第173話 成瀬 紬の決意!!

文字数 2,462文字

しばらく表舞台からは消え、裏方の職員をしていて、空白の期間があってしばらくあいた私の歌手人生。


今回の新曲は私は作詞は自分で担当しない。


再び始まった第二の芸能生活、ついにミュージックビデオやレコーディングを終え、5月になると5thシングルとなる「ここにいるから」が発売されると、オリコンシングルランキングは初登場第1位を記録した。


自分でも驚いた…


久しぶりだし、所詮世間からしたら、私は過去に成瀬 紗絵の娘としてタレント活動や歌手活動をしてるに過ぎないとしか思われてないと思っていたのに、成瀬 紗絵の引退した今、それでも多くの人が共感してくれたことが嬉しかった。


もちろん、たくさん批判の声もあった…


突然いなくなったくせにとか、辞めたり戻ってきたり気分屋だとか、所詮親の七光りとか…


でも、多くのアンチの人と同時に、私はたくさんの人が応援してくれていることも、再度知ることが出来た。


私は事務所との契約はたったの2年…


復帰した今年と来年がとりあえず事務所から提示された契約の年数…


紗絵ちゃんと違って私には長い年数の契約を事務所が提示来てこなかった理由は自分でもわかってる…


紗絵ちゃんは復帰して2年くらいはアーティストとしてのみの活動が中心だったけれど、もともとモデルや女優でも売れていたマルチタレント、モデルには復帰することはなかったけれど、復帰して3年目からは、昔みたいに女優として数々の名作でも主演を努めた。


私は女優業で主演を努めたこともなければ、モデルとして雑誌の表紙も飾ったことはない…


アーティストとしてはそれなりのヒット曲は持っている…でもそれは過去のことで成瀬 紗絵という目標やお手本がいたから…


今度は、私が白石 千春の目標やお手本になりたいと思うし、なるためには、結果が欲しかった…


今回、復帰後、曲が売れたのは励みにもなったし、自信にもつながった。


私は再び手にした勢いで、このまま頂上まで行く!!そして、そこで天才と言われた白石 千春を待つ!!

決意を決めると、ずっと、昔からあまり縁のなかった女優業で来ていたオファーも受けた。


主演ではないけれど、復帰してすぐに助演の役のオファーが来ていたのは有り難い。



私に来ていたオファーはドラマの助演役。


新米の女刑事役だ。


オファーを受けたことをその日、家に帰ると紗絵ちゃんと話す。

私、復帰してすぐだけど、新米の女刑事役もらったんだ♪
良かったじゃん♪でも、シングルの売上も復帰してすぐ、1位だったね♪


この間テレビで見たよ♪


私も若かったらなぁ〜(笑)

歳を重ねてもベテランさんだっていっぱいいるよ?


今からでも遅くないんじゃない?(笑)

いいのいいの。今日、恵美の家に遊びに行ってきたんだけど、楽しかったよ♪


いや〜御互いにもう35歳だよ。私達知り合ったの10歳の時だからね(笑)


そういえば、女優業は前はそんな前向きじゃなかったのに、今回はやるの?

今回はやるよ。私は事務所との契約が2年だから、歌手も女優もやるよ。


私は、昔って言っても、もう10年以上前になるよね(汗)お母さんと一緒に出演したガンダムPEACEが私にとっての1番の大役で、それ以来は女優業は、ん〜って感じだったからね(汗)


才能ないのかな?(泣)

あるよ。自分で気づいてないだけ。


あの頃と違って、紬は大人になったし、歌手としてはやめる前は色々な賞をとって一流になった。


人の心に残る、感動、夢を与えるのは、歌手だけじゃないと思う。


女優業の場合は役があるから、普段の自分では駄目なだけ。


歌手で普段の自分でアーティストとして一流なら、その表現力や人に何かを伝えようと歌う力はあるわけだから、上手く役になりきれれば、上手くいくと私は思うけどね。

私、その上手く役になりきるっていうのが、よく出来ないみたいで…


主演作がないわけだよね(汗)

