第150話 白石 千春のグループを作れ

文字数 2,299文字

日々のレッスンを受ける中で、現役を少し離れた私も少しずつ、感覚が戻り始めていた。


ボイトレのレッスンでも千春ちゃんと被ることも多かったけど、白石 千春はやはりダイヤモンドだったということを思い知らされた。

本人が人の倍努力する姿勢もあるのだろうが、初めて千春ちゃんの歌声を聞いたカラオケでの対決の時、中学生にしてはレベルの高い歌唱力だとは思ったけど、高音の領域になると息苦しいのか少し素人感があの時は出ていた。


ボイトレを重ねた結果、今、白石 千春は高音に息苦しさを感じさせないキレイな声を出せるようになっていた。

千春ちゃんの凄い所は学校が終わると一目散にレッスンに来るのか、ひとより早く来て、自分なりに練習してるだけじゃなくて、優秀な子が多い聖心中の中でも成績上位者を維持したままらしい。
アカデミー内でも講師の人達に成瀬 紗絵や茅ヶ崎 恵美以来の期待の星と言われるようになり始めていた。
私は上層部に呼ばれ、応接室に入る…


(なんかやらかしたかな、なんか私ヤバいことしたかな…)


不安に思いながら、上層部の人達が話すのを待つ…


言われたことは、白石 千春を成瀬 紬プロデュースのグループでデビューさせたいから、アカデミーの他校も視察に行って白石 千春のグループを作れと言われた。


私はこの日から仕事が雑務中心から、グループのメンバーを見定めるため各地の他校の視察と、紗絵ちゃんのライブに参加するためのレッスンへと変わった。


他校に行った時は、他校でレッスンを受けた。


普通の会社員とは違って、視察して、職員の名札を首からぶら下げて、人をジロジロと見定めているのに、途中から、レッスンに混ざったり、異色な私の仕事の様子に他校の人達は、少し困惑していた…



職員や講師の人達には知らされているが、生徒達には他言しないようにと説明されているため、生徒達に私が新グループ立ち上げのためにメンバーを選びに来ているとは知らされていない。

視察しながら、他校からも何名かリストアップし、一緒にレッスンを受けるので間近で、観察して候補者を絞り込むことも出来た。
東京のT.Kレコード事務所に戻って来ると、リストアップした人達をグループの絞り込みをしながら、一人でディスクデフラグ悩んでいると、時計を見るとレッスンの時間…


ヘトヘトになりながらも、成瀬 紬としてはカッコ悪い姿を見せられないので、シャキッとして、レッスンを受けに行く…

今日は同じ時間に千春ちゃんがいたので、早く来ていた千春ちゃんに話かけた。
こんにちは♪今日も早く来て頑張り屋さんだね♪
はい!若いので体力ありますから(笑)


紬さんは大丈夫ですか?少し疲れていそうですけど?

(遠回しに嫌味か?(汗)悪気があって言ってるようには見えないけど…)
大丈夫大丈夫。ちょっと連日他県のアカデミーに視察ばっかりでさ(汗)日帰りだしね(汗)
雑務じゃなくなったんですね(笑)


以前見たく嫌味で言ってるわけじゃないですからね(笑)

それはなんとなくわかるよ(笑)


ちなみにね、千春ちゃんはグループでデビューするからね。


千春ちゃんを中心に新生ユニットを作ることになったからね。

私がそう言うと千春ちゃんは目が少し潤んでいた。
本当ですか?!こんなに早くに?!


全然、入ってまだ2ヶ月ちょっとの私がプロになるんですか?!

そうだよ。成瀬 紬プロデュース、新生ユニット。ユニット名も決まってないし、メンバーの人選もまだ決まってないけど、千春ちゃんはその中に内定だからね。


私は紗絵ちゃんのここにいた頃も、恵美ちゃんのここにいた頃も知らないけど、その時みたいに千春ちゃんは今や東京校みんなの期待の星。


プレッシャーに感じたりしないで、メンバーの中で最年少だったりするかもしれないし、そこはまだ分からないけど、東京校の代表としてみんなを引っ張ってね。

はい!もしかして、紬さんが他校へ飛び回っているのは、ユニットのメンバーを選ぶためですか?
そうだよ。でも、前に千春ちゃんに言われたみたいに私おばさんなのかも(笑)


なかなか、身体が、悲鳴を上げてる(笑)

そ、そんなことないですよ(汗)


飛び回ってレッスン受けてるんですから、タフですよ…(汗)

千春ちゃんが結構無理にフォローしてくれようとしているのが伝わってくる…
グループこメンバー決まったら、ユニット名どうしようね?
他のメンバーが決まってないのでわからないですけど、私は紬さんに決めてほしいです♪


だってプロデューサーさんですよね?(笑)

そんな会話をしているとレッスン時間を迎えた。


レッスンが終わると、私は少し残業して、他校に連絡を入れた。


仙台校の17歳、名古屋校の15歳、大阪校の16歳、福岡校の14歳の各校から1名ずつ。メンバーに入れたい人を招集するため声をかけてほしいと連絡した。


それぞれに転校もしくは編入が必要な上に、上京することも必要になる為、本人や親御さんの意志も尊重してほしいことも伝えた。

今回のユニットは全員女の子の5人組ユニット。


後日、他のメンバー全員からユニットに加わりたいとの返答があったとのこと。


全員未成年のため、親御さんの承諾も必要になるが、親御さんも承諾済みとのことで、後日、書類を書いてもらいに行くことになった。



現段階でユニット名 未定


新ユニットメンバー


田村 望結(たむら みゆ)17歳 仙台校


佐藤 有沙(さとう ありさ)15歳 名古屋校


高橋 由紀(たかはし ゆき)16歳 大阪校


本城 真奈(ほんじょう まな)14歳 福岡校


白石 千春(しらいし ちはる)13歳 東京校

※白石 千春(しらいし ちはる)13歳


聖心中1年生 T.Kアカデミースクール特待生


レッスン中

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登場人物紹介

成瀬 紬(なるせ つむぎ)。

物語の主人公。紗絵の姪。内気で気弱。

成瀬 紗絵(なるせ さえ)。紬の叔母。

アーティスト、マルチタレント。

T.Kレコード所属RISE-1のメインボーカル。

山本 登(やまもと のぼる)。山本道場師範。修也の父親。絵里や紗絵の恩師。

山本 千鶴(やまもと ちづる)。修也の母親。

山本 修也(やまもと しゅうや)。のちに紬の幼馴染となる人物。初恋の人は茅ヶ崎 恵美。

沢田 水子(さわだ みずこ)。T.Kレコード会社マネージャー。紗絵の所属するグループRISE-1の担当マネージャー。

茅ヶ崎 恵美(ちがさき めぐみ)。

アーティスト、マルチタレント。紗絵と同じRISE-1のメンバー。紗絵とは親友でもありライバル。

佐々木 虎男(ささき とらお)。ギャング組織での一員。のちに紗絵の舎弟的存在となる。

藤堂 英玲奈(ふじどう えれな)。

美少女コンテストで紗絵が負けた相手。

美少女コンテストグランプリ受賞者。

紗絵より年齢は1つ上。

藤堂グループの令嬢。高飛車で性格は悪い。

安西 楓(あんざい かえで)。紬と修也と同年代で二人が高校生の頃に登場する人物。

紬の恋敵。

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