第33話 ひまわり畑の誓い
文字数 2,839文字
夏休みもいよいよ後半に入ってきた。
明日紗絵ちゃんは1ヶ月ぶりに仕事が休みだ。
前に連れて行ってもらった時は咲いていなかったひまわり畑に連れて行ってもらうことになっている。お墓参りもしてくる予定だ。
恵美ちゃんは明日仕事らしいので、出かけるのは私とお姉ちゃん。
師範と千鶴さんと修也は明日1日師範の実家の丸山台に帰省するらしい。
千鶴さんが、私が1人にならないように、明日の朝にはみんな帰って来るとのことたった。
なんか、申し訳ない…
千鶴さんは娘が3人出来たみたいと喜んでくれていた。
私のことも娘のように思ってくれていることにとても感謝した。
この日、紗絵ちゃんは夕方前には帰ってきて、恵美ちゃんは帰りが遅かった。
次の日の朝、紗絵ちゃんは早起きしていた。
私はロビーで紗絵ちゃんの車が見えるのを待つ。
ビビって謝りながら受け取ってた(笑)
ご先祖様と祖父、祖母、お母さんの入っているお墓を少し掃除するとお線香とお花を添えた。
横を見ると紗絵ちゃんは手を合わせて何かお祈りかわからないかど、しているので私も真似した。
でも、私は生きていかなければならない。
お母さんが自分の夢を諦めてまで私を産んでくれたのだから。
私が出来る恩返しは生きて成長した姿をお墓や仏壇で見せて上げることぐらいしか出来ない。
お母さんや紗絵ちゃんみたく、私には何も才能はないけれど、一生懸命私なりに今を生きるからね。
そう手を合わせて心のなかで思った。
歩き出した、紗絵ちゃんの後ろ姿についていく私。
(お母さん、また来るね。紗絵ちゃんがお母さんになってくれたよ)
お墓を去る前に、お母さんに伝えたつもりだ。
この日も東京は37度となかなかきつい。
車のエンジンをかけ、ちょっとすると冷房が効いてきたので車内に入り、ひまわり畑を目指し発進する車。
ちょっと進むと、紗絵ちゃんは急に立ち止まってこちらを振り返った。
二人で、歌手になって共演しようって。紅白歌合戦とか歌番組とか、たくさん共演しようって。
私はT.Kレコードアカデミースクール生でも何でもなかった時だけど。
そして、一緒にドームとかスタジアムとかで姉妹で歌いたいねって。
あの頃はどっちもデビューなんてしてないし、姉妹の約束でしかなかったけど。
私ね、お姉ちゃんが見たかった景色を代わりに全部見て報告してあげたいって思ってる。
お姉ちゃんの夢は日本一の歌手になることだったから、私は途中までの景色しか、もしかしたら伝えられないかもしれない。
紬が、大きくなってこの世界にもし興味を持った時は、お姉ちゃんに日本一の歌手が歌う景色伝えてあげてね。
そして、私にもその時は教えてね。
私には紗絵ちゃんみたく才能ないんだよ(汗)
仮に私が興味を持って、歌手を目ざしても、
日本一の歌手の景色伝えられるわけないよ(汗)
まず、私じゃデビューすらさせてもらえないよ…(汗)
根拠はないけど、私にはわかる。
押し付けたりしてるわけじゃないから、安心してね。
お姉ちゃんはいつも光だった。私はいつも影…
そんなお姉ちゃんの光を紬は受け継いでるはずだよ。
影の私が光になれない時は、その時は任せた(笑)
子供の頃の私はそのことについてはあまり深く考えたことはなかった…
紬とひまわり畑