第42話 修学旅行と三角関係 その2

文字数 2,039文字

あんまり浮かない表情の私を見て中島君が言う。
なんだ、紬、美咲と修也が付き合ったら寂しいのか?(笑)


俺達3人で遊んだりすることも多かったもんな。


学校の行きも帰りも一緒だしな。


でも、大丈夫大丈夫。紬には俺がいるだろ?(笑)


修也が付き合い悪くなっても、ここに一緒に遊びに行く相手がいるだろ。


元気出せよ。せっかくの修学旅行なんだからさ(笑)

そ、そうだね(笑)寂しくなるけど、私達仲良いしね(笑)
本当はいつも3人で一緒にいたから寂しいとかじゃないよ…


多分一緒にいるのが当たり前過ぎて私は気づいていなかっただけ…


例え美咲ちゃんでも、私以外の誰かに取られたくないって思ってるんだよ… 






私、多分、修也のことが好きなんだ…





バスが水族館に到着すると、先生に従って、ぞろぞろと移動する。


水族館は特に誰とまわるとかは決まっていないが、クラスごとの移動となる。

中島君は私と修也と見てまわりたかったらしく、修也を呼びに行った。


私は突然変に意識し出してから、修也と顔を合わせるのがなんか嫌だった。


中島君がいなくなったので、待ってたら徹くんに話しかけられた。

あのさ、ちょっといいかな?一緒に見ない?
あ〜うん。全然いいよ。一緒にみてまわろうよ。
徹くんが何で私を誘ったかはわからないけど、修也と顔を合わせたくないので、ちょうどいいやと思った。


中島君には、誘われたから違う人とまわるねってラインを入れておいた。

二人で、歩き始めると徹くんが話し始めた。
紬って好きな人とかいる?
え?!何で急に?!何?!
急すぎてビックリして大きな声を出してしまった。
静かに!ビックリしすぎだろ(笑)


俺、紬に告白してるわけじゃないんだからさ(笑)


紬のこと俺が好きだから聞いてるわけじゃないから安心して(笑)

なんだ、私勘違いしてた(笑)でさ、何で私に聞くの?
完全に勘違いしていた自分が恥ずかしかった…

男の子に告白なんてされたことがない私。


徹くんが私のこと好きで、誘ってきて、好きな人いるか聞かれたのかと思った…


自意識過剰でした…

二人で歩きながら魚やペンギンを見る。


ペンギンを見てはしゃいでしまっていた私に、徹くんが、ちょっと切ない表情で語りだす。

紬はいいよな呑気で(笑)


俺さ、美咲のことずっと好きだったんだよ…


言いたくても言えないし、言わなくてもどうしていいかわかんねーし。


なんか言ってもし駄目だったら友達じゃいられなくなりそうで、どうしていいかわかんなくてさ…


小学校卒業したって中学もまた同じ中学校だろ。


卒業式の後に告ろうかと思ってたけど、結局中学校一緒だし怖気づいてそうだしさ。


思い切ってじゃあ修学旅行で同じ班の活動が終わった後にでも告ろうかと思ってたけど、バスでの光景見た後だと、なんか、自信ねーわ(笑)


紬が転校してきた時は本当に悪かったよ。俺も美咲も主犯だからさ…今は本当に申し訳ないことしたなって、謝っても済む話じゃねーよな。

過去の話はもう全然気にもしてないから気にしないで。


美咲ちゃんと私なんだかんだで結構今は仲良い方なんだよ(笑)


でも、好きな人とかの話したことなかったけどな。


何で、そんな大事なこと私に相談したの?



あ〜それは、紬はなんとなく、俺の気持ちわかってくれそうだと思ったから。



なんとなくと言われても、困る私。
いつから美咲ちゃんのこと好きなの?
多分3年生の時に初めて同じクラスになってから。


美咲は修也のことが好きなのかな?

ど、どうだろうね?あの二人はそんなに前から仲良かったっけ?


私にその、好きな人いるとかそれが誰かとか話すかはわからないけど。


泊まる部屋も私、美咲ちゃんと同じだし、さり気なく聞いてみようか?

頼む!!


俺に協力してもらうんだから、俺も何か協力できることがあれば協力するよ?


だから、好きな人とかいるか聞いた。俺の知ってる奴なら、協力するからさ。

そ、そうなんだ。じゃあ、その時が来た時にはお願いしようかな(笑)


今は特にそんなことないから、お願いしたいことなんてないなぁ〜(笑)

笑いながらごまかしたけど、本当は聞いてほしい。


でも、言えない…


何も出来ない自分がもどかしい。


徹くんは恋を掴むため積極的に行動している。


凄いことだと思う。


私には真似出来ない…

その後は徹くんと普通に水族館を見てまわった。


見てまわってる最中に修也と中島君と美咲ちゃん達に遭遇した。

なんだよ〜修也達呼びに行ったら紬居なくなってるし、探しながら、水族館の中見てまわってたんだけど、やっと会えたじゃん!


お昼はここのレストランみたいなとこで順番に食べるらしいから、俺達2組はそろそろ時間だからみんなで行こうぜ!

そうだね!
その中に私と徹くんも合流した。


合流してレストランにみんなで向かうと、ちょうど1組と2組の入れ替わりの時間で、私達は席についた。



席につくと、私は1番端に座ったのだが、よりによって、修也と美咲ちゃんが私の向かいの席に座った。


(なんで目の前に、来るんだよ…)


そう思ったけど、本人達に悪気はない。


私が別に気にしなければいいだけなのだから…

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登場人物紹介

成瀬 紬(なるせ つむぎ)。

物語の主人公。紗絵の姪。内気で気弱。

成瀬 紗絵(なるせ さえ)。紬の叔母。

アーティスト、マルチタレント。

T.Kレコード所属RISE-1のメインボーカル。

山本 登(やまもと のぼる)。山本道場師範。修也の父親。絵里や紗絵の恩師。

山本 千鶴(やまもと ちづる)。修也の母親。

山本 修也(やまもと しゅうや)。のちに紬の幼馴染となる人物。初恋の人は茅ヶ崎 恵美。

沢田 水子(さわだ みずこ)。T.Kレコード会社マネージャー。紗絵の所属するグループRISE-1の担当マネージャー。

茅ヶ崎 恵美(ちがさき めぐみ)。

アーティスト、マルチタレント。紗絵と同じRISE-1のメンバー。紗絵とは親友でもありライバル。

佐々木 虎男(ささき とらお)。ギャング組織での一員。のちに紗絵の舎弟的存在となる。

藤堂 英玲奈(ふじどう えれな)。

美少女コンテストで紗絵が負けた相手。

美少女コンテストグランプリ受賞者。

紗絵より年齢は1つ上。

藤堂グループの令嬢。高飛車で性格は悪い。

安西 楓(あんざい かえで)。紬と修也と同年代で二人が高校生の頃に登場する人物。

紬の恋敵。

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