第166話 新生活と再会

文字数 1,891文字

私の新天地での新生活が始まった。


仙台駅のすぐ近くのマンションに引っ越し、T.Kアカデミー仙台校への初出社。


もちろん、周りは知らない人だらけ…


初日、気を使って疲れ果てて、早く家に帰りたいのに、この後、私の歓迎会があるらしい…


正直早く家に帰りたいのに…


自分の歓迎会なので断るわけにもいかず、もちろん半強制参加状態…


1日中気を使い続けた、私が一人暮らしするマンションに帰ったのは日付が変わってから…


明日も朝は普通通りに出社しなければならない…

修也から、メールで仙台初日どう?ってメールが来ていたので、「疲れた…歓迎会があって今帰ってきた。明日も朝早いから、死にそう」と返事を返した。
初めての一人暮らし…


知らない環境はなんかちょっと落ち着かない…

紗絵ちゃんはいつまでも私のことが子供の頃のままなのか引退して暇なのか解らないけど、毎日たくさんメールを送ってくる…


「私、もう23歳だよ?いつまで心配してるの(笑)」ってここ最近は返事そればかり、送っている気がする…

数日過ぎて、転勤してきてから初めての休日…


私は城西高等学校を訪れた。


千春ちゃんの母親から言われていた、千春ちゃんがいる学校。


今は高校3年生なはず。


元気にしてるかな?


一応、勝手に入るのも不審者に思われたくないので、職員室に行き、東京にいた頃、冬月 千春が所属していたアトランティックスターズのマネージャー兼プロデューサーだったものですと名乗ると、学校の先生が、首から下げる来客と書かれたカードのようなものを持ってきてくれて、それを首から下げて自由に校内を見ていいですよと言われたので、ウロウロしていると、ちょうどお昼休みのようで、食堂にはたくさんの生徒達がいて賑わっていた。

千春ちゃんは旧姓白石 千春。両親が離婚しているので、今は冬月 千春。


だから、職員室では冬月 千春と言った。

食堂で友達と楽しそうにお昼を食べている、千春ちゃんらしき人を見つけた。


私が知っている白石 千春は金髪じゃないけど、似てる…


人違いだったら、どうしよう…話しかけづらい…


ラーメンをお盆で持った男子生徒に話しかけられた。

新しい先生とかですか?


迷子ですか?

いえ…迷子ではないです。
もしかして学食のメニューの買い方わからないんですか?


案内しますか?

そういうわけじゃないです(汗)
私がその男子生徒と話していると金髪の女子が男子生徒を呼んだ。
龍一、早く。私のラーメンのびるじゃん。


誰その人?

ごめん、千春。新任の先生かと思ったら違うみたいなんだ。


まよってるのかなと思ってさ。

(今、千春って言った?!やっぱり千春ちゃんなの?)
男子生徒はラーメンを運んでいくと向かいの席に座って、自分の分を食べ始めた。
私もその近くに一人で座った。


すると千春ちゃんかもしれない女子生徒が言った。

え?!紬さん?!何でいるの?!
(え?千春ちゃん?私のこと思い出したの?!)
千春ちゃんだよね?久しぶり♪思い出したの?


私のことわかるの?

はい…ちょっと前に思い出しましたよ。


でも…東京には戻らず、高校生活はここで過ごしたいと思ってました。


お母さんにも私が記憶が戻ったことは誰にも言わないでって言ってたので。


お久しぶりです…

思い出してよかったって言っていいのか、駄目なのかわからないけど、とりあえず、楽しく過ごしてるならよかったよ♪


私ね、1年間、転勤でT.Kアカデミー仙台校の職員。


今日学校終わったら時間ある?嫌じゃなかったら、色々お話しない?

そうだったんですね。仙台案内しますか?


私、前の記憶も思い出しましたし、こっちに来てからのこともありますし。


色々私も話したいことあります。


いいですよ♪
千春ちゃんと話していると、周りの人からはあの人誰だろうと言われているのか、なんとなく伝わってくる…
電話番号変わってない?私は当時と変わってないから、学校終わったら連絡待ってるね♪
そう伝えると、私は、食堂を後にした。


(千春ちゃん、元気そうにしててよかった。なんか美味しいものをごちそうしてあげよう♪)


職員室により、お礼を言って、首からぶら下げていたカードを返すと、私は学校を出た。


新生活の用品は全て揃っていたので、特に買い物をする必要もない。


特にすることもなく、なんとなくカフェに寄った。


記憶の戻った千春ちゃんと話をするのが凄く楽しみだ。

(そう言えば千春ちゃんは3年生なんだよな。この先どうするんだろう?何から話そう?)


色々と考え事をしながらカフェで時間を潰し続けること数時間。


私のスマホの着信がなった。


千春ちゃんも番号変わってなかったんだ…


私のスマホには当時、登録した白石 千春と着信者の名前が表示されていた…

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登場人物紹介

成瀬 紬(なるせ つむぎ)。

物語の主人公。紗絵の姪。内気で気弱。

成瀬 紗絵(なるせ さえ)。紬の叔母。

アーティスト、マルチタレント。

T.Kレコード所属RISE-1のメインボーカル。

山本 登(やまもと のぼる)。山本道場師範。修也の父親。絵里や紗絵の恩師。

山本 千鶴(やまもと ちづる)。修也の母親。

山本 修也(やまもと しゅうや)。のちに紬の幼馴染となる人物。初恋の人は茅ヶ崎 恵美。

沢田 水子(さわだ みずこ)。T.Kレコード会社マネージャー。紗絵の所属するグループRISE-1の担当マネージャー。

茅ヶ崎 恵美(ちがさき めぐみ)。

アーティスト、マルチタレント。紗絵と同じRISE-1のメンバー。紗絵とは親友でもありライバル。

佐々木 虎男(ささき とらお)。ギャング組織での一員。のちに紗絵の舎弟的存在となる。

藤堂 英玲奈(ふじどう えれな)。

美少女コンテストで紗絵が負けた相手。

美少女コンテストグランプリ受賞者。

紗絵より年齢は1つ上。

藤堂グループの令嬢。高飛車で性格は悪い。

安西 楓(あんざい かえで)。紬と修也と同年代で二人が高校生の頃に登場する人物。

紬の恋敵。

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