第43話 修学旅行と三角関係 その3

文字数 2,833文字

私はカレーライスにした。


目の前の修也はラーメン、その横の美咲ちゃんはカレーライス。


地図を広げてお昼を食べながら、修也と美咲ちゃんが明日の班行動でどうするのかを話し合っている。


修也は班のリーダーだが、美咲ちゃんは副リーダーなのだ。


ふと、私にも話をふられる。

私はこっちのルートの観光巡りしたいんだけど、修也は反対のこっちがいいらしいんだけど、紬はどっちがいい?
え?私?


ん〜こっちとかどう?

私は修也でも美咲ちゃんでもないルートを指さした。
いや、そっちはねーよ。店少なさそうじゃん?
ん〜ごめん。私もそう思う。
そ、そっか、なんか力になれなくてごめんね(笑)
(じゃあ聞くなよ)って二人にたいして思った。
ちょっと美咲のカレーわけてくんない?(笑)
あ〜いいよ。でも、修也のラーメンもじゃあ私にわけてよ。
二人で、お互いの食べ物を交換して食べ始めた。


修也の使っていた箸を美咲ちゃんが、美咲ちゃんが使っていたスプーンを修也が使い始めた…



私の目の前で…


私だってカレーライスなのに…


でも、真ん中に座った徹くんの方を見ると、徹くんも悲壮感漂う表情をしていた…


よりによって徹くんは修也と同じラーメンを食べていた…




(わかるよ、わかるよその気持ち…)


徹くんを見ていると自分を見ているようだ…

なんか徹くんに親近感が湧いてきた。
あ、あのさ、二人なんか、仲良いよね?
あ〜そういや、みんなに言ったことなかったもんな。


俺、美咲と幼稚園一緒だったんだよ。


小学校入ってからは、同じクラスなったことなかったけど、今年同じクラスになって、まぁ幼稚園の頃はよく遊んだからさ。

そうそう、昔は良く遊んだよね。修也なんて幼稚園の頃はおままごとして遊んだら、私と結婚するとか言ってたよね(笑)


今思うとゾッとするわ(笑)

うわ〜美咲みたいな性悪女と俺結婚するとか言ってたのかよ(笑)


幼稚園の頃は人見る目なかったわ〜(笑)

目の前で、じゃれ合い始めた二人…


ごめん徹くん…なんか聞き出そうとしたのに、結婚とか…


まぁ幼稚園の頃の話だしね…(笑)


唯一良かった点は二人は幼稚園の頃は仲が良かったから、今仲良しなんだよって思うことにする。


二人が付き合ってるとか、そんなこと言ってないわけだから、徹くん、私少しは役に立ったかな?

徹くんの方をチラッと見ると…


駄目だ…


完全に死にそうな敗北者の顔をしている…


私の質問失敗だった?


いやいや、二人は付き合ってるとか言ってないよ?


幼稚園の頃はよく遊んだって言ってるだけだよ?


まだ、わかんないよ?


でも気持ちはわかる…


そんなに仲良さそうに目の前でされると確かに辛いよね…


二人が悪いわけじゃないのに、わざとですか?みたいなことが続くからね…


ここで徹くんの横に座っている中島君がとどめの一言を言った…

そんなに仲良い感じなら、二人付き合っちゃえばいいのに(笑)
うわ〜人の気も知らないで、コイツ空気読めよ…


隣の徹くんが死にかけてるのに…


そして私も殺す気ですか…?

いや、美咲はねーわ(笑)
こっちがねーわ(笑)
そう言いながらも二人共なんかまんざらでもなさそう…
そう見えるだけなのか、本当にお互いにないと思ってるのかは、私達にはわからない…


余計なことをしてしまったかもしれないから、後で徹くんに謝ろう…

お昼を食べ終わり3組と入れ替わる。再び水族館を今度はみんなでまわると、もうすぐバスの集合時間になるので、お土産屋さんに寄った。


それぞれお土産を見ていると、ササッと徹くんが私のそばに来て小声で言う。

昼はマジで死ぬかと思ったよ。


俺もラーメン食べてたんだけどな…(笑)


俺明日の夜泊まってるホテルで告ることにしたわ。


ありがとな。


ここでお揃いのストラップかキーホルダーみたいなの買って渡すわ。

なんか、私いろいろ聞き出そうとしたのに墓穴減ってごめんね…


徹くん死にそうな顔してたの知ってるよ(笑)


頑張って!!応援してるよ。お揃いのストラップかキーホルダーなら、イルカがいいと思うよ!


