第160話 ブレイク

文字数 1,755文字

人はどこで、いつ、どんなきっかけでブレイクするかわからない…
無名だった成瀬 紗絵はかつて女優として大ブレイクした。


それからの成瀬 紗絵は女王と呼ばれるまで色々あったけど、華々しい活躍を見せ、当時の女優、歌手、モデルとしてどの分野でも、頂点に君臨した。



白石 千春は炎上して悪いイメージがつかないと良いと思っていた頃…



突然の白石 千春のブレイク…秋の終わりにそれはやってきた…
モデルの撮影を終えていたアトランティックスターズ白石 千春初のファッションモデルデビューとなる、10代に人気の雑誌「TEENS」の特集ページに載ると若い女の子からの指示が上がった。13歳とは思えない大人びた白石 千春は男性からも人気が出た。


その勢いのまま、マンガジンの表紙に白石 千春のグラビアが載ると、更に若い人達からの支持を得た。



ネットに性格がクズだとか、人を見下した態度ばかりとっているとか、性欲が凄いとかヤリ◯ンとかその他色々なことが書かれ、炎上した白石 千春のアトランティックスターズ公式ページ…


そのことが嘘のように、風向きが変わった…

そして、白石 千春はその勢いのまま、CM契約本数等も徐々に増え、春になる頃には成瀬 紗絵に次ぐ2番手の位置につけ次世代女王と呼ばれるようになった。


かつて成瀬 紗絵が出ていたドラマの現代リメイク版のドラマ「青春ピンク・ブルー」に出演をはたす。


当時の成瀬 紗絵の演じた橘 美希役を現代版では白石 千春が務めた。

千春ちゃんは、当時の私と同じ年齢にも関わらず、さすが頭の良い聖心中の成績上位者なだけあって、セリフも完璧に覚えてきて、撮影でもNG等ほとんど出すことがない…


現場にいた当時を知るスタッフさんは成瀬 紗絵の再来だと言っていた…


十数年前の撮影現場の紗絵ちゃんの様子を当時6歳くらいの私や、まだ赤ちゃんなんじゃないかくらいなはずの千春ちゃんも、もちろん知らない…


私は千春ちゃんのいろんな撮影にマネージャーとしてどの現場も付き添っていたが、モデルの撮影時も初めてとは思えない立ち振舞、グラビアの撮影のときも落ち着き、現場のスタッフさん達が驚いていたくらいだ…


そして今回のドラマの撮影… 


でも、私は知っている…白石 千春がどれだけ影で血の滲むような努力をしているのかを…


誰よりも早くレッスンに来るし、誰よりも遅く帰る。そして撮影現場にもスタッフさんよりも早く行きたがる…努力家。


モデルの撮影が決まったとき、千春ちゃんは私の家に泊まり込でレッスン以外にも毎日モデルのことに関して勉強しに来た。


家で紗絵ちゃんに会えたときには、紗絵ちゃんにもアドバイスをもらった。


グラビアのことは全然わからないので紗絵ちゃんの知り合いの元グラビア出身のタレントさんに色々教えてもらいに千春ちゃんとその人の所に休みの日に通った。

修也とは休みの日にデート出来なくなるけど、修也は「仕事なんだから」なんて言って寂しがる気配もないので、千春ちゃんは私の休みまで無くなるの心配したけど、一緒に付き添った。
ドラマの撮影に関しては、かつてその役だった紗絵ちゃんから、直々に指導を千春ちゃんは受けた。
そして、白石 千春の人気急上昇と共にアトランティックスターズも曲を出すと主題歌に抜擢されるようになり、オリコンシングルランキングでは出す曲がトップ5位以内に入るようになる。


それに伴い他のメンバーの番組の出演も増えていった。

一時期はどうなるかと思ったけど、忙しくなったアトランティックスターズ。


でも、忙しくなるに連れ若干14歳になったばかりの中学2年生の千春ちゃんにグループの色々な重圧がかかってしまっていることや休みなく若さだけでがむしゃらに頑張り、平然を装い疲れを見せない、千春ちゃんが疲弊していることに私達は気づけずに進んでいくことになる…

※アトランティックスターズ 白石 千春 13歳 中学1年生


10代人気ファッション雑誌「TEENS」モデル撮影時

※アトランティックスターズ 白石 千春

13歳 中学1年生


マンガジン表紙グラビア撮影時

※アトランティックスターズ 白石 千春

14歳 中学2年生


リメイク版ドラマ「青春ピンク・ブルー」


橘 美希役


ドラマ主題歌 アトランティックスターズ


「青春ハリケーン」オリコンシングルランキング初登場第3位

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登場人物紹介

成瀬 紬(なるせ つむぎ)。

物語の主人公。紗絵の姪。内気で気弱。

成瀬 紗絵(なるせ さえ)。紬の叔母。

アーティスト、マルチタレント。

T.Kレコード所属RISE-1のメインボーカル。

山本 登(やまもと のぼる)。山本道場師範。修也の父親。絵里や紗絵の恩師。

山本 千鶴(やまもと ちづる)。修也の母親。

山本 修也(やまもと しゅうや)。のちに紬の幼馴染となる人物。初恋の人は茅ヶ崎 恵美。

沢田 水子(さわだ みずこ)。T.Kレコード会社マネージャー。紗絵の所属するグループRISE-1の担当マネージャー。

茅ヶ崎 恵美(ちがさき めぐみ)。

アーティスト、マルチタレント。紗絵と同じRISE-1のメンバー。紗絵とは親友でもありライバル。

佐々木 虎男(ささき とらお)。ギャング組織での一員。のちに紗絵の舎弟的存在となる。

藤堂 英玲奈(ふじどう えれな)。

美少女コンテストで紗絵が負けた相手。

美少女コンテストグランプリ受賞者。

紗絵より年齢は1つ上。

藤堂グループの令嬢。高飛車で性格は悪い。

安西 楓(あんざい かえで)。紬と修也と同年代で二人が高校生の頃に登場する人物。

紬の恋敵。

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