第25話 茅ヶ崎 恵美

文字数 2,233文字

扉を開けると、紗絵ちゃんと茅ヶ崎さんがお弁当を食べながら、こちらを見ていた。
ん?沢田さんかと思った(笑)


入りな入りな。

紗絵ちゃんが私達を控室に引き入れる。
私達3人は茅ヶ崎さんの前に立つ。
恵美、紹介するね!順番に娘の紬、紬と友達で私の弟みたいなもんかな?修也、紬と修也のお友達中島君。
どうも〜。はじめましてみんな!


立ってないで、はいはいこっち座って座って。お弁当食べようよ。お菓子もあるからね〜。

私達3人は緊張しながら座る。
そんな、かしこまらなくていいって(笑)


気使わないで、楽にしなよ〜。あ!娘ちゃんと、君は見たことある!遊園地のステージで一緒だったよね?

はい!

成瀬 紬です。紗絵ちゃんがいつもお世話になってます。

よろしくお願いします。

自分は山本 修也って言います!遊園地のステージいました。その、茅ヶ崎さんのファンなんです!応援してます!

サインもらえますか?

自分も自己紹介させてください!中島 博です!


自分にもサインください!

修也は持ってきていたペンとノートを出し、中島君は持ってきていたTシャツを出す。
そんな、焦らなくても、逃げないから(笑)


まずはお弁当食べなさいよ(笑)食べてる間にサインなんて書いとくからさ(笑)


そうだそうだ!お弁当だけ食べてもね〜のどかわくでしょ〜。


お茶とか水しかないけど、どうぞ。

茅ヶ崎さんは控室の冷蔵庫から、お茶と水のペットボトルを出してきて私達にそれぞれくれた。


茅ヶ崎さんと初めて話したが、凄くいい人だ。遊園地のステージで私は姪っ子で紹介されてたはずだけど、紗絵ちゃんは茅ヶ崎さんと仲がイイから、きっと私が娘になったことも知っているのだろう。

わたしたちがお弁当を食べ始めると、茅ヶ崎さんは修也と中島君の持ち物にサインしていた。
めぐみ〜明日レッスンの時ランチここ行こうよ〜!
紗絵ちゃんが雑誌を茅ヶ崎さんに見せて指さしている。
えぇ〜また肉なの(笑)なんで、紗絵そんな肉ばっか食べてるのにあんた細いの?(笑)


私なんて気をつけてるのにさ〜(汗)

えぇ〜だってさ〜ここにしようよ〜心愛と実が肉が良いって言ってた(笑)


だってさだってさ、レッスンするとお腹すくじゃ〜ん。


私ここのお店がいいよ〜!


恵美は気にし過ぎだよ〜お肉食べないと胸しぼんじゃうぞ(笑)

うわ〜胸膨らんでも、腹も膨らんだら駄目じゃん(笑)


心愛と実にも、また肉って言われるよ(笑)


てかさ、沢田さんの誕プレいつ見に行くのよ?


みんな休み合わないから、私と紗絵共演してるから代表で一緒に見に行くってみんなに言ってたじゃん?


あんたランチのことばっかで忘れてたでしょ?

茅ヶ崎さんの言葉を聞いて私は紗絵ちゃんを見ると目が泳いでた。


茅ヶ崎さんは普段からしっかり者で、紗絵ちゃんは肉のことばかりだとわかった…

忘れるわけないでしょ!(汗)


みんなの中で、1番私が沢田さんと長いんだから、恩人の誕生日のプレゼント忘れるわけないも〜ん。(汗)

はいはい。で、いつにすんの?(笑)
あのね、恵美、私ね、休み明後日なの。明々後日も休みなの。久しぶりに2連休なの。

たくさん寝たいの。子育て初めてで大変なの。だからお願いしてもいい?(笑)

は?あんた、一番付き合い長いんでしょ?

一番付き合い長いくせに丸投げしないでよ(笑)


肉ばっか食べて、晩酌して寝てると太るよ?


