第189話 授業参観
文字数 2,492文字
男はいいでしょ簡単でさ。
え〜歩き?5月といえど外は結構暑いよ?本当なら半袖なりたいくらいだし(汗)
歩いて汗かいたらせっかくの化粧が崩れるんだけど。
なんか、自分達が親になって今度は授業参観だなんて、あのときの親の気持ちが少しはわかった気がするな。
紬なんて、紗絵姉に感謝しろよ。
休みが滅多になくて忙しかった頃でも、来てくれてたんだからさ。
紗絵姉って聞くと、私は芸能人だった頃の紗絵ちゃんをなんだか思い出してしまう。
(私が子供の頃、そういえば来てくれたっけな…)
今日休み取れたからいいけど、俺は毎回、行けるか分かんないしな。
そういえば、紗羅が千春ちゃんのライブが横浜スタジアムでやるからどうのこうのとか、言われたんだけど?ママからパパが良いって言うならとか言われたとか言ってたけど、千春ちゃんに合わせてあげたらいいじゃん?(笑)
万が一知って学校で言いふらしたりしても、色々面倒なことになるでしょ。チケット取ってとか、例えば千春ちゃんに会わせてほしいとか、どうのこうのとか、巻き込まれたら面倒でしょ?
絵奈はまだしも、紗羅は根堀葉掘り聞いて来そうでしょ?(汗)
俺は芸能界知らないから、素人考えで言えば、元芸能人なんだ、成瀬 千春と知り合いなんだ、じゃあ色々お願い、なんて考えそうだもんな。
でも、紬も紗絵姉も子供達にいつまで言わないつもりなんだ?
義父さんも家の親父も、お袋も空気読んで、何も言わないけど、俺も今までは知らん顔してたけど、子供達がこの先、もっと成長したら、色々知るかもしれないだろ?
絵奈も紗羅も同じクラス。
二人で教室に入ると授業参観の内容は何かの発表みたい。
紗羅のママなの?って。
だから私は「そうだよ♪いつも紗羅と絵奈と仲良くしてくれてありがとう。これからもよろしくね」って伝えると、「可愛いねとかびじんだね」って言ってもらえた。
それを聞いていた修也が私に余計なことを言ってきた。
怒るわけにはいかない。私は愛想笑いを浮かべて言った。
最初の子から、将来なりたいものについての発表だった。
将来なりたいなんて言ったってまだ小学1年生。これから、いくらでも可能性はあるし、夢だってそのままの人もいれば変わる人もいるだろう。
(そういえば、私のこのくらいの歳の時は夢ってなんだったっけ?絵奈と紗羅は何になりたいのかな?)
そんなことを思いながら、聞いていると、まずは、絵奈の番になった。
先生に山本 絵奈さんと呼ばれ席を立つ、絵奈。
私の夢は成瀬 千春みたくなることです。
たくさんお歌を歌って、ドラマとか映画にも出たいです。あと可愛いお洋服を着て、モデルもしたいです。
おばあちゃんにこの間、この事を話したら、沢山色んなこと頑張ろうねって言われました。横浜スタジアム観に行きたいって言ったら、おばあちゃんが連れて行ってくれるって言ってました。楽しみです。
だから、私は沢山色んなこと頑張って成瀬 千春みたくなりたいです。
(絵奈、紗絵ちゃんとそんな話してたなんて知らなかった…)
先生に次は山本 紗羅さんって呼ばれると返事をして、紗羅が席を立つ。
絵奈よりも上手にお歌も歌って、ドラマとか映画にも出たいです。絵奈よりも可愛いお洋服を着てモデルさんもしたいです。私の方が絵奈より脚が長いです。
絵奈と一緒におばあちゃんに横浜スタジアムに行きたいって私も言いました。
おばあちゃんは私も連れて行ってくれるって言ってました。楽しみです。
パパは横浜スタジアムのチケット頼んだのに何も言ってきません。ママはパパに聞いてみようね以来何も言ってきません。
ばあちゃんの方が頼りになります。
頑張ります。
修也は紗羅の発表に少しバツが悪そうな顔をしていた。
私も少しバツが悪い…
でも、二人とも成瀬 千春になりたいって…
紗絵ちゃんが連れて行くってチケットどうするつもりなんだろう…
初めての小学校の授業参観は絵奈と紗羅の夢を聞いて、驚いた反面、血は争えないなとも思った…
娘の絵奈と紗羅の授業参観にて