『白川静さんに学ぶ 漢字は楽しい』

文字数 1,019文字

『白川静さんに学ぶ 漢字は楽しい』/小山 鉄郎

これは漢字が持つ体系的なつながりを明らかにして文化勲章を受けた漢字学の第一人者、白川静さんに、漢字の成り立ちや体系を楽しく教えてもらった本です。とのこと。

「楽しい」ってあるけど、どうなんだろ、ほんとかなーと思いながらぺらぺらめくってみると、これはほんと楽しい!


従来の漢字学は、後漢のころに体系化された「説文解字」という書を元にしていたのですが、さらに古代の殷の時代の甲骨文字が発掘されて解読してみた結果、その「説文解字」にはだいぶ間違いがあることがわかってきたのだそう。

そうしたわけで、白川先生は従来の漢字研究をがらっと書き換えてイマジネーション豊かに漢字の原点からあらためて再構築したのだそう。そんな「新漢字学」を、本書では根本から優しく(そして楽しく)説明してくれます。


ほんとにわかりやすく、亀甲文字の元になった絵から、亀甲文字、そして漢字へとイラストで丁寧に説明されていて、これ、学校でおそわってたら漢字もっと楽に覚えられたのにー! ってつい思っちゃいますw

例えば「祭」は、「月」と「又」と「示」が合わさって出来たもので、月=肉の切身、又=手の変化、示=祭事に使う三本足の台、なので、祭事用の台に手で肉を置くこと=「祭」となる。ってわけですね。


その他、見てきたんですか? って思うぐらい具体的なイメージが多いんですけど、まあたしかに古代中国の話だし、ほんとにそうかも? って思えて、読んでて「へーへー」って言いっぱなしでした。

(神事や戦争が元になっている事が多くて、けっこうバイオレンスだったりもしますが・・・。たとえば「道」は切った首を持って歩く辶(みち)だからこんな字形なんですって!><)


また、白川先生によれば、日本語は非常に素朴な表現が多い言語で、漢字と出会って初めて、さまざまな考えを概念化することができるようになったのだそう。

大陸から文字を輸入して、日本人としての感覚と思考が深化していった、という論もなるほどなーとうなづけます。


楽しい(FunというよりInterestingというかんじの「楽しい」ですが)漢字を知れる本。

日頃使っている漢字の元の意味や成り立ちを知れて、知的好奇心くすぐられまくりでとてもおもしろい本でした。


※白川先生の理論は画期的なだけになにかと批判もされているようです。ご利用(?)は自己責任でどうぞ〜。

Original Post:2015/07/09

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