第116話 国民的美少女コンテスト2次審査

文字数 2,111文字

迎えたは2次審査の日



私は英玲奈さんと紗絵ちゃん、かつてのグランプリと準グランプリからのアドバイスをもらい、ちょっと卑怯だけど、会場に到着した。


紗絵ちゃんはきっと私が落選してもリハビリを頑張ると思う。

でも、もし私がファイナリストまで残れば、喜んでくれる。


少しでも長い期間、私でも何か出来ることがあるとすれば、今日の二次審査、次回の最終審査を通過しなければならない。


書類審査で10万人近くいた応募者は1500名程度となった。


この1500名に残れただけでも狭き門だとは思う。


そして今日の二次審査が終われば残れるのは50名程度になる。

そして会場で私は安西さんと遭遇した…


制服姿しか見たことのない安西さんの私服姿は大人っぽくて、可愛い…


書類審査が6位でトップ10入りしてたのも納得だった…

どうも。私全然ド素人だけどさ、あなたには負けたくないから。頑張るから。ファイナリスト残ってからが本当の勝負だから。


ここはあくまで通過点。お互いに勝負は本選でだから。

あ、うん…


私も負けたくない…


そうだね。まずは次回に残るのは通過点だね。

知ってた?修也が空手辞めた理由?
え?聞いてなかった。安西さんは知ってるの?
知ってるよ。


まだ高校1年生で今の段階では進路なんて決める必要ないのに、大学に行きたいから、辞めたんだって。


大学はね、医学部。


もともと頭がそんなに良くないから、空手でもそんなに結果出せないしって言って辞めてひたすら勉強してるみたい。


学校では私も勉強教えてるよ。


凄く頭の良い高校じゃないけど、私一応、学年だと3位なの。

(凄い…安西さんは勉強もできるんだ…)
そうだったんだ。医学部ってどこの大学だって難しいよね?


何で医学部?修也勉強好きじゃなかったよね?

医者になって、私の弟助けてくれるんだって。


私の弟、安西 圭(あんざい けい)は普通に見えるけど難病なの。

(そうなんだ…)
その、なんて言ったらいいかわからないけど、よくなるといいね…
よくなるといいね、なんてテキトーに言わないでくれる?


入院してるのは、あなたの父親が医院長を務める藤堂の総合病院なんだから、あなたのお父さんに言って治してよ!


治せもしないくせに。

そんなこと私に言われても…
何も出来ないくせに。どうせ苦労したことなんてないんでしょ。


芸能人の成瀬 紗絵の娘で生きてきて、今は藤堂グループの社長の娘でしょ。


タイミング良く成瀬 紗絵の娘から藤堂グループの社長の娘になったもんだね。


ごめんって言ったけど、やっぱり私はあなたみたいな人嫌い。

世間一般的に私は恵まれた環境と言われればそうなのかもしれない…


でも…私だって実のお母さんを難病で亡くしたんだ…


テキトーになんて言ったわけじゃないよ…


家族を失う苦しみを良く知ってるよ…

だけど、私がそんなこと言ったって安西さんにはきっと何も伝わらないし響かない…


別に安西さんに好かれたいわけじゃない…


弟さんがよくなるといいねって思う気持ちに嘘はないよ。


私が何を言っても安西さんの気に触るだけなんだきっと…

苦労したことがないって見えるならそれでいいよ…


私のこと嫌いでもいいよ…


私のこと嫌いで安西さんが奮い立つなら、それでもいいよ。


タイミング良くって何?

そんなの決まってるでしょ。成瀬 紗絵が事故を起こす前にいなくなったでしょ。


事故を起こしたのは自業自得だろうけどさ。


でも、あんなに売れてたのに芸能界復帰絶望的なんてかわいそうだね。


今まで散々稼いだだろうから、いいだろうけどさ、病室だって一人で広い部屋使って、担当医だって医院長直々になんでしょ。


いいよね。特別扱いしてもらえる人は。

(私のことはどう思われても構わない…でも、紗絵ちゃんのことを悪く言うのは許せない!)
なんなの!私だってあんたみたいな人嫌い!


私のことは好きに言えばいい!


でも、紗絵ちゃんは苦労したんだ!


簡単にああいう風になれたんじゃないんだ!


何も知らないくせに!

それがあなたの本性でしょ。


いい子そうにして、怒り出して。


どうせ男の前でだけぶりっ子してるようなタイプでしょ?


修也の前ではちょっと、かよわそうにしてるじゃない。


私はあなた達みたいな庶民とはかけ離れた世界の人を何も知ろうとも思わないし、知りたくもない。

何がぶりっ子?嫌味しか言えない人、妬むことしかできない人になんて、私は負けない!


それに紗絵ちゃんは必ず戻って来る!!


お金があったって無くたって、私は紗絵ちゃんのファンだし、お父さんが別に貧乏になったって、娘にかわりはない! 


安西さんは人のいいところを見ようとしない!


勝手に決めつけないで!

あなたこそ勝手に決めつけないでよ。


私は嫌いな人の良いところなんて見ないし、見たくもないだけ。


そうじゃない人の良いところはちゃんと見てるし、見えてるから。

じゃあ勝手にすれば!!
私はそう言うと、安西さんを見たくないので、移動した。


美少女コンテストの2次審査は、安西さんも私も無事に50名に残り通過した…


次回は3次審査(最終審査)。ここを通過した21名に残れればファイナリストとなる。


また安西さんと顔を合わせることになるのが少し憂鬱だった…

※安西 楓 15歳 高校1年生


国民的美少女コンテスト二次審査時


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登場人物紹介

成瀬 紬(なるせ つむぎ)。

物語の主人公。紗絵の姪。内気で気弱。

成瀬 紗絵(なるせ さえ)。紬の叔母。

アーティスト、マルチタレント。

T.Kレコード所属RISE-1のメインボーカル。

山本 登(やまもと のぼる)。山本道場師範。修也の父親。絵里や紗絵の恩師。

山本 千鶴(やまもと ちづる)。修也の母親。

山本 修也(やまもと しゅうや)。のちに紬の幼馴染となる人物。初恋の人は茅ヶ崎 恵美。

沢田 水子(さわだ みずこ)。T.Kレコード会社マネージャー。紗絵の所属するグループRISE-1の担当マネージャー。

茅ヶ崎 恵美(ちがさき めぐみ)。

アーティスト、マルチタレント。紗絵と同じRISE-1のメンバー。紗絵とは親友でもありライバル。

佐々木 虎男(ささき とらお)。ギャング組織での一員。のちに紗絵の舎弟的存在となる。

藤堂 英玲奈(ふじどう えれな)。

美少女コンテストで紗絵が負けた相手。

美少女コンテストグランプリ受賞者。

紗絵より年齢は1つ上。

藤堂グループの令嬢。高飛車で性格は悪い。

安西 楓(あんざい かえで)。紬と修也と同年代で二人が高校生の頃に登場する人物。

紬の恋敵。

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