第164話 おめでとう!!

文字数 1,868文字

月日は流れ…


成瀬 紗絵は惜しまれつつその年の暮れに芸能界を引退した。


続けていれば、まだまだ女王として君臨していたであろう紗絵ちゃんは事務所との契約を再度しなかった。


数々の偉業を成し遂げた、紗絵ちゃんは引退後、入籍し、芸名でもあり本名の成瀬 紗絵から、藤堂 紗絵になった。


今日は紗絵ちゃんの結婚式。


事務所を辞めたとはいえ、沢田さんやRISE‐1の人達をはじめ、お世話になった業界の人達、英玲奈さんや藤堂のグループの会社関係の人等多くの人を呼んだ盛大な挙式となる。


山本家のみんなももちろん来てくれているし、修也も参加しているだけじゃなくて、色々と手伝ってくれる。

英玲奈さんは紗絵ちゃんより一足先に3年前に既に結婚している。


相手は藤堂グループの本社で働く一般人男性。


子供もいる。


今は専業主婦をしており、藤堂 英玲奈から結婚して、佐藤 英玲奈になっている。

紗絵ちゃんとの仲は一度良くなってからはずっと良好で、結婚式一番手伝ってくれたのは英玲奈さんだと思う。
私は、お父さんと紗絵ちゃんが入籍したことで、戸籍上、藤堂 保と藤堂 紗絵の娘、藤堂 紬となった。


同じ苗字になったことは凄く嬉しい。でも、今も昔も紗絵ちゃんとの関係はずっと変わらない。


基本的には家では紗絵ちゃんって呼んでるし、それが子供の頃からのことで当たり前で、そう簡単には変えられない習慣のようなもの。


でも、変えていきたいと思っている。


私も、もう23歳、18歳の成人から5年も経つ大人だ。


今更で少し照れくさいけど、結婚式の今日から、紗絵ちゃんと呼ぶのは終わりにしようと思っている…

私はウェディングドレスに着替えて準備している新婦の控室に入った。
誰かと思ったら、どうしたの?保さんの方行ってあげたらいいのに(笑)
え〜お父さんはいいよ(笑)


結婚式ってさ、新郎より、新婦が主役な感じでしょ?(笑)


入籍もうしてるから、今更だけど、おめでとう!!


お母さん♪いつも綺麗だけど、綺麗だよ♪

ありがとう…紬…


おばさんのウェディングドレス姿だけどね(汗)


30歳前にはなんて言ってたのに、結局34歳になっちゃったよ(笑)

お母さんは美魔女だよ(笑)


全然見た目歳をとらないから私とたいして変わらない歳にしか見えないし(汗)


みんなにも聞かれるだろうけど、秘訣は?(笑)


たまにクセだからさ、紗絵ちゃんって呼んじゃう時も有るかもしれないけど、私は藤堂 紗絵の娘で幸せだよ。
お母さん…なんか照れるね(笑)


秘訣は好きなものを食べて、好きな人達に囲まれて自由に生きること、なんちゃって(笑)


美魔女かぁ…実はこの間白髪を1本発見しました…(泣)


ふと思ったんだけど、せっかく藤堂になったのに、紬が結婚したら、苗字また変わっちゃうじゃん(汗)


よし!修也に婿になれって脅しておこう(笑)

いやいや、脅しておこうって(汗)


この先、わからないよ?(笑)違う人と結婚するかもしれないし(笑)

え〜他の人嫌だな(笑)


だって修也だと弟みたいだし、気を使わないし、義理の息子にふさわしいじゃん(笑)


修也の義理の母親とかなんか嫌だな(笑)


そういう時が来ても紗絵姉って呼ばせよう(笑)


医大出て、研修医、医者ってなったら、保さんも跡継ぎだって喜ぶでしょ?(笑)


まぁ、どうなっても紬が決めることだから、文句言えないけど。

今はまだ、私は結婚とかそう言うの意識しないけど、いつかは私も…


なんて今の紗絵ちゃんの姿をみれば思う。


今日を迎えるまで、藤堂 紗絵になるまでの紗絵ちゃんには色々なことがあった…


全部を知ってるわけじゃないけど、芸能界を引退して多忙ってことはこの先、藤堂 紗絵にはないかもしれない。


ゆっくり出来る機会がやっとやってきた。


引退したばかりで今すぐはできないかもしれないけど、何年も経って女王、成瀬 紗絵が伝説になるときが来ればきっと、そこら辺も普通に散歩できるだろうし、普通の人として暮らしていけるようになるはず。


そしたら、もっと違う世界を見て、もっと楽しく生きていけるはずだよ。


私は今普通の人として、いろんなことを見れる。


お花見、花火大会、紅葉、冬の景色、その他色々。たくさんお父さんと思い出を作ってほしい。


幸せになってねお母さん… 

お祖父ちゃんにお祖母ちゃん、


そして、成瀬 絵里、私のもう一人のお母さんもきっと紗絵ちゃんの幸せ喜んでいるはずだよ。




その後、仲人は千鶴さんが務め、新婦の友人代表は恵美ちゃんが務めた。


お父さんと紗絵ちゃんの結婚式は結構な費用もかかっているのだろうけど、盛大に幕を閉じた。

※藤堂 紗絵(成瀬 紗絵)34歳


結婚式 新婦

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登場人物紹介

成瀬 紬(なるせ つむぎ)。

物語の主人公。紗絵の姪。内気で気弱。

成瀬 紗絵(なるせ さえ)。紬の叔母。

アーティスト、マルチタレント。

T.Kレコード所属RISE-1のメインボーカル。

山本 登(やまもと のぼる)。山本道場師範。修也の父親。絵里や紗絵の恩師。

山本 千鶴(やまもと ちづる)。修也の母親。

山本 修也(やまもと しゅうや)。のちに紬の幼馴染となる人物。初恋の人は茅ヶ崎 恵美。

沢田 水子(さわだ みずこ)。T.Kレコード会社マネージャー。紗絵の所属するグループRISE-1の担当マネージャー。

茅ヶ崎 恵美(ちがさき めぐみ)。

アーティスト、マルチタレント。紗絵と同じRISE-1のメンバー。紗絵とは親友でもありライバル。

佐々木 虎男(ささき とらお)。ギャング組織での一員。のちに紗絵の舎弟的存在となる。

藤堂 英玲奈(ふじどう えれな)。

美少女コンテストで紗絵が負けた相手。

美少女コンテストグランプリ受賞者。

紗絵より年齢は1つ上。

藤堂グループの令嬢。高飛車で性格は悪い。

安西 楓(あんざい かえで)。紬と修也と同年代で二人が高校生の頃に登場する人物。

紬の恋敵。

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