第94話 青い瞳の理由(わけ)

文字数 2,416文字

紬は今は学校はどこに通ってるんだい?
私は、港区の高松中です。
仲の良い友達はいるかな?
はい…
じゃあ中学校を卒業してからでいいんじゃないのか?


さすがに私が父親だとしても、中学校転校してまで、今すぐは紬にとっても大変なんじゃないかな?


ここは中野区だよ。港区の学校のままはさすがにきついんじゃないかな?


私は構わないけど、受験生なんだろ?


高校からの方が紬のためになりそうな気がするけど?


まぁ、紬の意見も尊重するべきだと思うし、紗絵さんの意見も聞いて、そこはどうするか決めていければいいと思う。

はい…
あ、話は変わりますけど、紗絵さん、紬が私の娘だということは、私には親父や妹もいるので、親戚ですね。


妹は芸能界にいるらしいので、紗絵さんはお知り合いですか?

私も紗絵ちゃんも英玲奈さんのことを思い浮かべ、うってなった…
英玲奈さん知ってますよ…(笑)


最近はあんまりお仕事して無いようで、全然会わなくなりましたけど…


保さんは何か存じてますか?

そうでしたか。二人は知り合いでしたか。


あいつは友達少ないんで仲良くしてやってください(笑)


兄だからひいき目で見てるわけじゃなくて、根は悪いやつじゃないんですよ(笑)


最近は、親父の仕事に動向することが多いのかもしれませんね。


秘書的な感じですかね。

(英玲奈さん…友達少ないの納得…)


紗絵ちゃんを見ると、きっと同じこと考えてそうな表情…

保さん。怒らないで聞いてくださいね。ご家族のことなので気分を概したら申し訳ないんですけど、紬がお姉ちゃんと保さんの娘だと英玲奈さんも会長も知っていますよ…


推測でしかないですけど、保さんは藤堂グループの御曹司だから、別れさせるためや娘がいるということを保さんに知られたくなくて、会長が当時急に留学させたんじゃないですか?


英玲奈さんは色々と知ってますよ。


そして、藤堂には多分、お姉ちゃんも私も紬も嫌われてます。

その話を聞いてお父さんはびっくりしていた…
私は何も知らずに、のうのうと生きてきてしまいました…


親父や英玲奈が結託しているということですか?


私が医者になるために急遽決まった留学で向こうで最先端の医学を学んでこいと当時言われましたけど、よく考えたら中学3年生の私に最先端の医学を学べなんておかしいですよね…



あくまで証拠があるとか、当時のことなので、私もわからないので、憶測でしか話してないのでなんとも言えませんが…
あの、私が突然アメリカに行ってしまって、絵里はどうしていたのですか?
ざっくりですが、お姉ちゃんは妊娠したことを最初隠してました…


お姉ちゃんの妊娠に最初に気づいたのは私で、夜、つわりでトイレで吐いていたのを私が見てしまったことがきっかけでした。


両親には内緒にしてほしいと言われて、私は秘密を守りました…


中絶することができなくなった頃にお姉ちゃんは両親に妊娠していることを話して、お父さんと喧嘩になりました。


そして、誰にも父親が誰なのかは言いませんでした。


私が父親が保さんだと知っていたのは、お姉ちゃんがなくなる前に私にだけ教えたからです…


お姉ちゃんは保さんの家柄は大変な人だから、言わなくて良いって言ってました。


会長と英玲奈さんは何故この事を知っているのか私には分かりません。


もしかしたら、会長か英玲奈さんにお姉ちゃんは会ったことがあるのかもしれませんし…

もし、私が当時その事を知っていたら、留学にも行ってなかったでしょうし、ちゃんと責任は取りましたよ…


私はよく絵里に言っていたんです。藤堂の家なんて継ぎたくないって…


藤堂グループの跡取りとして育てられましたのでお金には困らないかもしれませんが、親父が事業で汚い事をして会社をデカくしていることや、母親を追い出したこと、私は全てが気に食わなかったんです…


藤堂なんて捨てて、普通に暮らしたいと絵里に私は言ったら、駄目だよってよく言われてました…


私と英玲奈の母親はフィンランド人なんです。だから、私の目は青い。英玲奈はそんなことないんですけどね、紬の目も青いですよね。


日本人だけの血ではないということがわかりますよね。

(そうだったんだ!もう一人のおばあちゃんはフィンランド人だったのか!だからなのか…)
私も自分の目が青いことは何でなんだろうって思ってた。誰にも言ったことはないし、聞いたこともない…


成瀬家のおじいちゃんもおばあちゃんも青くないし、お母さんに紗絵ちゃんも青くない…


お父さんのほうなのかな、なんて思ったこともあったけど、今日最初この部屋でお父さんをみたときにそれはなんとなく気づいた…


DNA鑑定しなければ確実なことは言えないかもしれないが、お父さんと私は青い目をしている…

11年前ということは、20歳だと思いますけど、絵里は中学卒業後、紬をずっと育てて高校は行けなかったのですか?


絵里は頭も凄く良かったですよね。中学生の頃いつもテストで1番は絵里で2番が私でした…

(お母さんが凄かったっていうのは紗絵ちゃんからよく聞かされていて知っていた。お母さんが1番でお父さんが2番なのに、私に頭脳派遺伝してないけど…)
お姉ちゃんは高校に行きましたよ。横浜学院高等学校です。


高校では1番ではなくても、5番以内には必ず入っていたみたいですよ。


大学も受験しましたよ。お姉ちゃんは東大に現役でうかりました。


でも、病気が原因で大学には通いませんでした…

そうでしたか…


留学なんてしなければ、私も横浜学院高等学校を受験するはずだったんです…


進路希望調査で同じ高校に行こうと当時付き合っていた私達は約束しました…


絵里は一人で頑張ってたんですね…


私は何をしてたんですかね…


1人だけ何も知らないで、こんな歳になってしまって、絵里が亡くなったことも知らず、最期とのときすら、側にいてあげることも出来ず、娘の存在すら知らなかった…


本当にすいません…

お父さんはそう言って必死に涙を堪えていた…
※成瀬 紬 15歳


藤堂グループの経営する総合病院にて

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登場人物紹介

成瀬 紬(なるせ つむぎ)。

物語の主人公。紗絵の姪。内気で気弱。

成瀬 紗絵(なるせ さえ)。紬の叔母。

アーティスト、マルチタレント。

T.Kレコード所属RISE-1のメインボーカル。

山本 登(やまもと のぼる)。山本道場師範。修也の父親。絵里や紗絵の恩師。

山本 千鶴(やまもと ちづる)。修也の母親。

山本 修也(やまもと しゅうや)。のちに紬の幼馴染となる人物。初恋の人は茅ヶ崎 恵美。

沢田 水子(さわだ みずこ)。T.Kレコード会社マネージャー。紗絵の所属するグループRISE-1の担当マネージャー。

茅ヶ崎 恵美(ちがさき めぐみ)。

アーティスト、マルチタレント。紗絵と同じRISE-1のメンバー。紗絵とは親友でもありライバル。

佐々木 虎男(ささき とらお)。ギャング組織での一員。のちに紗絵の舎弟的存在となる。

藤堂 英玲奈(ふじどう えれな)。

美少女コンテストで紗絵が負けた相手。

美少女コンテストグランプリ受賞者。

紗絵より年齢は1つ上。

藤堂グループの令嬢。高飛車で性格は悪い。

安西 楓(あんざい かえで)。紬と修也と同年代で二人が高校生の頃に登場する人物。

紬の恋敵。

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