第147話 大卒で大企業は偉いの?
文字数 2,737文字
今日は色々と書類を用意して千春ちゃんの親に同意書にサインをもらいながら、説明をする日。
それが終わったら、千春ちゃんが学校が終わったら、迎えに行ってT.Kアカデミーでレッスンの見学及び施設案内、千春ちゃんを送り届けたら、戻ってきて私がレッスンを受けることになる。
沢田部長に同行してもらい、千春ちゃんの住んでいる都内のマンションへ向かう。
私は免許をとったばかりのペーパードライバー。
運転には自信がない…
紗絵ちゃんはトラウマになっていないのか分からないけど、つい最近また同じ車を購入していたのが納車されて運転している。
お父さんをこないだ乗せて二人でドライブに行ったらしいけど、お父さんも当時の事故現場を見ているからか、紗絵ちゃんの運転する車に乗るの少し怖がっていたけど、無理矢理紗絵ちゃんに付いて行かされていた…
二人とも無事に帰ってきたからいいけど…
いくら沢田さんのことを私が知っているからといっても、会社では沢田さんは部長で私は平社員…
部長じゃなくて平社員が運転するのが普通…
沢田さんが来るのを下で待って、姿が見えると会社の車の後部座席を私は開けた。
ありがとうございます。紬は運転するのは初めてですか?
はい…免許取り立てのペーパードライバーです…
お父さんの車を借りて病院の駐車場を運転したことしかありません(汗)
いいですよ。会社の人には内緒ですよ。私が運転しますから。
紬は後ろでも、助手席でも好きな方乗ってください。
事故でも起こされたら大変ですからね(汗)
私は助手席に乗った。
千春ちゃんの家に着くと、お父さんもお母さんもいた。
家に入れてもらい、私と沢田さんが名刺を出して自己紹介すると、席につき説明を始める。
千春ちゃんは未成年のため保護者の承諾書とか書いてもらう。
言葉足らずな所は沢田さんが横から補足してくれたり、親御さんからの質問には私が分からないことは沢田さんが応えてくれた。
ふとお父さんの方が質問してきた。
千春父「失礼な話ですけど、聖心を出て一流大学を出て、一流企業に勤めてもらうのが私の理想だったんですけどね。あなた達は大卒ですか?」
千春父「そうですか。千春がどうしてもというのですが、正直、私は反対ですけどね。レベルの低い高校出身の人達に千春を預けて、芸能界入って千春にメリットあるんですか?勉強がおろそかになって、頭の悪そうな人達の中でグレたりしないですか?」
千春母「聖心出て一流企業に勤めてほしいって気持ちはわかるけど、千春の好きにさせてあげてもいいんじゃない?まぁ程度の低い人達の中で勉強がおろそかになるのは困りますけど」
書類を書いてくれていたのはお母さんばかりだった。
お父さんはエリートなんだろうか?
出身校の偏差値が低いのをバカにされるのはあんまりいい気はしないけど、ここで親御さんの機嫌を損ねるわけにはいかない…
グレるもぐれないも、そもそも千春ちゃんはかなり性格ヤバいと思うけど…
もしかして両親の前では優等生のいい子なんだろうか?
お父さんは反対しながらも、お母さんが書類を書くのを、とめないわけだし、まだマシなのだろうか?
沢田さんが通信なのは初めて知ったけど、でも、当時の人気アイドルグループにいて普通の高校に通うことなんて出来なかっただけだと思う…
沢田さんは頭もいいし、仕事が出来るわけだから、部長なわけだし…
親御さんの心配も確かにわかる…
だって聖心中で成績上位者なんだから、聖心高に進学して、その後は東大や京大とかそういう感じの人生がエリートの人達の本来歩む道なのだろう…
そんなことを色々考えていると千春ちゃんのお父さんにまた質問された。
千春父「君のお父さんやお母さんは何をしてる人なんだい?大学は出てるのかい?」
私の親ですか?母は東大に受かったけど、病気で行きませんでした。母は早くに亡くなりました。
お父さんはハーバード大を出てます。医者です。
あえて紗絵ちゃんのことは言わなかった。
紗絵ちゃんも高卒だから、なんかバカにされるとしゃくにさわるから…
(高卒だけど、紗絵ちゃんは大卒の人より稼いでるし)
私がそう言うと、千春ちゃんよ父親と母親は目を見開いて驚いた…
千春父「そんな優秀な両親を持って君は堀北学園なのかい?(笑)」
言いたいことはわかるけど…この親をみてると、千春ちゃんが外であんな感じなの、なんか納得だな…と思ってしまう…
親達は皆優秀ですけどね…(笑)
私だけ何ででしょうね…(笑)
千春母「この人は大企業の藤堂グループの本社で働いてるんです。あなたの名字も藤堂なんですね。名前は立派なんですけどね。頼りなさそうですけど、あなたに千春を預けて大丈夫ですか?本人はやるって聞かないので私達は反対ですけど、渋々書類記入しましたけど。」
チラッと沢田さんを見ると、沢田さんが何か言いたそうな表情をしている…
一応、沢田さんに聞いた。
お父様は藤堂の本社勤務なんですね。
ご立派ですね。
もしかして千春ちゃんも、藤堂グループに就職させたいとか思われてますか?
千春父「そう思ってましたよ。それが芸能界に入りたいだなんて。聖心に通う子の言うことじゃないですよ。保証されてないじゃないですか。」
そうですね。千春ちゃんは私のスカウトで特待生です。アカデミーの費用もかかりません。
でも、売れるか売れないかは、もちろん本人の努力も必要です。
でも、万が一、聖心を卒業しても、しなくても、大学に行けても行けなくても、藤堂への就職を本人が希望するなら、保証しますよ。
千春父「何を言ってるんですか?あなたみたいな高卒で藤堂に口利きできるわけないじゃないですか。藤堂には一流大学を出てないと入れないんですよ。藤堂に勤めてる私が言うんだから、間違いないです。これだから世間知らずな人は。」
大丈夫ですよ。絶対に口利き出来ますから。
あくまで本人の意志が大事だと思うので、本人が望んだ時はですけどね。
私の父親、医者ですけど、藤堂グループの系列の病院の医院長してます。
名前は藤堂 保です。
私がそう言うと、千春ちゃんのお父さんは何も言わなくなった。
多分気づいたんだろう…
今度はお母さんが言おうとしたのをお父さんが止めた。
千春父「何も言うな。この人に千春を任せよう。この人の父親はうちの社長だ…」
千春ちゃんの両親はその後は随分下手になって、凄く協力的な感じだった…
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