第59話 私の進む道

文字数 1,847文字

ついに私のT.Kレコードアカデミースクールのオーディションの日がやってきた。


紗絵ちゃんが私を会場に送っていくために沢田さんに休みがほしいとダダをこねていたので、せっかくRISE-1が浮上の兆しを見せているのに、サボっちゃ駄目だよと私も紗絵ちゃんを説得して、今日会場に一人で来た私。


変な男に絡まれないようにと紗絵ちゃんにタクシー代を渡され、タクシーで会場には言われた通り来た。


(ここで、同じ場所でお母さんに紗絵ちゃんは合格したんだ。今度は私の番だ。)


気合を入れ直して受付に向かい手続きをした。


紗絵ちゃんが私がオーディションに行くのを懐かしいって言っていた。


昔、恵美ちゃんと初めて知り合った場所だと言っていた。


恵美ちゃんのことを最初出会った頃は、悪いやつじゃないけど、変なやつだと思ってたって紗絵ちゃんが言っていた。


そして、紗絵ちゃんは当時、恵美ちゃんにもらったという御当地キティちゃんのストラップを今でもカバンにつけている。こすけて汚れているけれど、思い出の品らしい。


恵美ちゃんも紗絵ちゃんにもらったという帽子を未だに持っているらしい。かぶることはないけどって言ってた。


そんな二人が出会った場所に私もやってきた。

私は誰かと仲良くなるとかなかったけど、無事に一次選考を通過し、二次選考、最終選考も通過し合格。


春からお母さんや紗絵ちゃんのアカデミースクールの後輩となることが出来た。


私が最終選考を受ける時にはT.Kレコード本社についている大きなモニターにチガナルの新曲「WHITE&BLACK」が宣伝され、ミュージックビデオが流れていた。

※成瀬 紬 12歳


T.Kアカデミースクールオーディション時

もちろん紗絵ちゃんや千鶴さんに師範、恵美ちゃんに修也と友達みんな無事に私が合格したことを喜んでくれた。


中島君に関しては俺のお守りのおかげだなんて言っていた。



そして冬が終わり迎えた小学校の卒業式。


紗絵ちゃんが卒業式を見に来ても、もうみんな、知っていることなのでほとんどパニックは起きなくなっていた。


紗絵ちゃんは卒業式懐かしいって言って昔を思い出しているようだった。


私は卒業生代表でもないし、春から進学する高松中の新入生代表でもない。


紗絵ちゃんにお母さんは昔小学校では卒業生代表を務め、中学校でも新入生代表、卒業生代表を務めたと聞かされた。


お母さんがどれだけ優秀だったかは、私にはあんまりよくわからないけど、紗絵ちゃんの記憶の中では、お母さんはその背中を紗絵ちゃんが追いかけても追いつけない人だったらしい。


みんなにお願いされていたみたいで、紗絵ちゃんは卒業式の主役は卒業生達だからと言って最初は渋っていたけど、事務所の許可は学校側がお願いして取ってあるとのことで、白金小学校の卒業式、体育館で、チガナルのClariSのカバー曲「ALIVE」と新曲「WHITE&BLACK」をソロでみんなに披露していた。


紗絵ちゃんはプロの歌手なだけあってソロでも全然うまかった。


そして紗絵ちゃんのソロで歌うのを見たのは私はこれが初めてだ。


本人もグループかユニットで活動しているため、なんか恥ずかしいかもって言っていたけど、人前となれば、紗絵ちゃんは普段のちょっといたい人みたいな姿は感じさせない。


白金小学校はたった2曲だけだけど、成瀬 紗絵の単独ライブステージとなった。


私みたいなカラオケで歌ってますとか、やっとT.Kアカデミースクール合格しましたみたいな素人とは、歌唱力が全然レベル違いだった。

※RISE-1 成瀬 紗絵 23歳


白金小学校 ソロ歌唱

私は来月中学生になる。


T.Kレコードアカデミーススクール生としてのレッスンも始まる。


白金小学校の人達とはもちろん同じ高松中学校へ進学する。


紗絵ちゃんには、私のやりたいようにしていいよって言われたけど、中学受験とかは特に考えなかった。


他の小学校の人達も高松中学校へ来るため、新しいクラスはどうなるのか不安と楽しみが入り混じる。



中学生になると先輩後輩の関係になるのも少し不安だ。


私は途中から転校してきているので、先輩で知ってる人は私はいない…

でも、時間は止まらない。


だから進もう。次のステージへ!!

※チガナル 2ndシングル WHITE&BLACK


RISE-1 茅ヶ崎 恵美 23歳


RISE-1  成瀬 紗絵 23歳

※RISE-1 茅ヶ崎恵美 23歳


チガナル 2ndシングル WHITE&BLACK

※RISE-1 成瀬 紗絵 23歳


チガナル 2ndシングル WHITE&BLACK

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登場人物紹介

成瀬 紬(なるせ つむぎ)。

物語の主人公。紗絵の姪。内気で気弱。

成瀬 紗絵(なるせ さえ)。紬の叔母。

アーティスト、マルチタレント。

T.Kレコード所属RISE-1のメインボーカル。

山本 登(やまもと のぼる)。山本道場師範。修也の父親。絵里や紗絵の恩師。

山本 千鶴(やまもと ちづる)。修也の母親。

山本 修也(やまもと しゅうや)。のちに紬の幼馴染となる人物。初恋の人は茅ヶ崎 恵美。

沢田 水子(さわだ みずこ)。T.Kレコード会社マネージャー。紗絵の所属するグループRISE-1の担当マネージャー。

茅ヶ崎 恵美(ちがさき めぐみ)。

アーティスト、マルチタレント。紗絵と同じRISE-1のメンバー。紗絵とは親友でもありライバル。

佐々木 虎男(ささき とらお)。ギャング組織での一員。のちに紗絵の舎弟的存在となる。

藤堂 英玲奈(ふじどう えれな)。

美少女コンテストで紗絵が負けた相手。

美少女コンテストグランプリ受賞者。

紗絵より年齢は1つ上。

藤堂グループの令嬢。高飛車で性格は悪い。

安西 楓(あんざい かえで)。紬と修也と同年代で二人が高校生の頃に登場する人物。

紬の恋敵。

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