第64話 高松中、波乱の幕開け

文字数 2,706文字

倒れた森崎は脇腹を抑えて痛がっている。


その顔がまたちょっと気持ち悪かった…

森崎やっちまえなんて言っていた高輪小出身の取り巻きみたいな人達は、意気消沈して、みんな散っていった。


白金小出身の人達は森崎を哀れそうな顔で見て通り過ぎていく。


修也は師範の息子だ。弱いわけがない。


男だから小学生の頃より力もつき始めているに違いない。


もちろん高輪小出身の人達が、修也が空手をやっているなんて知らないだろうから、森崎もそう思って、修也にかかっていったんだろうけど…

後ろの4組の人達が教室に戻るのに美咲ちゃんも通りかかった。
あ!紬に修也じゃん!


え?何してんの?


こいつと喧嘩でもしたの?

美咲ちゃんは痛がっている森崎を指さして私と修也に聞く。
俺はかなり手加減してやったからな。


ここにいる紬がこいつに絡まれまくってたから、助けてやっただけ(笑)


お邪魔したわけじゃないらしいから、助けたってことだよな?

そう言って私を見る修也。


美咲ちゃんにしつこくて嫌だったことやされたことを一部始終話して、修也が助けてくれたことや、あった出来事を話すと、美咲ちゃんが森崎に向かって言った。

あんたさ、キモいから、変な絡み方やめな(笑)


ただでさえ顔キモいんだから、行動までキモくてどーすんの?(笑)

ズバズバ美咲ちゃんに言われて、森崎は周りの人たちから、笑い者にされたため、怒って立ち上がった。
ふざけんな!!お前ら覚えとけよ!!


俺の兄ちゃんはな、3年の佐々木先輩のいるグループの一員なんだからな!!


後悔させてやるからな!!

そう言って教室に走って戻って行った森崎。
修也、美咲ちゃんありがとう。私のせいでめんどくさいことに巻き込んでごめんね…


修也、森崎ってやつと席が前と後ろなのに、大丈夫なの?

私は特に何もしてないよ(笑)

あ〜いいんじゃね?俺最初からあいつあんま好きになれなくてさ(笑)


兄ちゃんどうのこうのって言ってたな(笑)


つーか、走って戻ってったけど同じクラスなんだけどなあいつ(笑)

私達が教室に戻ると森崎にめちゃくちゃ睨まれた…


とりあえず席につくと静香に話しかけられた。

紬、なんか大変だったみたいだね(汗)


私先に教室戻ってきちゃってたから、違う子から聞いたんだけど、森崎に絡まれてたって聞いたけど?

私は静香にさっきの出来事を色々と話した。
マジか…佐々木先輩ってのが、この高松中のボスみたいな人なんだけど、森崎の兄がその人の側近みたいな感じなんだよね…


だから、森崎に目をつけられると、もしかしたら3年が出てくるかもよ?大丈夫?


ていうか私は修也君が心配(笑)

(それはあんまり良くないかもしれない…新入生の自分達が3年生に目をつけられたら、ろくなことがなさそう…てか、私じゃなくて修也の心配ですか…(笑))
確かに、森崎は覚えておけよと言った…


静香の言うことが現実にならなければいいなと思った…

担任の景子先生が戻ってくるまで、修也と森崎は一言も会話をしていなかった。
景子先生が戻ってきてホームルームが終わると本日は学校は終わりとなった。
前の席の静香が修也を紹介しろとうるさいので、静香を修也に何故か紹介させられる私…


そしてお互いに自己紹介し合って、連絡先を交換するように私が何故か促す。

とりあえずクラスメイトなので、目の前で連絡先を交換する二人。


(何やってんだ私…)


静香も満足そうに帰っていった。

私は紗絵ちゃんと、修也は師範と千鶴さんと別々の車で帰った。


別々の車とはいえ、帰るマンションは一緒なのだけれど。


帰りの車で紗絵ちゃんに言われる。

今日このあと、みんなで紬と修也の入学のお祝いで、夕飯はお店個室で予約してるんだけど、まだ、全然時間あるしどうする?一回家に帰る?どこかで時間潰す?恵美は夕飯までに帰ってこれるらしいから、直接お店に来るって言ってたから、場所は教えてたけど。


中学校のクラス、修也と一緒で良かったね!!


