第196話 絶対音感、相対音感という才能

文字数 2,057文字

週末のカラオケは楽しかった、


修也は昔から少し音痴で歌が下手…子供達にバカにされていたが楽しそうだった。


AI採点をやりたいと絵奈と紗羅が言って採点モードにすると、やはり皆点数が気になるのか、トップバッターで歌いたがらない…


紗羅にどうせ下手なんだからと言われて修也がトップバッターを務めると点数は72点。


修也の歌った曲の全国平均点も画面に出て全国平均は83点だけど72点。みんなバカにして笑っていた。


師範が歌うと82点、千鶴さんが歌うと83点。


お父さんが歌うと80点。


絵奈が歌うと84点。この時点でトップは絵奈。絵奈は嬉しそうだった。


次は私の番だけど、曲は昔の自分の曲を紗羅と紗絵ちゃんの二人が勝手に選曲して入れてきた…


(自分の曲で本人が歌って点数低かったら恥ずかしいし、プレッシャーなんですけど…)


私が歌うと96点。拍手されたけど、自分の曲で100点とれなかったことが悔しい…

紗絵ちゃんに耳打ちされた紗羅が楽しそうに私に言う。
あれ?ママは自分の曲はのに100点じゃないぞ〜?偽物なのかな?(笑)
う…調子のいいときと悪い時が人間には有るからね(笑)


ばあちゃんは100点取れるよね〜きっと(笑)

お返しに言ってやった。


よく歌手は本人の曲を歌うとカラオケで100点は取れないっていう。


紗絵ちゃんだって自分の曲だったら100点取れないだろうと思ったので紗羅に紗絵ちゃんの曲を入れさせた。

私の番か〜。100点取ったら何か美味しいものごちそうしてもらおうかな(笑)
紗絵ちゃんが私にそう言った。
はいはい。頑張ってね〜(笑)
紗絵ちゃんが歌い終わり、画面に表示されたのは100点…グラフはほぼマックス…音程も1つ外したのは見たけど、それ以外は完璧だった…
みんなからは「おぉ~」という声と共に拍手が起こる…


絵奈も紗羅もばあちゃん凄いって言って喜んでいる。


ポテトを運んできた店員さんも拍手していた…

(本人の曲を歌うと100点ってとれないのって迷信…?)
嬉しそうな紗絵ちゃんが私の横に座って話しかけてきた。
あれ〜?96点の人だぁ♪(笑)


昔、レコ大負けたのこれでチャラね(笑)

(レコ大のことっていつの話だよ…未だに根に持ってたんだ…)
あらあら、さすがお母様ですこと(笑)


所詮機械の判断ですからね〜機械に100点もらうより、人に100点もらえたほうが私は嬉しいです♪(笑)


お母さんの採点の時だけ機械が壊れてたんじゃない?(笑)

精一杯の負け惜しみを言った。
あら〜機械が壊れちゃうくらい素敵な歌声だっただなんて最高の褒め言葉ですね♪(笑)


機械も人からも100点満点だって言いたいんだよね♪(笑)

(そんなこと言ってないし…)
少し私と紗絵ちゃんが言い合いをしていると紗羅の入れた曲がかかる。
私と紗絵ちゃんは言い合いをやめて紗羅の歌う曲を聞く。
画面に表示された音程のバーをほとんど外すことなく歌い終えた紗羅…


流石に小学生だけあってテクニックが伴っていないので加点はなさそうだけど。


画面に表示された点数は98点…

みんなからすごいと言われ喜ぶ紗羅。
やったぁ!!ママに勝った!!(笑)


ばあちゃん、紗羅の方が凄いよ!

そうだね。紗羅は絶対音感とか相対音感の持ち主なのかもね♪
何それ?凄いの?
凄いことなんだよ。みんながみんな持っているわけじゃない才能だよ。


ばあちゃんと一緒(笑)

紗羅だけずるいよ!絵奈は?
絵奈も凄いよ♪絵奈は頭も良いし、ピアノだってよく褒められてるでしょ。


何でも器用にこなすところは、本当の絵奈のおばあちゃんにそっくりだよ。

紗絵ちゃんがそう言うと絵奈も喜んでいた。


絵奈は確かに私の実の母親に似てるのかもしれない。何でもやれば人より出来てしまう。


紗羅はそう言うタイプじゃないけど、紗羅にも何か違う才能があったなんて初めて知った…

紗羅はピアノを引くというのが得意じゃなかっただけで、絶対音感、相対音感という音楽に必要なものを生まれつき持っていたなんて…
ちなみに紗羅は歌った曲はどうやって覚えたの?


この曲って紗羅が生まれる前の曲でしょ?

紗羅が歌った曲は成瀬 千春の「new era」


この曲は高いキーと低いキーが入り交ざって難しい曲にも関わらず、紗羅は小学1年生でカラオケが初めてにして採点で98点を叩き出した。


そしてこの曲は成瀬 千春に私が負けた曲。


7年前の千春ちゃんとのことを思い出して懐かしかった。

え?歌?そんなのUチューブ見て覚えたんだよ。
そ、そうなんだ(汗)凄いね。ママの負けだよ(汗)
わ〜い!成瀬 紬に勝った!


じゃあ今度は成瀬 紗絵を倒す番だ〜(笑)

そう言って、紗羅は紗絵ちゃんとじゃれ合っていた。


反対するつもりはないけど、出来れば同じ道を歩ませたくはないと思っていたけど、紗羅が楽しそうなのに加えて、生まれ持った才能を目の前で見せつけられ、考えが少し変わった…

この日カラオケは楽しく過ごし、夕飯はチョットたかそうなお店でみんなで食べたけど、カラオケで紗絵ちゃんに負けた私が奢らされた…


絵奈と紗羅は初めてのカラオケにとてもまんぞくしたみたいだった。

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登場人物紹介

成瀬 紬(なるせ つむぎ)。

物語の主人公。紗絵の姪。内気で気弱。

成瀬 紗絵(なるせ さえ)。紬の叔母。

アーティスト、マルチタレント。

T.Kレコード所属RISE-1のメインボーカル。

山本 登(やまもと のぼる)。山本道場師範。修也の父親。絵里や紗絵の恩師。

山本 千鶴(やまもと ちづる)。修也の母親。

山本 修也(やまもと しゅうや)。のちに紬の幼馴染となる人物。初恋の人は茅ヶ崎 恵美。

沢田 水子(さわだ みずこ)。T.Kレコード会社マネージャー。紗絵の所属するグループRISE-1の担当マネージャー。

茅ヶ崎 恵美(ちがさき めぐみ)。

アーティスト、マルチタレント。紗絵と同じRISE-1のメンバー。紗絵とは親友でもありライバル。

佐々木 虎男(ささき とらお)。ギャング組織での一員。のちに紗絵の舎弟的存在となる。

藤堂 英玲奈(ふじどう えれな)。

美少女コンテストで紗絵が負けた相手。

美少女コンテストグランプリ受賞者。

紗絵より年齢は1つ上。

藤堂グループの令嬢。高飛車で性格は悪い。

安西 楓(あんざい かえで)。紬と修也と同年代で二人が高校生の頃に登場する人物。

紬の恋敵。

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