『子供の科学 復刻ダイジェスト版 1924-1943』

文字数 1,313文字

『子供の科学 復刻ダイジェスト版 1924-1943』

 / 子供の科学編集部

科学好きなお子様はだいたい一度は読んだことあるであろう雑誌、『子供の科学』。


ちょっと調べてみたら、なんと、1924年創刊なんですって! 大正13年創刊ですよ! もうじき100周年!! すんごい歴史があったんですねこの雑誌!

その創刊当時の、1924年〜1943年の、約20年のダイジェスト版を見つけてしまいました。

1924年といえば前年には関東大震災があり、その打撃から乗り越えるため、国を挙げての科学教育の必要性が叫ばれていた頃。そういった理由もあるのでしょうけれど、なんともこの、紙面いっぱいにつめこまれあふれだす科学へのあこがれというか熱量がすごい!


創刊号にいきなり、(日本国内でラジオの放送はまだ始まってすらいなかったのに!)【わけなくできます作ってご覧なさい】と、携帯型の『無線き丶とり装置(さうち)』の作り方の詳細がのっています。ヴェリアブルコンデンサー(バリコン?)や鉱石検波器(クリスタルデテクター)をそこらにあるもので自作してしまうというのもすごいですし、いざ無線放送(ラジオ)が開始されるときには「秘密通信につかへてしまふので政府がびくびくしてなかなか許さなかつたのです。しかし、無線好きの人がやかましくせがむのでしかたなく始めたのでありませう」なんてことが書かれていて、なかなかおちゃめで面白いのです。

子供のもつ科学技術へのキラキラした好奇心と、政府だの国だの、大人の世界にちょっとだけ反抗しているロックな感じが、今で言うハッカーやギークの感覚に通じるところもあるのかも?


どの記事もとても興味深いし、夢が詰まっていて良いのですが、本好きにいちばんのおすすめはなんと言っても『科学と勇気の結晶 空の王者Z伯号を迎ふ』と題された、飛行船ツェッペリン号が世界一周飛行の途中で日本に立ち寄ったという記事。これがもう熱いのなんの。

「ウラルの険を超え、オーロラの麗光に浴し、シベリアの荒野を飛翔して、航程一萬一千キロ、一路地球を半周した、この精緻新鋭なる科学の女王、俊明雄偉なる天空の王者、グラフ・ツェツペリン!」なんて、んもう記者さんのスーパー大興奮が何ページにも渡って古風でかっこいい文体で書き連ねられています。

まさに科学冒険小説の文体そのもの!!

当時のお子様はコレを読んでめちゃくちゃ興奮したんだろうなあ〜。いいなー。なんて、ちょっと憧れを感じてしまったり。


科学への夢とロマンがめちゃくちゃ詰まった本です。100年経っても十分面白く興味深く読めます。おすすめ!

(おまけのひとこと)

このダイジェスト版は、1987年発行とのことです。なのでこの本自体もけっこう古くて、もう古本じゃないと手にはいりそうにありません。アマゾンさんでしらべてみたら中古4000円よりですって><

まあそれだけの価値はありそうですけどねー。

同じ頃に発行されたらしい復刻ダイジェスト版に『無線と実験 1924ー1935』という本と、『実際園芸 1926-1936』というものもあるようです。

こちらも見てみたいですねー♪

Original Post: 2018/07/16
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