第127話 数少ない二人の時間と懐かしの友

文字数 2,135文字

学校は夏休みに入った。私は付き合っているとはいえ、歌手となった今、公の場で修也と出かけることは出来ない…


デートらしいデートもしたことがない…


お父さんと紗絵ちゃんはひと目につかなさそうなところにお出かけすると言ってデートしに行った…


なんか、ちょっと羨ましい…

仕事も休みなので、山本家のインターフォンを鳴らす。
千鶴さんがドアを開けてくれた。
今日、どうしたの?紗絵ちゃん達は?
突然すいません。二人で出かけちゃいました(笑)


修也いますか?

あら、いいわね。紗絵ちゃん、前は出かけることなんてできなかったものね。デートなんていいわね♪


紬ちゃんもすっかり紗絵ちゃんに似て可愛くなっていいわね♪


若いって羨ましいわ(笑)


修也はたぶん、部屋にいるから、上がって、私はあと、このままパートに出ちゃうから、若い2人でごゆっくり(笑)

(ん?修也、千鶴さんに私達が付き合ってること言ったのかな?)
すいません。お邪魔します♪


あの〜千鶴さん、何か聞いてます?

ん?何?紬ちゃんが次の曲はオリジナルで出すことになったって聞いてるわよ?


二人はどこまで進んだの〜?(笑)

(え?!何?!どこまで?!)
あ、はい。作詞終わって、使ってもらえるのか、返答待ちになってました。


え?(汗)その、そんなのではありませんよ(汗)


なんか、私、外に出かけられないので申し訳ないです…

そんな、わかりやすいわよ(笑)紗絵ちゃんも気づいてるんでしょ?


気づいてないのは家の旦那と、紬ちゃんのお父さんだけでしょ?(笑)


私も紗絵ちゃんもお互いにそんな話はしないけど、まぁいいじゃない。もともと許婚でしょ?(笑)


そう?出かけることが、素晴らしいことだと私は思わないわよ?


いいじゃない。二人で、部屋で会えたら。


でも、妊娠には気をつけてね(笑)私は構わないけど♪

そ、そんなことしてないですよ(汗)
あら?お年頃なのに進展遅いわね(笑)


じゃあゆっくり楽しんでね〜♪(笑)


おばあちゃんになる日近いかしら?(笑)

千鶴さんはそう言うと言ってしまった。
修也の部屋に入ると、勉強をしていた。
あれ?いっつも勉強してるの?(笑)大丈夫?(笑)
おう♪俺みたいな馬鹿が医者になるためには、死ぬくらい勉強しなきゃいけないんだよ(笑)
ごめんね。私外に出かけることが出来なくなっちゃったから…


紗絵ちゃんが返ってこれる場所作りたいんだ。


どっか一緒に出かけようとか出来なくて思い出作れなくてごめんね…

そんなの気にすんなよ。俺は別にいいよ。こうやってたまに会えればそれでいいよ。


紗絵姉、リハビリずっと頑張ってるみたいだな。


紗絵姉、根性凄いから、きっと歩けるようになると思うよ。

紗絵ちゃんは努力家だからね。


私は一緒に手を繋いで、買い物に行ったり、どっか遊びに行ったりとかしたいんだけどなぁ。

私は修也に近づいて寄りかかった。
何してんだよ(汗)俺は勉強してたんだよ(汗)集中できないだろ。
じゃあ、参考書とは、ちょっと違う勉強をしようか?(笑)
私は修也にキスをすると押し倒した…
今日が私の…なんて思っていたら、インターフォンが鳴った…
仕方なく修也に乗っかった身体を避けた。
修也が部屋を出てインターフォンの方に向かうのに私もついていくとモニターにみんなが映っていた。


そう、今日は久しぶりにみんなと会う…


外に出ると少しややこしいことになると大変だということで、美咲ちゃん、静香、中島君に徹君が修也の家に来ることになっていた。

みんな早くない?(笑)まだ、違う勉強終わってないのに(笑)
みんな楽しみにしてたんだから、そんなこと言うなよ。
じゃあ続きはまたの機会かな?(笑)
そうだな(笑)
そう言うと、修也はドアを開けた。
久しぶり!紬!元気してた?!
ひどいよね、突然いなくなって(笑)また会えたね!
久しぶり!
元気にしてたか?
(懐かしい…みんなの声…)


ちょっと涙ぐんでしまった…

みんな…久しぶり!あの時はごめんね…
みんなはそんなのいいからなんていって、家の中に入ると、リビングでお茶を飲んでお菓子をつまみながら、雑談会が始まった。
私はみんなに突然いなくなった理由を話した。
ちゃんとみんなに私がここを当時去った理由を話した。修也にも話していなかったから、修也も驚いていた。


そして、またここに戻ってきたいきさつと、修也と付き合っていることをみんなに教えた。

みんなの近況も知ることが出来た。


美咲ちゃんは高校を卒業したら、専門学校へ進んでメイクアップアーティストみたいなのになりたいらしい。


静香は特に何もあまり考えてないけど、大学に入れるなら入りたいらしい。


徹君は獣医師になれたら思って専門学校へ行きたいと思っているとのこと。


中島君はとりあえず進学できればらしい。



まだ、みんな曖昧だけどさ、紬は凄いよ。歌手なったじゃん。


ライブとかすんのかなぁ?(笑)そしたら行きたいなぁ♪

私がライブ?まだデビュー曲しかないよ?(笑)


でも、そういう時があったら、もちろんみんなのこと呼ぶからね♪

そして、またインターフォンが鳴った。


修也がドアを開けると楓が入ってきた。


楓は私が呼んだ。


楓にもみんなと友達になってほしかったから。


誘ったら、気が向いたら来るって言ってたから、気が向いてくれたのかな?

※藤堂 紬(成瀬 紬)17歳 高校2年生
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

成瀬 紬(なるせ つむぎ)。

物語の主人公。紗絵の姪。内気で気弱。

成瀬 紗絵(なるせ さえ)。紬の叔母。

アーティスト、マルチタレント。

T.Kレコード所属RISE-1のメインボーカル。

山本 登(やまもと のぼる)。山本道場師範。修也の父親。絵里や紗絵の恩師。

山本 千鶴(やまもと ちづる)。修也の母親。

山本 修也(やまもと しゅうや)。のちに紬の幼馴染となる人物。初恋の人は茅ヶ崎 恵美。

沢田 水子(さわだ みずこ)。T.Kレコード会社マネージャー。紗絵の所属するグループRISE-1の担当マネージャー。

茅ヶ崎 恵美(ちがさき めぐみ)。

アーティスト、マルチタレント。紗絵と同じRISE-1のメンバー。紗絵とは親友でもありライバル。

佐々木 虎男(ささき とらお)。ギャング組織での一員。のちに紗絵の舎弟的存在となる。

藤堂 英玲奈(ふじどう えれな)。

美少女コンテストで紗絵が負けた相手。

美少女コンテストグランプリ受賞者。

紗絵より年齢は1つ上。

藤堂グループの令嬢。高飛車で性格は悪い。

安西 楓(あんざい かえで)。紬と修也と同年代で二人が高校生の頃に登場する人物。

紬の恋敵。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色