第104話 二人の叔母

文字数 1,997文字

次の日


今日は紗絵ちゃんは朝から経過のチェックやお父さんからの説明が色々あるらしく、私は途中で抜け出した入学式以来、数日経ってしまったが学校に初めて登校する。


登下校、自分で行くのに何も問題はないのに、朝マンションの下に酒井さんが待っていた。

おはようございます。紬様。お送りさせて頂きます。お乗り下さい。
え?全然、歩きでもバスでも電車でも行けるので、大丈夫ですよ(汗)
(運転手付きで、リムジンなんか乗って学校に行ったら、なんか友達出来なさそうだし…)
申し訳ございませんが、旦那様に申し付けられてますので、私もここは引くわけにはいかないんです。
あの〜じゃあ学校の近くまでで、降ろしてもらうとかでもいいですか?


なんか、ちょっとお嬢様みたいなことは私には向いてないので…


帰りは迎えとかまさかないですよね?!

一応、紬様に呼ばれたらでいいと帰りは言われておりましたが、必要なときは呼んでいただければと思います。
帰りは大丈夫です(笑)


色々とあれしてこれしてとかしてたら、時間も分からないですし(笑)

承知いたしました。
酒井さんがドアを開けてくれて車に乗ると学校に向かう途中、車の中のテレビに美少女コンテスト開催の予告が流れた。
(懐かしいなぁ。昔おばあちゃんにわがまま言って勝手に紗絵ちゃんのこと応募したっけなぁ。英玲奈さんが当時のグランプリ受賞者であんな奴に負けたとか言って悔しがってたなぁ(笑))
そんなことを思いながら車内のテレビを見ていると酒井さんに言われた
今年あるんですね。昔、英玲奈お嬢様をその美少女コンテストでしたっけ?


送り迎えしました。英玲奈お嬢様と紗絵さんはそこで確か、競い合ったんでしたね。


どちらも紬様にとっては叔母にあたります二人が、グランプリと準グランプリなんて、そうそうあることなかなかないことですよね。


紬お嬢様も出場されてみてはいかがですか?


英玲奈お嬢様と紗絵さんどちらとも血のつながっている紬様であれば、優勝するのではないですか?

そんな事無理ですよ(笑)英玲奈さんも紗絵ちゃんも血は繋がっていますけど、どちらも私とは別格な人達ですから。


偉大すぎて自分が惨めになるだけです(笑)


それに、私は今一応、事務所に所属してるので、勝手に出場なんてできないですよ。

そういうことがあるんですか。何も知らずに失礼いたしました。
いえいえ、気にしないでください。


そういえば英玲奈さんはもう女優業は辞めてしまったんですか?


最近テレビにも出てないですし、姿をほとんど見ないので。

そうですね。私から聞いたとは言わないで頂きたいのですが、英玲奈お嬢様がそもそも芸能人になりたいともともと思っていなかったのは存じていますか?
はい。知ってました。
英玲奈お嬢様がかつて美少女コンテストに出たのも、女優になられたのも、全ては紗絵さんの邪魔をするためなんです。


何でかと言えば、先代の旦那様のお父様が旦那様に娘がいるということを隠そうとしたからです。


でも、紗絵さんは先代と英玲奈お嬢様の横やりに負けずに飛躍し続けました。


途中で諦めたんだと思いますよ?


だから、もう女優として英玲奈お嬢様が活動することはないと思います。


紬様の邪魔なんてしたら、旦那様が今は藤堂グループのトップなわけですから、どうなるかわかっているでしょうし、英玲奈お嬢様にも先代にも、もうそんな力はないのでご安心ください。

英玲奈さんと紗絵ちゃんが仲良くなったらいいと私は思うんですけど、どう思いますか?


親戚なわけですし。

私も詳しくはわかりませんが、二人がいくら親戚であったとしても、お互いになんと言いますか歩み寄るタイプには見えないので、なかなかそういうわけにもいかないんじゃないでしょうか?


今までどちらかと言うとお互いに敵対し合って来たわけですしね…

酒井さんの言っていることに納得してしまった…


私の叔母二人はどちらも嫌いな相手に確かに歩み寄るタイプではない…



私の勝手なイメージだけど、英玲奈さんは会長やお父さんには弱いけど、高飛車で気が強く、気性が少し荒い…


紗絵ちゃんは、外面はいいけど、突っかかってくる人にはとことん対抗心を燃やすし、もともとヤンキーだから本性は気性が荒い…


ぶつかり合って当然かなと思った…

学校の近くで車を降りて、歩きで着くと、私のいない何日かで、ある程度グループが出来ていたり、芸能コースだからか、周りと関わらず自分の世界に入っている人とかも多く、1人でいてもあんまり私が浮いているというようなこともなく、少し同じクラスの人と話したりもしたけど、高松中学校にいたときが一番楽しかったなぁってみんなのことを思い出していた。
学校帰りは、申し訳ないけど車は呼ばないで、紗絵ちゃんに必要なものを色々見て、病院に行こうと思ったら、違う学校の制服の人が校門の前にいて、通る人にジロジロ見られているなぁと思ったら、近くなると誰かわかった…


安西さんがいた…

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登場人物紹介

成瀬 紬(なるせ つむぎ)。

物語の主人公。紗絵の姪。内気で気弱。

成瀬 紗絵(なるせ さえ)。紬の叔母。

アーティスト、マルチタレント。

T.Kレコード所属RISE-1のメインボーカル。

山本 登(やまもと のぼる)。山本道場師範。修也の父親。絵里や紗絵の恩師。

山本 千鶴(やまもと ちづる)。修也の母親。

山本 修也(やまもと しゅうや)。のちに紬の幼馴染となる人物。初恋の人は茅ヶ崎 恵美。

沢田 水子(さわだ みずこ)。T.Kレコード会社マネージャー。紗絵の所属するグループRISE-1の担当マネージャー。

茅ヶ崎 恵美(ちがさき めぐみ)。

アーティスト、マルチタレント。紗絵と同じRISE-1のメンバー。紗絵とは親友でもありライバル。

佐々木 虎男(ささき とらお)。ギャング組織での一員。のちに紗絵の舎弟的存在となる。

藤堂 英玲奈(ふじどう えれな)。

美少女コンテストで紗絵が負けた相手。

美少女コンテストグランプリ受賞者。

紗絵より年齢は1つ上。

藤堂グループの令嬢。高飛車で性格は悪い。

安西 楓(あんざい かえで)。紬と修也と同年代で二人が高校生の頃に登場する人物。

紬の恋敵。

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