第54話 私なんかに合わせるからですよ

文字数 2,620文字

紗絵ちゃんを祝福しようと思って私と沢田さんは帰る準備をしているであろう主演候補の控室に向かった。


控室が近づいてくると英玲奈さんの大きな声が聞こえてきた。


私は沢田さんに中に入るのを止められた。

今私達が中に入っていっても、相手を逆なでしそうなので、危なさそうだったら行きましょう。


それまではもうちょっとここにいましょう。

わかりました。
とりあえず聞き耳を立てる私達。聞こえてきた声は
英玲奈「なんで私が主役じゃないのよ!!なんであなたなの!!あの人たちおかしいんじゃないの!!しかも助演って。私があなたの引き立て役なんて私はゴメンだから!!」
紗絵「こんな所で、怒鳴ってたって何も変わりませんよ?審査員の人の文句私に言われても困りますよ。別に私も英玲奈さんに、助演頼みたいなんて思ってないので、好きに断るなりなんなりしてください。私帰りたいんで、帰りの準備するの邪魔しないでもらえますか?」
英玲奈「何よ!!自分が主演に選ばれたからって気取っちゃって、あなたとあの子に目立たれると藤堂グループが困るのよ!!あなたのせいで、私がどれだけ苦労してると思ってるのよ!!私はね、もともと芸能人なんかなりたかったわけじゃないのにやらされて、しかもあなたみたいな人に負けるなんて最悪!!」
紗絵「嬉しいなっては思ってますけど、別に気取ってないですよ。逆恨みし過ぎですよ(笑)もともとやりたくない人がここまで出来るんですから、本気で取り組んだら、周りの人はとても勝てないくらい凄い人なんじゃないですか英玲奈さんは。私なんかに合わせて争ってるから、こうなるんじゃないですか?私言いましたよね?本物とメッキの違いを見せつけてやりますって。」
英玲奈「何よそれ。あなたが本物で私がメッキだって言いたいってこと?逆でしょ(笑)私はあなたを潰さなきゃないの。藤堂グループのために。あの子も目立つようなことするようだったら、私は潰すわよ。あなたみたいにおとしいれてあげるわよ。

あ、誤解しないでね、陥れるというより事実をリークしてあげただけだったわ(笑)

遠い親戚だと思って命だけは奪わないであげるわよ(笑)」

紗絵「私は本物だと自分に言い聞かせてますよ。失礼ですけど英玲奈さんはメッキですよ。本気で取り組んでないんですから。藤堂グループのために女優やるのなんてメッキじゃないですか。好きで頑張ってる人達に失礼ですよ。私をおとしいれたのはやっぱり英玲奈さんだったんですね…


でも、そのおかげで失ったものもありますけど、大事なことを得ることも出来ましたので私へのなにかは構わないですけど、紬を敵にまわすのはやめたほうがいいんじゃないですか?会長は紬のこと知ってるんですか?」

英玲奈「何よ!あんたお父様とも知り合いなわけ?それに紗絵さんもやっぱり知ってたんじゃない。知らない振りして母親してるなんて、とんでもない人ね。知ってるくせに本人に教えてあげないなんてかわいそうにね。」
紗絵「お姉ちゃんとの約束なので。その時が来たら言いますよ。私だって教えてあげて楽になりたいですよ。でも、お姉ちゃんが亡くなる前に約束したことなので、私は約束は守ります。たとえ私が悪者になっても…」
(なんで私?私藤堂グループと関係あるの?紗絵ちゃんは何を知ってるの?やっぱり英玲奈さんと紗絵ちゃんは私の何かを知ってるんだ。お母さんが紗絵ちゃんにだけは話したことって?)
(紗絵ちゃんはお母さんとの約束だって言ってた。時が来たらっていつ?紗絵ちゃんが悪者になってもってどうして?)
でも、二人の会話を聞いていて、思った。紗絵ちゃんはお母さんとの約束をいまだに何か守り続けている。


