第58話 ごめん…なさい…
文字数 2,498文字
修也と私がふざけながら歩いていると、カラオケ店の前で待っている美咲ちゃんと徹君がいた。
え?中島って暇そうだけど、なんだろな?(笑)
とりあえず、中に入ろうぜ。
修学旅行の時は小学生のみではなんて云われたけれど、東京ではそんなことは言われない。
場所によって違うのかもしれないが、そういう点は東京で良かった。
カラオケが始まると、私達は順番に歌ったり、一緒に歌ったり、機械の採点をしてみたりして、楽しい時間を過ごしていた。
私と美咲ちゃんは二人でトイレに来ていた。
手を洗っていると美咲ちゃんも横で手を洗いながら言う
あのさ、今日中島こなかった、中島の用事って聞いてたりする?
ん?中島君の来れなかった用事は私は聞いてないよ?
美咲ちゃんと徹君と合流する前にここに来る途中で聞いたら、用事あるから来れないって修也から聞いたよ?
そっか。私から聞いたって中島には内緒にしてくれる?
中島のやつ今日たぶんお守りを買いに行ったんだと思う。
紬がT.Kアカデミー受かるようにみたいな。
私、何か力になれることは無いかって中島に相談されてさ。
お守りとかいいんじゃない?って答えちゃったんだよね…
一生懸命だから、何もすんなとか言えなくてさ。
修学旅行のときのは受け取ってもらえなかったけど、お守りなら受け取ってくれるよね?みたいな感じになったから
私もそこはわかんないからさって言ったけど…
正直、出来れば何もしないでほしかった…
中島君には修学旅行のとき以来、ずっと普通にできる限り接してきたつもりだったけど、紗絵ちゃんには中島君が好きみたいに勘違いされた…
多分、本当は有り難いことでも、この間の事があってからは、出来ればそっとしておいてほしいと思っていた。
中島君は凄くいい人だと思う。
だけど、やっぱり申し訳ないけど友達としか思えない。
告白される前は中島君の優しさは嬉しく思えたのに、告白されてからは、ちょっとした優しさは出来れば受け取りたくなかった…
本当に申し訳ないけど…
カラオケ中も修也と美咲ちゃんの距離感がなんとなく近い感じが、私には少し受け入れられないことだったが、楽しくカラオケの時間は終わり、私のスマホには中島君からメッセージが来ていた。
中島「ちょっと時間あるかな?渡したいものがあるんだけど」
返信をする。
紬「今カラオケ終わったとこだよ。どこに行けばいい?」
中島「じゃあ、そこから近くの公園で待ってるよ」
みんなに、バイバイすると帰る方向が同じ修也に私は話しかけた。
マジ?いや、俺先に帰るのはいいんだけど、何かあったら、その時はあんたがなんとかしろって、母ちゃんにも紗絵姉にも言われてるから、俺も行くよ(笑)
え?あ〜まぁいいんだけど、中島君に渡したいものがあるって言われて、そこの公園待ち合わせなんだけど?
あ〜なるほどな。じゃあ、俺適当にあそこのコンビニにでもいるから、終わったら連絡してくんね?
出来れば来てほしかった…
私と知り合う前から修也と中島君は仲が良かったはず。
親友みたいなものだ。
だから、修也は修学旅行の時のことで、中島君の気持ちを知っているんだろうから、ついてきてくれないんだ…
出来れば二人じゃない方が気が楽なんだけどな…
わかったよ…
じゃあ終わったら、あそこのコンビニ行くね。
人の気も知らないで…
修也はコンビニの方へ行ってしまった。
私は目の前の公園に向かって歩く。
とりあえず、ベンチの方に行き座った。
めちゃくちゃ中島君に見られている気がする…
なんか、今日いつもと違うな!
かわいいよ。なんかいい感じ(笑)
これ、良かったら、お守りだからさ。T.Kアカデミー受かるようにさ。
あ、ありがとう。
貰い物したらなんか悪いよ…
今日カラオケ来れなかったのって、これ買いに行ってたからなの?
あ〜まぁな(笑)みんなには悪いことしたけど、みんなでまた行けるだろうし。
お守りだから、もらってもらわなきゃ困るだろ?
他に使い道ないしさ(笑)
用事はそれだけだからさ。
帰り一人なのか?どうせ同じ方向だし、一緒に帰るか?
お守りのために、中島君だけ、カラオケに来れなかったのが凄く申し訳なく感じて、渡されたお守りを返すこともできなかった…
一人ではないよ!修也がボディーガードしてくれるらしいから、あそこのコンビニで待ってるって言ってた。
電話するからここに呼んで3人で帰ろうよ?
修也に電話すると、数分で修也は現れ、3人で世間話をしながら帰っている途中に、中島君が修也に聞いた。
そういや、修也は好きな人いんのか?
俺と紬になら教えてくれてもいいだろ?(笑)
は?いねぇよ!いてもいわねーよ!(笑)
俺そういうのよくわかんねーから(笑)
中島みたく変に暴走したくねーから(笑)
中島には相談しねーよ。
修也がそこまで言ったところで修也を殴った私。
結構思いっきり殴った。
中島君は不思議そうにしている。
くまがどうしたんだよ?
なんで殴った?なんで殴られた?
くまが出たら怖いから早く帰ろう…
そう言いたかったんだ…(笑)
くまが出た時に戦う練習しようかなって…(笑)
さぁくまが出たら怖いから、早く帰ろうよ(笑)
熊が出たら紬は俺が守ってやるから安心しろ(笑)
修也は一人で頑張れ(笑)
二人はそう言って笑っていたけど、修也は中島君と違って私をまもるとは言ってくれなかった…
私の一方的な片思いなんだろうと思い知らされる…
そして私達は3人で話をしながら帰った。
帰り道中島君に何度か告白じみたことをふざけながら言われたけど、すべて丁寧に断った…(笑)
中島君ごめん…なさい…
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