美咲ちゃんはイルカを見てる時に凄い喜んでたから。

マジで!ありがと。あ〜俺こういうのセンスないからさ、一緒に選んでくれたら助かんだけど、いい?
いいよ〜じゃあさ、あっちにいいのがあるから、一緒に見に行こうよ。
私はそう言うと徹くんにこれがいいんじゃないかと思うのを見せるために案内する。


でも、私と徹くんが二人でお揃いのものを選んでると勘違いして、中島君が焦っていたなんて、私は気づかなかった…

ホテルにつくと部屋に入り荷物を置く。


私達の部屋は4人で私と美咲ちゃんにあと二人いる。


夕飯までは2時間くらい自由時間がある。


その後は1組と2組から大浴場で時間が取られており、お風呂の時間が終わると、消灯時間までは、再び2時間くらい自由な時間がある。


女子はホテルの2階の部屋に1部屋4〜5人で泊まっている。


男子は3階の部屋に同じように1部屋4〜5人で泊まっている。



まだ、時間あるし、紬、一緒にウロウロしてこない?(笑)
あ、うん。行こうかな。お金持ってく?ジュースとか買う?
そうだね、私も持って行くから、持ってこううよ。
部屋を出ると美咲ちゃんと私だけだった。
あれ?みんなでいかないの?
なんか、声かけたら、疲れたらしくて部屋でゆっくりしてるってさ(笑)


お金払うからジュース買ってきてってパシられたしね(笑)

(美咲ちゃんでもパシられることあるんだ…)


美咲ちゃんはどちらかというとボスキャラみたいな感じなのかなと思ってた。

二人で製氷機の場所を確認して、大浴場の場所を確認して、売店をちょっと見て、二人でロビーにあるいくつかテーブルとソファーが有る所に売店で買ったジュースをあけて向かい合うように私達は座った。
単刀直入に言うね。紬、化粧してみない?


私、化粧とかヘアセットとか、そういうメイクアップアーティストみたいなのに将来なりたいんだけど、


私、昔の紬になら言わないけど、今は痩せて可愛くなった。


紬の顔立ちなら、絶対可愛く出来ると思うんだよね!


夕食後は、どうせすぐお風呂なんだし、先生に万が一怒られてもすぐメイク落とせるでしょ(笑)


まずは、バレない程度に軽くでいいからさ。


お願い!


私、今日ほんとにちょっとだけ化粧してるけど、みんなにも先生にもバレてないしさ(笑)

え?可愛い?!私が?!私の顔なんて化粧したところで高々しれてるよ?(汗)


化粧してみたいから、じゃあお願い。

同じ部屋の二人の分のジュースと私達のお風呂上がり用のジュースを二人で手分けして持って部屋に戻ると、女子は思い出になるようにとホテル側が浴衣をサービスで人数分貸し出してくれたらしい。


私達はじゃんけんして勝った人からそれぞれ浴衣を選んだ。


そして浴衣に着替えると、美咲ちゃんによる、私のメイクアップが始まった。


同じ部屋の二人も興味津々に見ている。

数十分後…


私のメイクアップが完成すると、同じ部屋の二人がめちゃくちゃ私の写真を撮ってた。


美咲ちゃんは誇らしげな表情だ。


鏡を視ると…

※成瀬 紬 12歳


修学旅行中。美咲による化粧後。

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登場人物紹介

成瀬 紬(なるせ つむぎ)。

物語の主人公。紗絵の姪。内気で気弱。

成瀬 紗絵(なるせ さえ)。紬の叔母。

アーティスト、マルチタレント。

T.Kレコード所属RISE-1のメインボーカル。

山本 登(やまもと のぼる)。山本道場師範。修也の父親。絵里や紗絵の恩師。

山本 千鶴(やまもと ちづる)。修也の母親。

山本 修也(やまもと しゅうや)。のちに紬の幼馴染となる人物。初恋の人は茅ヶ崎 恵美。

沢田 水子(さわだ みずこ)。T.Kレコード会社マネージャー。紗絵の所属するグループRISE-1の担当マネージャー。

茅ヶ崎 恵美(ちがさき めぐみ)。

アーティスト、マルチタレント。紗絵と同じRISE-1のメンバー。紗絵とは親友でもありライバル。

佐々木 虎男(ささき とらお)。ギャング組織での一員。のちに紗絵の舎弟的存在となる。

藤堂 英玲奈(ふじどう えれな)。

美少女コンテストで紗絵が負けた相手。

美少女コンテストグランプリ受賞者。

紗絵より年齢は1つ上。

藤堂グループの令嬢。高飛車で性格は悪い。

安西 楓(あんざい かえで)。紬と修也と同年代で二人が高校生の頃に登場する人物。

紬の恋敵。

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