第175話 初主演ドラマ「サイコ教師」

文字数 2,135文字

5大ドームツアーライブで忙しかった6月。


ドームツアーは成瀬 紬として初めての経験だったけど、無事に大盛況で終えることが出来た。


次に月末には私が主演の学園ドラマ「サイコ教師」というちょっとぶっ飛んだ物語の撮影に入る。


主人公教師の轟 采子(とどろき さいこ)はサイコパス…問題児だらけのクラスを持たされるのだけれど、イカれた方法で生徒達を仲間にしていくという話…



初日の撮影は教室に担任となる私が演じる采子が教室に入ってきて、生徒達に自己紹介からのシーンとなるが、撮影現場で千春ちゃんに会いビックリする…


本人からは何も聞いてなかったし、千春ちゃんがいるとは聞いていなかった…


撮影現場で、収録前に千春ちゃんに挨拶されて気づいた…

この度はよろしくお願いします♪


急遽、生徒役の堂上 美香子(どのうえ みかこ)役となりました。白石 千春です♪


紬さんと共演できるなんて嬉しいです♪

堂上 美香子(どのうえ みかこ)は、最悪なクラスな女子生徒の中でもリーダー格となる女子役だ。結構有名な若手の女優さんが演じるはずだった。
びっくりしたよ!(笑)千春ちゃんの復帰はもうすぐなのは知ってたけど、予定よりはやいね♪


こちらこそよろしくお願いします♪

もともとこの役をするはずだった女優さんが、急な降板があったみたいで、オーディションあったんですよ。


受けたら受かりました♪なので、予定より少しだけ早い私の復帰作です♪


紬さん、この間のドームツアー凄かったですね♪


髪が明るくなってたの凄い似合ってますよ♪


この役の為に髪の毛明るくなってたんですか?

そうだったんだね!でも、ポンってあいた枠にすんなり入ってきちゃうんだから、さすが天才と言われた白石 千春だね(汗)


ありがとう♪ドームツアーは、もともと紗絵ちゃん用に抑えられてただけだからね(汗)


引退しちゃったから、私になっただけだよ(汗)


髪の毛は自分でも結構気に入ってるよ(笑)


そうそう、この役の為に明るくしたんだよね♪


ライブの時からだから、少し早すぎたかもしれないけどさ。


まさか、千春ちゃんと共演することになると思ってなかったから私も楽しみ♪(笑)

いえいえ、私は天才って言葉は嫌いなんで(笑)


私、意地悪な生徒の役なんで、先生のこともいじめて辞めさせようとする役なので、申し訳ないですけど、紬さんに全力で撮影中は意地悪しますからね♪(笑)
そういう役だから、しょうがないよね。


でもね、私もサイコパスな先生の役だから、イカれたことばかりするみたいだから、全力でやり返すからね(笑)

二人でそんな会話をしていると、いよいよ撮影が始まる準備ができた。


私達は呼ばれてそれぞれの位置につく。


私は初めての主演の役づくりをドームツアーの合間やその前からしっかりしてきた。


最初は正直、サイコパスというのが普通の人じゃない、ちょっと異常なので、難しいと思った…


いろんなことを調べて、サイコパスの人の行動や思考もたくさん勉強した。


それを表現するために、紗絵ちゃんに相手になってもらって私のサイコパスぶりも見てもらった。


紗絵ちゃんからは「ヤバイよ、実はサイコパス?」って言われるくらい迫真の演技が出来るようになった。

まさか、この作品で千春ちゃんと共演することになるとは思ってなかったけど、どのみちもうすぐ復帰する予定だった千春ちゃんの復帰が少し早まっただけだ。
セットでとある学校の教室を貸切にしての撮影。


教壇の前に私は立つ…


(さぁ、仮面を被ろう…私は成瀬 紬でも藤堂 紬でもない、轟 采子。サイコパスなイカれた教員になる…)

撮影が始まると私のイカれた教師役がずいぶん型にはまったのか、休憩中千春ちゃんが話しかけてきた。
紬さん…凄い演技上手なんですね(汗)


撮影中、ちょっと怖かったですよ(汗)


本当はヤバい人なんですか?(笑)

私はヤバい人じゃないよ(笑)


演技だよ演技(笑)千春ちゃんこそ意地悪なの上手だよ(汗)演技だよね?

半分演技で、半分素ですよ(笑)


恥ずかしい話、もとは私、こんな感じでしたからね(笑)


紬さんが一番良くわかってるんじゃないですか?(笑)


私、初めて紬さんに出会った時、おばさんって言ってるですよ(汗)本当にすいませんでした(汗)

(懐かしい…今から6年も前の話か…)
ごめん、私そのこと未だに覚えてる(笑)


いや〜千春ちゃんの初めて出会った時と失礼な話そっくり(笑)


謝らなくていいよ♪(笑)あれから、もう6年も経つんだね。


千春ちゃんが大人になったのがよくわかるよ(笑)

そんなぁ(汗)私もそう思いましたけど(笑)


あのとき、紬さんに出会っ出なかったら、今の私はいなかったと思います。


でも、尊敬もしてますけど、私が目指すのは1番なので、次は私が主演とりますからね(笑)

その後休憩が終わるとこの日の撮影は順調に進んだ。


今回、千春ちゃんは急遽の出演。


それにも関わらず、当時、天才と言われた演技力の高さは、まったく衰えてないどころか、磨きがかかっていた…


この先、きっといろんなことを争うことになる未来…


私も負けられない…


お互いに撮影中目が合うことも多かった…


心の中ではきっと負けたくないっていい意味で意識しあえてるのかもしれない…

※成瀬 紬(藤堂 紬)24歳


ドラマ「サイコ教師」主演 轟 采子役

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登場人物紹介

成瀬 紬(なるせ つむぎ)。

物語の主人公。紗絵の姪。内気で気弱。

成瀬 紗絵(なるせ さえ)。紬の叔母。

アーティスト、マルチタレント。

T.Kレコード所属RISE-1のメインボーカル。

山本 登(やまもと のぼる)。山本道場師範。修也の父親。絵里や紗絵の恩師。

山本 千鶴(やまもと ちづる)。修也の母親。

山本 修也(やまもと しゅうや)。のちに紬の幼馴染となる人物。初恋の人は茅ヶ崎 恵美。

沢田 水子(さわだ みずこ)。T.Kレコード会社マネージャー。紗絵の所属するグループRISE-1の担当マネージャー。

茅ヶ崎 恵美(ちがさき めぐみ)。

アーティスト、マルチタレント。紗絵と同じRISE-1のメンバー。紗絵とは親友でもありライバル。

佐々木 虎男(ささき とらお)。ギャング組織での一員。のちに紗絵の舎弟的存在となる。

藤堂 英玲奈(ふじどう えれな)。

美少女コンテストで紗絵が負けた相手。

美少女コンテストグランプリ受賞者。

紗絵より年齢は1つ上。

藤堂グループの令嬢。高飛車で性格は悪い。

安西 楓(あんざい かえで)。紬と修也と同年代で二人が高校生の頃に登場する人物。

紬の恋敵。

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