だから、オーディション前は少し信用できないかもって思っちゃったけど、紗絵ちゃんを信じようと思った。

英玲奈「へぇー悪者になってもね〜。というか紗絵さんはもともと悪者じゃない(笑)よ〜く考えたら、私が紗絵さんに負けるのなんておかしいわ。どうせ審査員の誰か騙してるのかたぶらかしてたんでしょ?」
紗絵「私は英玲奈さんじゃないんですから、そんなことして勝ちたいとは思いませんよ(笑)単純に私の方がサラ・メンデスっぽかった。それだけじゃないですか?あんまりしつこくても負け惜しみにしか聞こえませんよ(笑)てか、英玲奈さんあんまりしつこいと私のファンなのかと思われちゃいますよ(笑)じゃあ私はこれにて失礼しま〜す(笑)」
英玲奈「は?!私が紗絵さんのファンになんかなるわけ無いでしょ!!フザケないでよ!!」
英玲奈さんが喋ってる途中なのに、紗絵ちゃんはそう言うと遠慮なく控室を出てきた。
沢田さんと私は何故か隠れてしまった。なんか、聞いてはいけない話を聞いてしまった気に二人でなってしまったんだろう。
紗絵ちゃんは、主演を掴みちょっとルンルンで歩いていった。
私達もちょっとすると、紗絵ちゃんの後を追っかけた。


控室にはたぶん英玲奈さんと紗絵ちゃんが最後まで残っていたんだろう。


紗絵ちゃんが控室を出ると、たぶん英玲奈さんは少し暴れていたのではないだろうか。


椅子が倒れる音や壁がドンドンと鳴っていた。

紗絵ちゃんを追いかけて、ちょっとすると紗絵ちゃんが佐々木監督と遭遇したのか喋っていた。
お久しぶりです!!また、よろしくお願いしますね監督。


私、少しは成長しましたか?私に投票してくださったこと光栄に思います。


ありがとうございます。

おぉー。紗絵か。一緒に仕事をするのは本当に久しぶりだな。


まぁ成長したんじゃないか?少しはNG出さなくなったか?(笑)


本物とメッキの違いを見せつけてくれるらしいから期待しているよ(笑)


ここだけの話だが、制作チームは藤堂 英玲奈推しが多かったみたいだぞ。


俺は藤堂 英玲奈はお前の言うメッキにしか見えんがな(笑)


お前は本物になったのか、今回の撮影で期待しているよ主演さん。


俺は主演だろうとなんだろうとNG連発したり寝坊してきたらキレるからな。

NG連発に寝坊は過去のことじゃないですか〜(笑)


監督、私を主演に選んだからには、申し訳無いですけど、いい所は全部頂きますからね(笑)


右も左もわからない昔とは違いますよ。


私は想像を越えていきますよ。まだ進化途中ですけどね(笑)

ふてぶてしさだけは成長したんじゃないか?(笑)
※RISE-1 成瀬 紗絵 23歳


映画 機動戦士ガンダムPIECE 


地球軍エースパイロット (搭乗機PIECEガンダム)


主演 サラ・メンデス役

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登場人物紹介

成瀬 紬(なるせ つむぎ)。

物語の主人公。紗絵の姪。内気で気弱。

成瀬 紗絵(なるせ さえ)。紬の叔母。

アーティスト、マルチタレント。

T.Kレコード所属RISE-1のメインボーカル。

山本 登(やまもと のぼる)。山本道場師範。修也の父親。絵里や紗絵の恩師。

山本 千鶴(やまもと ちづる)。修也の母親。

山本 修也(やまもと しゅうや)。のちに紬の幼馴染となる人物。初恋の人は茅ヶ崎 恵美。

沢田 水子(さわだ みずこ)。T.Kレコード会社マネージャー。紗絵の所属するグループRISE-1の担当マネージャー。

茅ヶ崎 恵美(ちがさき めぐみ)。

アーティスト、マルチタレント。紗絵と同じRISE-1のメンバー。紗絵とは親友でもありライバル。

佐々木 虎男(ささき とらお)。ギャング組織での一員。のちに紗絵の舎弟的存在となる。

藤堂 英玲奈(ふじどう えれな)。

美少女コンテストで紗絵が負けた相手。

美少女コンテストグランプリ受賞者。

紗絵より年齢は1つ上。

藤堂グループの令嬢。高飛車で性格は悪い。

安西 楓(あんざい かえで)。紬と修也と同年代で二人が高校生の頃に登場する人物。

紬の恋敵。

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