第152話 SONG FOR YOU(リハーサル)

文字数 2,152文字

アトランティックスターズ命名の顔合わせから、梅雨時期は過ぎ、いよいよ熱い夏がやってきた。
アトランティックスターズの5人は学校はそれぞれ夏休みに入ったため、都内に集結し、東京に住んでる千春ちゃん以外は遠征となった。


費用はT.Kレコード事務所が負担する。


一夜限りの成瀬 紬のバックダンサーとして、数曲だけステージに立たせてもらえることになり、振付の練習を連日行っている。

千春ちゃんは出番以外は友達と関係者席でライブを見ることになり、他のメンバー4人も出番までは関係者席でライブを見ることになった。
成瀬 紗絵のスタジアムライブ


SONG FOR YOU〜hot summer〜


本番を明日に控えた前日スタジアムは観客のいない中でリハーサルが行われる。

ライブを一緒に創り上げてくれるスタッフさん達に私はマネージャーとしてアトランティックスターズ引き連れてを挨拶を兼ねてまわった後に、自分もステージでリハーサルするのが、私の今日の仕事。


マネージャー業務の裏方の藤堂 紬と表に立つ成瀬 紬どちらもこなさなければならない。


RISE‐1がリハーサルを行う前にも挨拶をしにいった。


みんな私が知っている昔のRISE‐1の人達のままだった。


紗絵ちゃんが凄く楽しそうで、私まで嬉しくなった。


RISE‐1のみんなと親しげな私に千春ちゃん以外のメンバーは不思議がっていた。


そう、メンバーにはまだ私が成瀬 紬とは知らせていない…


それでいいと思っていた。私はマネージャーの藤堂 紬で構わないと思っていたから。


千春ちゃんだけは知っているから、千春ちゃんは最初少し困惑してたけど、憧れの成瀬 紗絵にあえて凄く喜んでいた。

RISE‐1のみんなは紗絵ちゃん以外、歌手から離れているとはいえ、やはり実力派の元歌手。


みんなでリハーサルをすると当時と変わらない息のあったパフォーマンスを見せる。

アトランティックスターズの5人は嬉しそうに見ている。
私はマネージャー時の地味な格好をやめて、着替えた。


本番に類似の衣装に着替えて、ヘアメイクを受ける。そして化粧もしてもらうと、自分達のリハーサルの順番を待つため、ステージ裏に待機しに向かう。


私が着くと、アトランティックスターズの5人は私に挨拶をした。

はじめまして!アトランティックスターズです!よ、よろしくお願いします!
よろしくお願いします!
よろしくお願いします!
よろしくお願いします!
よろしくお願いします!
よろしくお願いします♪


はじめましてじゃないんだよ♪


みんなのことちゃんと見てたからね♪

私がそう言うと千春ちゃん以外のメンバーはきっと頭の中にクエッションマークが浮かんでいるような表情をしている。
あの、私達のマネージャーさんも紬さんっていうんですけど、挨拶をしたいと思いますので、私呼んできます。
そう言ってリーダーの望結ちゃんが、どこかに行ってしまいそうになったので呼び止めた。
望結ちゃん、大丈夫だよ。


マネージャーさんはここにいるから♪

私がそう言うと望結ちゃんは立ち止まりキョロキョロしている。


千春ちゃん以外のメンバーも周りをキョロキョロしている。

みんな、千春ちゃんは悪くないからね。


私が言わないから、千春ちゃんは勝手に言えないと思って黙ってただけだと思うから。


私、成瀬 紬が、みんなのプロデューサーだけど、私にはもう1つ本名があるんだ。


成瀬 紬もみんなのマネージャーの藤堂 紬も私だよ♪(笑)

私がそう言うと、アトランティックスターズの4人は少し固まった後に騒ぎ出した…
みんなごめんなさい(汗)


私は知ってたんだけど、なんか勝手に言いづらくて…(汗)

他のメンバーは千春ちゃんになんで言ってくれなかったのか問い詰めたり怒ったりもせず、なんだ知ってたのか〜とか、教えてくれればよかったのに〜とか、仲良さそうな感じで、凄く仲の良いグループな雰囲気が伝わってきてよかったと思った。
紬さんはだからRISE‐1の人達とも仲良さそうだったんですね(笑)


私達とここにいていいんですか?


久しぶりにあったRISE‐1の人達とか、成瀬 紗絵といっぱい話ししたいんじゃないですか?


凄く仲良さそうだったじゃないですか?

そうメンバーの由紀ちゃんが言うと他のメンバーも頷く。
そうだね〜確かにそういう気持ちはあるよ。


RISE‐1の人達は私の小さな頃からのあこがれの人達だしね。


でもね、みんなも浮ついちゃう気持ちもわかるけどね、私は今、歌手の成瀬 紬としてリハーサルをするんだよ。


あそこにいる人達と同じ場所に私達も立つ。


だから、プロとしてみんなもあこがれるよりも、より良いライブになることだけを考えて一緒に頑張ろう♪


スタジアムは広いよ。


アトランティックスターズにとって凄く良い経験になると思う。


私達が見なきゃないのはRISE‐1のリハーサルじゃないよ。


明日埋め尽くされる、観客のみんなの方だよ。

私がそう言うと、アトランティックスターズはみんな引き締まった表情に変わった。
私達がリハーサルを行う順番になり、RISE‐1のみんなとすれ違うとき、挨拶をしながら、すれ違う。


RISE‐1のみんなは笑顔で移動してきたけど、私とすれ違うと、みんなびっくりしていた…


最後にすれ違った紗絵ちゃんに言われた。


「みんなびっくりしてたよ。さすがNo.1だねって…」

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登場人物紹介

成瀬 紬(なるせ つむぎ)。

物語の主人公。紗絵の姪。内気で気弱。

成瀬 紗絵(なるせ さえ)。紬の叔母。

アーティスト、マルチタレント。

T.Kレコード所属RISE-1のメインボーカル。

山本 登(やまもと のぼる)。山本道場師範。修也の父親。絵里や紗絵の恩師。

山本 千鶴(やまもと ちづる)。修也の母親。

山本 修也(やまもと しゅうや)。のちに紬の幼馴染となる人物。初恋の人は茅ヶ崎 恵美。

沢田 水子(さわだ みずこ)。T.Kレコード会社マネージャー。紗絵の所属するグループRISE-1の担当マネージャー。

茅ヶ崎 恵美(ちがさき めぐみ)。

アーティスト、マルチタレント。紗絵と同じRISE-1のメンバー。紗絵とは親友でもありライバル。

佐々木 虎男(ささき とらお)。ギャング組織での一員。のちに紗絵の舎弟的存在となる。

藤堂 英玲奈(ふじどう えれな)。

美少女コンテストで紗絵が負けた相手。

美少女コンテストグランプリ受賞者。

紗絵より年齢は1つ上。

藤堂グループの令嬢。高飛車で性格は悪い。

安西 楓(あんざい かえで)。紬と修也と同年代で二人が高校生の頃に登場する人物。

紬の恋敵。

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