明後日なら私も休み(だから、一緒に見に行くよ。


あ!でも、紗絵はズルいから、見張ってないと当日、音信不通なりそうだから、私明日のレッスン終わったら、紗絵の家泊まりに行っていい?


朝も起こすから!


娘ちゃん私泊まってもいいかな?

修也と中島君が期待の眼差しで私を見ている。


いや、あなた達は関係ないですからね…

全然構いませんよ!むしろ、いつも紗絵ちゃんの面倒見て頂いてありがとうございます。


たくさんご迷惑おかけしてると思いますが、よろしくお願いします。

ありがとう!娘ちゃんのほうが紗絵よりよっぽど大人だよね。


紗絵わかった?決まったからね!明後日だからね!

逃げ道がなくなり、紗絵ちゃんは可愛く拗ねてた。
修也、明後日、音信不通なると困るから、俺、修也の家泊まるから。


いや、音信不通なんねーし、困んねーし、来るな(笑)
泊めてくれないなら、修也の家の玄関のドアの前で、テントはって、寝袋敷いて寝るわ(笑)
なんなんだよそれ(笑)キモいな。


わかったよ、母ちゃんに聞いてみるから。


母ちゃんが駄目って言ったら俺には何もできねーからな。

修也はスマホを取り出し千鶴さんにラインを入れていた。
これ、書いておいたからね。返すね。
茅ヶ崎さんはサインを書いた物を修也と中島君に渡すと、二人は喜んでいた。
むつけた紗絵ちゃんがチョコレートの紙を丸めて、茅ヶ崎さんに何個も投げつけている。


大人げない…

なんなのあんた(笑)ほんとに昔からそうだよね(汗)もう何歳だと思ってんの?(汗)


しかもあんたお母さんなんでしょ!娘の前で恥ずかしいことしないの!


うちらもう20歳なんだよ。


娘のほうがしっかりしててどうすんの(笑)

私、恵美より誕生日遅いから、私の方が若いもん(笑)
茅ヶ崎さんはため息をつきながら、丸められたチョコレートの紙を何個も拾いゴミ箱に捨てていた。
家では見せない子供っぽい紗絵ちゃんの1面を見て、私は何故か安心してしまった。


いつも、気をはっているわけじゃなくて、RISE-1のメンバーの前では、紗絵ちゃんは気を許して、これが本当の紗絵ちゃんなのだろう。


多分、メンバーの人達にはかなり迷惑かけてるんだろうけど…

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登場人物紹介

成瀬 紬(なるせ つむぎ)。

物語の主人公。紗絵の姪。内気で気弱。

成瀬 紗絵(なるせ さえ)。紬の叔母。

アーティスト、マルチタレント。

T.Kレコード所属RISE-1のメインボーカル。

山本 登(やまもと のぼる)。山本道場師範。修也の父親。絵里や紗絵の恩師。

山本 千鶴(やまもと ちづる)。修也の母親。

山本 修也(やまもと しゅうや)。のちに紬の幼馴染となる人物。初恋の人は茅ヶ崎 恵美。

沢田 水子(さわだ みずこ)。T.Kレコード会社マネージャー。紗絵の所属するグループRISE-1の担当マネージャー。

茅ヶ崎 恵美(ちがさき めぐみ)。

アーティスト、マルチタレント。紗絵と同じRISE-1のメンバー。紗絵とは親友でもありライバル。

佐々木 虎男(ささき とらお)。ギャング組織での一員。のちに紗絵の舎弟的存在となる。

藤堂 英玲奈(ふじどう えれな)。

美少女コンテストで紗絵が負けた相手。

美少女コンテストグランプリ受賞者。

紗絵より年齢は1つ上。

藤堂グループの令嬢。高飛車で性格は悪い。

安西 楓(あんざい かえで)。紬と修也と同年代で二人が高校生の頃に登場する人物。

紬の恋敵。

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