、分かる人にはとてもわかりやすく出ているそうです。
サッカー好きな方や青春小説好きなら是非手にとって見てください。
そうでない方にもオススメですよー♪