第57話 横顔だけじゃ物足りない

文字数 2,064文字

修也と一緒に美咲ちゃんと徹君と待ち合わせのカラオケ店に向かう。私達。
今日中島君来なかったの?
あ〜なんか用事あるらしい。なんの用事かは俺も知らねーけどさ。


つうか、そんな短いスカートはいて寒くねーの?(笑)

てかさ、さっき見たよね?勝手に入ってくるとかデリカシーないからね。変態だからね。
見たくて見たわけじゃねーだろ。


そんな短いスカートだとくまのパンツ見えんぞ?(笑)


髪形変えたのか?

は?やっぱ見てんじゃん!てか、それ言うな!!


スカート落ちてたやつ急いで履いてきただけだから。寒いし(汗)


紗絵ちゃんに色々試されてたの(汗)


どう?この髪形似合う?かわいい?


紗絵ちゃんにはアイドルみたいって言われたよ(笑)

なんつーか。そっちの髪の方がいいんじゃね?


そういや、紗絵姉の出る映画のガンダムのプラモ限定版みたいなの俺もらったんだけど、良かったのか?


紬はガンダム興味ねーのか?

(かわいいか聞いたのスルーされた…肝心なとこなのにさ…)
中島君には申し訳ないけど、せっかく二人だけなので、歩きながら少し寄ってみたら、避けるようにちょっと間をあけられた…
(私なりに勇気出してみたのに…何気に傷つくんですけど…)
私はガンダムよくわかんないよ(笑)


紗絵ちゃんが出るからと思ってアニメのやつ見てみたんだけど、なんかよくわかんなくてさ(汗)


でも映画が公開されたら見に行きたいなと思ってたよ!!


来年だから、私達その時は中学生になってるね♪


そういえばもうすぐ制服の寸法もはかりにいかなきゃないよね。


そういえばやっぱり修也大きくなったよね!!


私も結構身長伸びたのに、修也の方がでかいもんね。

そう言って背を比べようと思って修也に近づいたら逃げられた(汗)
映画公開された時は中学生か。もうすぐ卒業だしな。


紗絵姉から聞いたんだけど、紬も歌手になるのか?もうすぐなんだろアカデミーだかなんだかのオーディション?

そうだよ!!もう何日か後だから、紗絵ちゃんに着ていく服決めるために強制的に着替えさせられてた(汗)


まぁね。私歌って踊るの好きだから。紗絵ちゃんみたく女優業とか色々出来たらいいなって思う!!


でも、私じゃ紗絵ちゃんみたくなれるかはわからないけど(笑)

紬が、有名になっちまったら、俺達今日みたいにみんなでカラオケとか出来なくなんのかな?


紗絵姉は凄いと思うよ。でも、俺はそういうの興味ないから、わかんねーかもしれねーけどさ、紗絵姉プライベートないじゃん?


紬もそうなっちまったら、俺達と普通に遊んだり出来なくなんじゃねーのかなと思うと寂しいよな…


この先、もちろんやるからには紗絵姉みたくなりたいって思うだろうし、目指してほしいと思うけど、俺達と一緒に遊んでた頃の紬じゃなくなっていっちゃうみたいで、遠い人になっちまうっていうかさ…

修也の言いたいことはわかる…


紗絵ちゃんは電車やバスに普通に乗れないしコンビニにすら普通には行けない…


前に紗絵ちゃんと恵美ちゃんと沢田さんのプレゼントを買いに行った時は人だかりを作りデパートに迷惑をかけた…


もちろん二人は事務所からお叱りを受けたらしい…


私が売れたらの話で、そんなことがなければ無名でみんなと遊んでも問題ないとは思う。


でも、選択を迫られる日が来たとしたら?私は友達と過ごせる日常と夢どちらを取るのだろう…


考えたくなかった…考えたことなんてなかった…


何かを得るためには何かを犠牲にしなきゃないのかな?

修也、私そんなこと考えたことなかった…


そうだよね…


寂しいよね…


私、みんなと友達になれて良かったと思ってる。


紗絵ちゃんはキラキラしてて、疲れてるはずだけど、楽しそうで、憧れるよ。


私はそんな紗絵ちゃんが好きなんだ。


だから、紗絵ちゃんを応援したいって思うよ。


私が紗絵ちゃんみたくなれるなんて思わないけど、もしそうなった時は、遠い人だなんて思わないでほしいな…


いつかはみんなそれぞれの道に進まなきゃない時が来るよね?


あんまりちゃんとそういうの考えたことないけど、みんなとは変わらずにいたいな…

なんか、暗い話ししちまってわりぃな(汗)


そうだよな。


あ!売れてもくまのパンツはくのか?(笑)

なんなのマジで!!(笑)
そう言って私は修也をたたいた。


紗絵ちゃんが私に内緒にしていることにたいしても私は考えたくなくて目を背けたのと同じだ。


私は今、みんなと過ごしたい。でも歌って踊るのが好き。それも譲れない…


そして、今、隣にいるあなたが好き…


どんなに頑張ってもかわいいって言ってくれないけど…


中学生になったら、他の小学校からも同じ中学校に人が来る。


もし他の人にとられたらどうしようとか思うんだよ…


昔と違って少しは私、容姿に自信あるよ。


でも、あなたは私に興味なさそうだよね…


良い友達とか、お隣さんとか家族みたいから脱出したいのに、私は怖くて言えない…


今の関係が崩れるのが怖くて…


今はまだ、選択を迫られる時が来た日のことには、目を背けて、告白したいことからも目を背けて、


今この瞬間をただ一緒に過ごしていたい…

※山本 修也 12歳


紬と美咲達の待つカラオケに向かう途中

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登場人物紹介

成瀬 紬(なるせ つむぎ)。

物語の主人公。紗絵の姪。内気で気弱。

成瀬 紗絵(なるせ さえ)。紬の叔母。

アーティスト、マルチタレント。

T.Kレコード所属RISE-1のメインボーカル。

山本 登(やまもと のぼる)。山本道場師範。修也の父親。絵里や紗絵の恩師。

山本 千鶴(やまもと ちづる)。修也の母親。

山本 修也(やまもと しゅうや)。のちに紬の幼馴染となる人物。初恋の人は茅ヶ崎 恵美。

沢田 水子(さわだ みずこ)。T.Kレコード会社マネージャー。紗絵の所属するグループRISE-1の担当マネージャー。

茅ヶ崎 恵美(ちがさき めぐみ)。

アーティスト、マルチタレント。紗絵と同じRISE-1のメンバー。紗絵とは親友でもありライバル。

佐々木 虎男(ささき とらお)。ギャング組織での一員。のちに紗絵の舎弟的存在となる。

藤堂 英玲奈(ふじどう えれな)。

美少女コンテストで紗絵が負けた相手。

美少女コンテストグランプリ受賞者。

紗絵より年齢は1つ上。

藤堂グループの令嬢。高飛車で性格は悪い。

安西 楓(あんざい かえで)。紬と修也と同年代で二人が高校生の頃に登場する人物。

紬の恋敵。

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