第55話 もう一つのチャンス

文字数 2,009文字

紗絵ちゃんに沢田さんと私が合流すると、沢田さんが佐々木監督に挨拶していた、


私も挨拶をして自己紹介した。


その後は私と紗絵ちゃんで駐車場に向かった。


そして、紗絵ちゃんの車に乗る私。


車が出発すると紗絵ちゃんに話しかけた。

おめでとう!!良かったね!!


紗絵ちゃんが主演取れて良かった。


また、紗絵ちゃんがテレビとか映画出るの楽しみにしてたんだ。


ガンダム良くわからないけど、公開されたら見に行くからね♪


英玲奈さん凄く感じ悪かったよね(汗)


性悪女って紗絵ちゃんが呼んでるのわかる気がするよ(笑)

ありがとう!!本当に良かった。


英玲奈さん自分が負けたからって私に八つ当たりばっかしてくるんだもん(笑)


紬は英玲奈さんが言ってたこと気にならないの?

あ〜うん。気になるよ。


でも、知って良いことなのかな?


知らないほうがいいこともあるよね?(笑)

私は嘘をついた。本当は知りたい。凄く知りたい。


でも、紗絵ちゃんは気づいてないけど、控室で英玲奈さんと紗絵ちゃんの会話を私は聞いてしまっている…


私がその話を聞いたら、紗絵ちゃんが悪者になってしまうかもしれないなら、私がもっと大人になったときでいい。


本当は控室の話を聞いていたことを言って紗絵ちゃんが早く私に隠してることを言ってもらって紗絵ちゃんを楽にさせてあげたい…


それが出来れば私もモヤモヤした感情を晴らせるし、紗絵ちゃんも肩の荷が降りるはず。 


だけど、今聞いて紗絵ちゃんを嫌いになりたくない…


もっと私が大人になればしょうがなかったとか、お母さんと紗絵ちゃんが約束したことだからって割り切れるかもしれない。


でも、今の私はまだ所詮子供… 


紗絵ちゃんがいつ話してくれるかはわからない…


私のもう1人のお母さんのことを今は信じて、いつかが来るのを待ちたいと思う。



そっか…


もう少し先になるけど、必ず私の口から話すからね…


今は詳しく言えなくてごめんね…


話全然変わるけどね、私、今日の主演以外にもう一つ良いことがあってね、来月号のBeautyの表紙飾るんだ!


昔はね、お姉ちゃんがいつかお母さんのリベンジ果たしてくれるよ、私じゃなくてなんて思ってたんだけどね。


他力本願ってやつかな(笑)


お母さんの仏壇にお供えして、お母さんのリベンジしたからねって報告してあげなきゃ!



全然謝らないでよ!!紗絵ちゃんがいなかったら、今の私はないんだしさ(笑)


一時期は紗絵ちゃんお金なくなって、どうしようとか思ったこともあるけど(笑)


紗絵ちゃん凄い!!


私も見たい!!


おばあちゃんきっと喜ぶよ!!

え〜ひど〜い(笑)私、紬の金づる?(笑)
そういうわけじゃなくてさ(笑)
そう、今はこれでいい。紗絵ちゃんとふざけあって、楽しく毎日が過ごせれば良い。


私は今幸せだ。たとえ紗絵ちゃんが一文無しになっても、一緒にいたいと思ってる。


今は知らなくていい…


自分に何度も言い聞かせた…

そしてこの月の下旬に紗絵ちゃんが表紙を飾る人気雑誌「Beauty」六月号が発売された。


私も1冊もらった。中島君と修也にもほしいと言われて紗絵ちゃんはあげていた。


残りの1冊は仏壇に供えられている。


おばあちゃんはきっと喜んでいるだろう。


私が祖父母と過ごした期間はそんなに長い年月ではないけれど、紗絵ちゃんみたいに、いつか私も何か恩返しが出来たらいいなと思った。

紗絵ちゃんの黒歴史は少しずつ世間に忘れられ、モデルをしたことにより、10代や20 代から絶大な支持を得た紗絵ちゃん。


下がり続け絶頂期の半分以下となってしまったギャラも雑誌の表紙と映画の主演を得たことにより、上がり始めた。

紗絵ちゃんが売れ始めると面白くないはずの英玲奈さんは何故か映画主演を争って以来、紗絵ちゃんに絡むようなことはしてきていない。


嵐の前の静けさなのか。それとも何かあったのか、当然私にはわからない。紗絵ちゃんも最近英玲奈さんに絡まれなくなったからなのか、特に私達の中で、英玲奈さんの話は出ることはなかった。


英玲奈さんは紗絵ちゃんが主演のガンダムPIECEの映画の助演は断っており、違う人がその役を演じて撮影は行われているらしい。

季節は夏になると私と紗絵ちゃんは毎年恒例のひまわり畑に行った。


RISE-1の新曲「Summer Days」はオリコン初登場第3位となり、ここ数年の新曲はトップ10入りするかしないかが続いていたため、最近では好調な売上となった。


秋になると、活動を休止していた紗絵ちゃんと恵美ちゃんのユニット、チガナルが復活し、RISE-1は少しずつ上昇の道をたどっていた。


そして季節は冬になり、私のT.Kアカデミースクールのオーディションがあと数日とせまっていた。


今日は紗絵ちゃんは久しぶりの休み。恵美ちゃんは仕事で留守。


私は紗絵ちゃんに色々と服を着替えさせられ、着せ替え人形のようにオーディションへ向かうための服装を選ばされていた…

※RISE-1 成瀬 紗絵 23歳


人気雑誌Beauty6月号表紙

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登場人物紹介

成瀬 紬(なるせ つむぎ)。

物語の主人公。紗絵の姪。内気で気弱。

成瀬 紗絵(なるせ さえ)。紬の叔母。

アーティスト、マルチタレント。

T.Kレコード所属RISE-1のメインボーカル。

山本 登(やまもと のぼる)。山本道場師範。修也の父親。絵里や紗絵の恩師。

山本 千鶴(やまもと ちづる)。修也の母親。

山本 修也(やまもと しゅうや)。のちに紬の幼馴染となる人物。初恋の人は茅ヶ崎 恵美。

沢田 水子(さわだ みずこ)。T.Kレコード会社マネージャー。紗絵の所属するグループRISE-1の担当マネージャー。

茅ヶ崎 恵美(ちがさき めぐみ)。

アーティスト、マルチタレント。紗絵と同じRISE-1のメンバー。紗絵とは親友でもありライバル。

佐々木 虎男(ささき とらお)。ギャング組織での一員。のちに紗絵の舎弟的存在となる。

藤堂 英玲奈(ふじどう えれな)。

美少女コンテストで紗絵が負けた相手。

美少女コンテストグランプリ受賞者。

紗絵より年齢は1つ上。

藤堂グループの令嬢。高飛車で性格は悪い。

安西 楓(あんざい かえで)。紬と修也と同年代で二人が高校生の頃に登場する人物。

紬の恋敵。

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