友達出来たかな?

そうだったんだ!!ありがとう♪


んーー紗絵ちゃんが疲れてなければ、ちょっと、お話したいな(笑)マックでドライブスルーでもして、車で話すのとかどう?

私は全然大丈夫だよ。お話付き合う(笑)


マックが、いいの?ドライブスルーで車で食べるくらいなら、お店まだ空いてないかもしれないけど、電話して早く開けてもらえないか聞いてみるから、そこで色々話聞かせてよ?


駄目なときはドライブスルーでも私は全然いいんだけど。


確認するからちょっと、待ってて。

そう言って紗絵ちゃんはお店に電話していた。
今どきの車は便利で運転しながらでも通話は出来る。社内のBluetoothスピーカーで紗絵ちゃんは通話しているので、助手席に乗る私にも通話は丸聞こえ。
紗絵「すいません。この時間営業してないの知ってて電話してるんですけど、本日予約してた成瀬なんですけど、夕方18時からの予約はもちろんそのまま難ですけど、私と娘だけ今から早いんですけどお店うかがわせてもらえないですか?駄目ですか?」
店主「成瀬さん、いつもごひいきにしていただいてありがとうございます。いや〜いくら成瀬さんのお願いでも、営業時間外なので、ちょっときついですよ(汗)うちをごひいきにしてもらってるので出来ることならそうしたいのですが、夕方オープンまでのまだ仕込み中なんですよ。」
紗絵「そこをなんとかお願いします。無茶苦茶ですけどお願いします♪あ!私今度映画に久しぶりに出るので、ロケの全員監督も含めて打ち上げをお店おすすめして決定させますから、映画関係のお偉いさん達、お金持ちですよ〜常連さんなったらお店ますます繁盛しますよ〜♪(笑)」
店主「…わかりました(笑)たいしたメニューは昼は営業してないので出せないですけど、来てください。お昼普段はうちはやってないので今回のことは内緒にしてください。お願いしますよ。」
紗絵「ありがとうございます♪もちろん内緒にします。では、このまま向かいま〜す♪」
そして、通話は切れた。
紗絵ちゃんお店の人困ってたんじゃない?マックのドライブスルーで車でも良かったのに。
私がRISE-1デビューした頃から、通ってるお店だから、結構売上貢献してるんだよ(笑)映画打ち上げお店貸し切りでやったら、お店儲かると思わない?


だからいいのいいの(笑)結構昔から無茶聞いてもらってるから(笑)


だってマックのドライブスルーのあと車の中より個室の部屋の方くつろげるでしょ?そのほうが良いって♪

紗絵ちゃんは無茶苦茶なことたまに言うし、するけど、周りの人達に恵まれてるんだろうな…


私はお店の人に申し訳なくて仕方ないけど、確かにマックのドライブスルーの後、車の中よりもお店の中のほうが楽だなとは思った。

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登場人物紹介

成瀬 紬(なるせ つむぎ)。

物語の主人公。紗絵の姪。内気で気弱。

成瀬 紗絵(なるせ さえ)。紬の叔母。

アーティスト、マルチタレント。

T.Kレコード所属RISE-1のメインボーカル。

山本 登(やまもと のぼる)。山本道場師範。修也の父親。絵里や紗絵の恩師。

山本 千鶴(やまもと ちづる)。修也の母親。

山本 修也(やまもと しゅうや)。のちに紬の幼馴染となる人物。初恋の人は茅ヶ崎 恵美。

沢田 水子(さわだ みずこ)。T.Kレコード会社マネージャー。紗絵の所属するグループRISE-1の担当マネージャー。

茅ヶ崎 恵美(ちがさき めぐみ)。

アーティスト、マルチタレント。紗絵と同じRISE-1のメンバー。紗絵とは親友でもありライバル。

佐々木 虎男(ささき とらお)。ギャング組織での一員。のちに紗絵の舎弟的存在となる。

藤堂 英玲奈(ふじどう えれな)。

美少女コンテストで紗絵が負けた相手。

美少女コンテストグランプリ受賞者。

紗絵より年齢は1つ上。

藤堂グループの令嬢。高飛車で性格は悪い。

安西 楓(あんざい かえで)。紬と修也と同年代で二人が高校生の頃に登場する人物。

紬の恋敵。

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