そこが、天才と言われた白石 千春との違いなんだね〜(笑)


まぁ、あくまで私の見解でしかないけど、女優業での演技力はあきらかに千春ちゃんに分があるよね〜。


歌手としてなら、紬に分があるかな。


となると、引き分けなわけだ(笑)


千春ちゃんまたグラビアやるのかな?紬と千春ちゃんがグラビア対決?プッ(笑)

紗絵ちゃんがグラビアの部分はちょっと馬鹿にしたように言った…
わ、私だって、結構スタイルいいんだからねっ!
ごめんごめん(笑)でも、グラビア対決は冗談なんだけどさ、モデルで対決したとしたら、千春ちゃんかな。


そうなると2勝1敗で、千春ちゃんが新女王で〜す♪ってことになるね(笑)

私は、全部勝つつもりだよ。新女王の称号は私が受け継ぐ。


千春ちゃんと仙台にいたときにお揃いのピアス買ったんだ。


私は千春ちゃんを妹みたいに思ってるし、千春ちゃんは私を姉みたいに思ってくれてる。


だからこそ、負けられないんだよ。

そっか。随分優秀な姉妹だこと(笑)


じゃあさ、例えばの話だけど、成瀬 絵里と成瀬 紗絵がどちらも芸能界にいたとして、どちらが売れてるかとか勝ち負けつけなきゃないとしたら、紬はどっちが勝つと思う?

そんなの結果は見えてるよ。成瀬 紗絵が勝つよ。だって女王だよ。誰も勝てないよ。


成瀬 絵里は無名のままだよ。

それはないかな。私はきっと負けてたよ。


女王は成瀬 紗絵じゃなくて、成瀬 絵里だったって思うんだよね。


お姉ちゃんの実の娘の紬は私に勝ったでしょ。


女優業、1つだけヒントになるかわからないけど、自分とは違う仮面をかぶりなさい。


仮面を被るっていうのは目に見えない仮面。


感覚でしかない話。


成瀬 紬と白石 千春の今後、楽しみにしてるね♪

そう言うと紗絵ちゃんはお風呂沸いたから、またね〜♪とか言って脱衣所へ行ってしまった…
(姉妹の話で紗絵ちゃんが何を言いたかったのかよくわからないけど、仮面を被るっていうのは、勉強してみよう…)


千春ちゃんは夏には復帰することが決まったらしく私に連絡をよこした。


ニュースでは、私の復帰のときより「夏に消えた天才白石 千春の復活」みたいな報道がたくさん流れていた…

※成瀬 紬(藤堂 紬)24歳


芸能界復帰後自宅にて

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登場人物紹介

成瀬 紬(なるせ つむぎ)。

物語の主人公。紗絵の姪。内気で気弱。

成瀬 紗絵(なるせ さえ)。紬の叔母。

アーティスト、マルチタレント。

T.Kレコード所属RISE-1のメインボーカル。

山本 登(やまもと のぼる)。山本道場師範。修也の父親。絵里や紗絵の恩師。

山本 千鶴(やまもと ちづる)。修也の母親。

山本 修也(やまもと しゅうや)。のちに紬の幼馴染となる人物。初恋の人は茅ヶ崎 恵美。

沢田 水子(さわだ みずこ)。T.Kレコード会社マネージャー。紗絵の所属するグループRISE-1の担当マネージャー。

茅ヶ崎 恵美(ちがさき めぐみ)。

アーティスト、マルチタレント。紗絵と同じRISE-1のメンバー。紗絵とは親友でもありライバル。

佐々木 虎男(ささき とらお)。ギャング組織での一員。のちに紗絵の舎弟的存在となる。

藤堂 英玲奈(ふじどう えれな)。

美少女コンテストで紗絵が負けた相手。

美少女コンテストグランプリ受賞者。

紗絵より年齢は1つ上。

藤堂グループの令嬢。高飛車で性格は悪い。

安西 楓(あんざい かえで)。紬と修也と同年代で二人が高校生の頃に登場する人物。

紬の恋敵。

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